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アノマリー

2005/12/11
株高はいつまで続く? 大胆予想!

今年のゴールデンウィーク明け以降、ほぼ一本調子で上昇している日本の株式市場。これからもそのまま上昇気流に乗るべきなのか、それとも株価下落の時を待つべきなのか、この決断によって今後の成果が大きく変わってきます。

そこで今回は、過去の上昇相場を振り返り、似たケースを検証することによって、今後の展開を大胆に予想してみたいと思います。

まずは過去20年間、1984年以降の日経平均の日足データで、今年と似ているパターンを探してみます。具体的には、春先から押し目がなく、ほぼ右肩上がりで上昇し続けている年です。

チャートを見比べてみると、過去に5回ほど該当する年がありましたので、見てみましょう。赤色の線が今年のチャートです。


チャートの形が一番似ているのは、バブルの出発点ともなった1984年です。日経平均1万円の大台に乗せた年でもあります。また、上昇率の観点から言えば、バブル最高潮の前年度にあたる1988年と、ITバブル全盛期の1999年に匹敵する、素晴らしい年です。

チャートから見て分かるのは、バブル最高潮の1989年と、ITバブル全盛期の1999年の僅かな期間を除いて、年明け後もそのまま上昇を続けているのが分かります。ただ、その後の株価推移をチェックした所、上昇率は前年ほど大きくはありませんでした。

こでふと気づくのは、1988年以前は、年明けと株価は関係がなく、1989以降は関係するようになっている点です。これは一体なぜでしょうか?

1988年以前と1989以降に、何かが変わったのかといえば... 税制が変わりました。今まで株価譲渡益が課税されていなかったものが、課税されるようになったのです。いわゆるキャピタルゲイン課税の始まりです。その開始時期は 1989年4月からです。

そこでもう一度、1989年と1999年のチャートを見てみましょう。


キャピタルゲイン課税が始まる前の1989年3月と、年明けの1990年1月、2000年1月に株価が下落している跡があります。年明けの下落の原因は、税金を支払いを一年先送りのために年末に売りを我慢していたためとだと思います。課税がチャートの形を多少歪めることは間違いないようです。

ところで大きく下落した バブル崩壊の1990年初めは何が起きたのでしょうか? 誰しもが思い出される理由のひとつとして、公定歩合の急激な引き上げがありました。その当時、借金で株や不動産を買うのが当たり前でしたので、その仕組みを揺さぶる金融政策でした。以前の投資戦略で取り上げたチャートを再掲します。

投資戦略「金利上昇で株価は下がる?」より再掲

また、ITバブルの大きな下落の影には、米国での「量的緩和の解除」がありました。ITバブルは1999年です。この年は、いわゆる2000年問題が大きな議論になっており、社会インフラ(ガス、電気、交通)が停止するのではないかと本気で語られていました。アメリカの金融政策として、市中にお金を溢れさせる方策を取っていました。

以上のことから分かるのは、大きな下落に差し掛かる時には、大きく「需要」を減らす、なにかしら金融政策の転換が引き金になることが多いことです。

このあたりをもうちょっと「需要」という観点から深堀りしてみましょう。今の相場をリードしているのは間違いなく「外国人投資家」です。以前の投資戦略からも、彼らが買う時には上昇することが分かっています。

あとの買い手は「個人」と「年金」と「企業」でしょうか。「年金」と「企業」については株価低迷の時期に成果を上げられなかった反省もあって、買い増しには慎重な姿勢です。逆に株で儲けた分が、国債やソブリン債に多く投資されます。

「個人」については徐々に上昇機運ですが、やはり国債やソブリン債が人気を維持し、なかなか移行してきません。こういった状況が、長期金利を抑えられている理由のひとつに挙げられています。

そう考えると、ここしばらくは「需要」の担い手である「外国人投資家」の動向に左右される状況が考えられます。さて彼らはどのタイミングで大きく手を引くのでしょうか?

正直、これが分かったら苦労はしないのですが、それでも何か手がかりはないものでしょうか。私がひとつ気になっているのは、アメリカとの金利差です。過去の調査から、金利差が開けば開くほど、株価が上昇することが分かっています。

投資戦略「金利上昇で株価は下がる?」より再掲


なぜ金利差が開けば、日本の株価が上昇するのでしょうか? ここからは推理なのですが、1. 「アメリカの金利上昇 = アメリカの景気が良い = 輸出で儲かる」という図式と、2. 「日本の金利低下 = 債券では利幅が薄い = 株式に資金を投入」の図式が成り立つのではないかと思っています。

また、今の「外国人投資家」は、日本の低金利を背景にして、海外から資金を流入させるのではなく、国内の金融機関から資金を借りて株式を買っていると想定されています。株高なのに円高にならないのもそういった理由と言われています。

となると、「量的緩和の解除」「公定歩合の引き上げ」は、外国人投資家の動きを止める金融政策になると予想されます。

少々長くなりましたが、ここまでの話をまとめてみましょう。
  1. 金融政策の転換が生じなければ、過去のチャートから、翌年も継続して株価は上昇する。但し、今年の上昇率よりは「おとなしめ」の推移となる。

  2. 年明けには課税の関係上、多少の波乱要因が生じる可能性がある。ただし、これは一時的なもので、いずれ復活する。

  3. 本格的な下げ要因となるのは金融政策の変更による。特に「外国人投資家」の行動を妨げるような変更には気をつける。具体的には「量的緩和の解除」「公定歩合の引き上げ」である。
以上から結論を導き出します。

結論:
「量的緩和の解除」「公定歩合の引き上げ」といった、外国人投資家の動きを止めるような金融政策が起きない限り、この株価上昇機運は来年も続く。但し、年明けには税関連による株価下落が予想されるので事前に対策を練っておくこと。

引き続き株価上昇を予想はしましたが、もちろん、それは保証されているものではありません。私の予想はよく外れますし、「9.11」のような突発的な外的要因も考えられます。常日頃から、突然の株価下落を頭に入れて取引して下さいね!

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編集後記(From the Editor)

危機管理の観点から思い出すのは、私の記憶が確かなら、元巨人の江川投手が「3塁ランナーがホームに帰る方法は19種類ある」。また、麻雀界のスーパースター、桜井章一さんが「リーチをかけられた時の対処方法は50種類くらいある」と記載された本を見たことがあります。

その道の達人と言われる人は、常にありとあらゆる危機パターンを想定して、事前に準備しているのだなぁと感心したことを覚えています。

みなさんは、株価の下落が始まった時の対処方法を何種類挙げることができますか? べたオリ(完全に株式を売ってしまう)、全ツッパリ(徹底的に買いで真っ向勝負)以外にも、いくつか対処方法を身につけておきたいものですね。

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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!

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