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四季報相場

2005/7/19
四季報相場-夏は存在したか?

以前「四季報相場は存在するか?」にて、特にJASDAQ(新興市場)銘柄の株価は、四季報-春の発売によって、四季報相場を形成していたことが分かりました。四季報-夏の販売によっても、前号と同じような傾向が出るのでしょうか。早速調べてみましょう。

調査方法は、前回と同様に、四季報直前に「オール投資」で掲載されたランキング銘柄にについて「オール投資」および「会社四季報」の販売日前後の株価の動きをグラフ化します。

今回の「オール投資」では、「増益率(今期)」「増益額(今期)」「V字回復(今期)」「低PER(今期)」「上方修正(今期)」「低PBR(今期)」「高配当利回り(今期)」「キャッシュリッチ(今期)」の各ランキングを必要資金別に掲載しています。伝統市場、新興市場は分けていません。

それぞれの各ランキングについて、必要資金別のトップ10銘柄について終値の平均推移グラフを見てみます。上方修正銘柄だけは、予算別になっていませんでしたので、全体トップ20銘柄について平均しています。

グラフでは、5/30日の株価の終値を1としています。市場の影響を排除するため、伝統市場銘柄(東証、大証1部)は、TOPIXで、新興市場銘柄分は、JASDAQ平均で差分調整しています。

それでは一気に8グラフを掲載します。最初の点線の縦棒は「オール投資」の発売日、次の点線の縦棒は「会社四季報」の発売日を表しています。















前回と異なり、はっきりとした「オール投資発売日」と「四季報発売日の」の山は見て取れません。但し、「低PER」と「上方修正」については上昇傾向です。逆に「キャッシュリッチ」については下落傾向です。

この予算別のグラフのままでは、傾向が分からず、前回の比較が取れないので、伝統市場銘柄と新興市場銘柄を分けてグラフ化してみます。市場の影響を排除するため、伝統市場銘柄(東証、大証1部)は、TOPIXで、新興市場銘柄分は、JASDAQ平均で差分調整して平均しています。

グラフだらけで申し訳ないのですが、再度8つのグラフを掲載します。増益額グラフだけは、新興市場銘柄がほとんどないため、伝統市場銘柄の平均だけを掲載しています。


○最初に増益率ランキングです。

新興市場の銘柄のみ「オール投資」販売日にピークがきています。もしかしたら、四季報相場を狙って買った方が多かったのかも知れません。



○2番目に増益額ランキングです。

増益額ランキングは、東証1部の巨大企業が多いためか、全く変動がありません。発売日に山が見えますが、0.3%程度の差であり、誤差の範囲だと思います。



○3番目にV字回復ランキングです。

狭い値の中で上下していますが、「オール投資」と「四季報」の発売日近辺では、ほとんど変動がありません。



○4番目に低PERランキングです。

順調に上昇しています。「オール投資」と「四季報」の発売日に、はっきりとした山はありませんが、この期間に大きく上昇しました。



○5番目に上方修正ランキングです。

これもまた、上昇傾向です。低PER同様、この期間に大きく上昇しました。



○6番目に低PBRランキングです。

伝統市場銘柄は、やや上昇傾向ですが、あまりはっきりした傾向は現れていません。



○7番目に高配当利回りランキングです。

伝統市場銘柄と新興市場銘柄に差が出ています。伝統市場銘柄は、じわじわと確実に伸びていますが、「オール投資」と「四季報」の発売日の影響とは言いにくい面があります。



○8番目にキャッシュランキングです。

これもまた、伝統市場銘柄と新興市場銘柄に差が出ています。伝統市場銘柄は、じわじわと上昇していますが、新興市場銘柄は下落の一途です。全く正反対の動きです。



事実:
四季報相場-夏の存在は、はっきりと確認が取れない。但し、「低PER」と「上方修正」銘柄だけは、上昇傾向が見て取れる。

なぜ四季報-春に比べ、四季報-夏の場合の変動が少ないのでしょうか?

四季報-春の時期は、年度末決算の直前で、各社が来期予想はしていない段階です。従って、四季報予想数値は重要な意味を持っていました。しかしながら四季報-夏の時期は、各社の予想発表が終了しており、多くの場合、四季報の数値と、会社発表の数値が一致しているため、情報としては魅力に欠けます。よって、四季報相場-夏 は出にくいのだと思います。

しかしながら、例外的に「低PER」と「上方修正」銘柄だけは、上昇傾向が現れました。特に「低PER」については、四季報-春 に続き2期連続です。

正直、なぜこの傾向が現れたのかは分かりません。もしかしたら、この時期に「低PER銘柄を狙うようなファンドが多く設定されたのかも」と思って調べたのですが、特にそのような傾向はありませんでした。

結論:
「会社四季報-夏」発売前の「オール投資」のランキングは、狙いを絞る必要がある。サンプルは少ないが「低PER」については買ってみるのも良い。
全般的に「会社四季報-夏」の相場を期待してはいけない。

今後も四季報相場について継続して調べると、何か分かるかもしれません。

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編集後記(From the Editor)

今回はかなり多くのグラフを掲載しました。その理由の一つは、私が見落としているかも知れない傾向を、皆さんが読み取れるかもと思ったからです。もし気が付いたことがありましたら、お知らせ頂けたらと思います。

新規設定ファンドの傾向を調べていて分かったのですが、最近は「好配当」銘柄狙いのファンドがものすごく多く設定されつつあります。その割には、高配当利回りランキングの上昇率が少ないなと思ったのですが、最近はじわじわ上昇傾向にあるようです。



こうなったら、新規設定ファンドのトレンドを先回りして、該当銘柄を購入するのもいいかも知れませんね。

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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!

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