ダントツ投資
Home
夕凪通信
投資戦略
掲示板
リンク
口上
四季報相場

2005/4/3
四季報相場は存在するか?

東洋経済新報社が各季節毎に発売する「会社四季報」は、数多くの投資家が参考にする書籍です。個人投資家で有名な竹田和平さんも、この「会社四季報」を基に投資していることが知れ渡り、もう誰しもが無視できない存在です。

この「会社四季報」の中で特に注目されるのは、記載されているコメントと、今期および来期予想の数値です。ここを読んで、投資判断を下す人も多いことと思います。そうなると、「会社四季報」の内容次第で株価が変動しても不思議ではありません。

また、同じ東洋経済新報社が月2回発売している「オール投資」は、「会社四季報」発売直前に、会社四季報のデータを使用したランキングを掲載しています。つまり、この本を見ることにより、一部の会社四季報のデータを把握でき、どの銘柄を注目すべきかが分かります。

そこで今回は、この「オール投資」および「会社四季報」の発売によって相場が形成されるのか、その相場を利用して利益を得ることができないか、について確かめることにしましょう。

今回の2005年春季号について、「オール投資」は 3/7日、「会社四季報」は 3/16日発売でした。どちらの書籍も、株価指標データは、2/28日現在のものを利用しています。

「オール投資」では、「増益率(来期)」「増益額(来期)」「V字回復(来期)」「低PER(来期)」「高利回り(今期)」「低PBR(今期)」「最高益更新(今期)」の各ランキングを掲載していますので、それぞれについて、発売によって相場が形成されたかについて確認してみましょう。

いずれのグラフも 2/28日の株価の終値を1として、2/16日以降の株価の終値の推移をグラフにしています。

○最初は増益率ランキングからです。

東証一部、JASDAQのトップ10銘柄の平均推移について見てみましょう。どちらの株価も、市場の影響を排除するため、TOPIX および JASDAQ平均で差分調整しています。

因みに、「オール投資」には、東証一部、JASDAQのほかにも、東証二部、その他市場 のランキングが掲載されています。



JASDAQ平均に、見事に傾向が現れていますね。「オール投資」の発売に合わせて第一弾の上昇があり、「会社四季報」の発売で第二段の上昇があります。一方で、東証一部銘柄については反応薄です。こういった現象から、個人投資家が書籍の内容を見て投資を行っていることが分かります。

○次に、増益額ランキングです。

東証一部のトップ10、JASDAQのトップ5銘柄の平均推移について見てみましょう。どちらの株価も、市場の影響を排除するため、TOPIX および JASDAQ平均で差分調整しています。


傾向は、増益率ランキングと似通っています。

○3番目にV字回復ランキングです。

東証一部、JASDAQのトップ10銘柄の平均推移について見てみましょう。どちらの株価も、市場の影響を排除するため、TOPIX および JASDAQ平均で差分調整しています。



すばらしい上昇率ですね。東証一部銘柄についても多少の動きがあります。

○4番目に低PERランキングです。

「オール投資」では、このカテゴリはなぜか単位株の購入予算別の掲載でしたので、それに沿ってグラフ化してみます。様々な市場の銘柄が入っているため、市場の影響を排除しないグラフとしています。


単位株価が10万円未満以外では、どれも上昇傾向です。特に一般投資家が手を出し易い、単位株価が10万から30万未満の銘柄がより顕著です。

○5番目に、高利回りランキングです。

東証一部、JASDAQのトップ10銘柄の平均推移について見てみましょう。どちらの株価も、市場の影響を排除するため、TOPIX および JASDAQ平均で差分調整しています。


今度は逆に東証一部銘柄が反応しています。ただし、上昇ラインの滑らかさを見る限り、あまり発売日とは関係がないかもしれません。また、権利日確定以降の急落を見る限り、3月末の権利確定銘柄狙いのように思えます。

○6番目に低PBRランキングです。

「オール投資」では、このカテゴリは低PER同様、単位株の購入予算別の掲載でしたので、それに沿ってグラフ化してみます。様々な市場の銘柄が入っているため、市場の影響を排除しないグラフとしています。


どの投資額でも、「オール投資」の発売と同時にかなりの上昇が見られます。

○最後に最高益ランキングです。

「オール投資」では、ほとんどのページに東証一部銘柄に割り当てられていましたので、東証一部銘柄のトップ10銘柄の株価推移のみについて見てみましょう。市場の影響を排除するため、TOPIX で差分調整しています。


発売日とは全く影響なしです。

事実:
四季報相場は存在する。JASDAQ銘柄について、特にその傾向が現れている
低PERランキング、低PBRランキングは、単位株価に関らず上昇する傾向にある。

以上の傾向から、投資戦略を導き出して見ましょう。

結論:
「会社四季報」発売前の「オール投資」は買いである。「オール投資」の書籍を見て、先回り買いをするべし。
株価に反応するランキングと、しないランキングが存在する。ねらい目としては、JASDAQ銘柄の「増益率」「増益額」「V字回復」ランキングである。東証一部銘柄では、「V字回復」「高利回り」ランキングである。「低PBR」「低PER」ランキングも買いである。ただし、「高利回り」ランキングは3月特有の権利取りの可能性もある。

次回の四季報発売日は、おそらく6/15日です。その直前のオール投資は6/6日発売です。お忘れなきように!

--
編集後記(From the Editor)

今回のアイデアは、メールにて「雨竜」さんから頂きました。ありがとうございます。調査してみると、見事に傾向が出るものですね。次回の6月の発売日は、忘れないようにしないといけませんね。

この投資戦略の基データとなった「オール投資」3/15日号の副題が面白いです。そのものずばりで「発売前に仕込んじゃえ」。本当にそうするのが良い結果を生みました。

低PBR、低PER ランキングの銘柄を調べていて分かったのですが、札幌、名古屋、福岡の証券取引所への上場銘柄も多くあります。それらも株価平均を押し上げています。なかなか買いにくいですが、こういった地方証券取引所銘柄は、穴場的な存在です。

まあ、これだけ「会社四季報」の影響が出ると、そのうちに、「オール投資」発売前に、中身を読むことができる人たち(印刷所等)の「四季報インサーダー取引」が倫理的な問題になったりするかもしれませんね。
--

くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!

GOOD LUCK!

ライン