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2004/12/26
JASDAQ平均とドレッシング買い

もうすぐ大納会がやってきます。それと同時に、投資信託にとって大事な、年間成績の確定日です。少しでも成績を良く見せるために、最終日に集中的に買い上げる行動に出ても不思議ではありません。

この現象を通称「ウィンドウ・ドレッシング」または「ドレッシング買い」と呼んでいます。クリスマス期が近づくと窓飾りをつけるように、四半期末になると、株価に飾りをつけて上昇させることを指しています。

この現象は、前回紹介した「掉尾の一振(とうびのいっしん)」にも通じるものがあります。しかしながら今回はもう少し細かく、「四半期ごとの最終日の値上がりのみ」に焦点を当てたいと思います。

以前にここで紹介したことがあるのですが、もう一度詳しく、再検証することにしましょう。

まずは日経平均からです。過去5年分の四半期毎の最終日の株価推移を見てみます。表中、1Q=3月末, 2Q=6月末, 3Q=9月末, 4Q=12月末 を指しています。

期日 前日終値 始値 高値 安値 終値 前日比 当日比
1999-4Q 18,810.58 18,793.55 18,960.33 18,722.51 18,934.34 0.66% 0.75%
2000-1Q 20,441.50 20,371.07 20,550.10 20,259.35 20,337.32 -0.51% -0.17%
2000-2Q 17,475.90 17,482.09 17,510.07 17,305.81 17,411.05 -0.37% -0.41%
2000-3Q 15,626.96 15,663.71 15,898.07 15,663.71 15,747.26 0.77% 0.53%
2000-4Q 13,946.96 13,899.49 13,966.82 13,781.12 13,785.69 -1.16% -0.82%
2001-1Q 13,072.36 13,203.00 13,457.90 12,992.45 12,999.70 -0.56% -1.54%
2001-2Q 12,679.88 12,843.95 12,985.21 12,819.46 12,969.05 2.28% 0.97%
2001-3Q 9,696.53 9,783.80 9,933.69 9,737.42 9,774.68 0.81% -0.09%
2001-4Q 10,457.61 10,498.80 10,571.75 10,427.62 10,542.62 0.81% 0.42%
2002-1Q 11,333.11 11,350.35 11,389.60 11,024.94 11,024.94 -2.72% -2.87%
2002-2Q 10,261.60 10,390.53 10,621.84 10,366.47 10,621.84 3.51% 2.23%
2002-3Q 9,530.44 9,421.25 9,470.71 9,315.25 9,383.29 -1.54% -0.40%
2002-4Q 8,714.05 8,617.65 8,617.65 8,543.70 8,578.95 -1.55% -0.45%
2003-1Q 8,280.16 8,240.10 8,240.10 7,950.96 7,972.71 -3.71% -3.24%
2003-2Q 9,104.06 9,119.59 9,140.71 9,076.62 9,083.11 -0.23% -0.40%
2003-3Q 10,229.57 10,294.75 10,420.76 10,219.05 10,219.05 -0.10% -0.74%
2003-4Q 10,500.62 10,617.62 10,681.28 10,609.58 10,676.64 1.68% 0.56%
2004-1Q 11,693.68 11,716.55 11,783.83 11,592.83 11,715.39 0.19% -0.01%
2004-2Q 11,860.81 11,869.86 11,887.95 11,808.13 11,858.87 -0.02% -0.09%
2004-3Q 10,786.10 10,870.21 10,928.19 10,823.57 10,823.57 0.35% -0.43%
全体平均 -0.07% -0.31%
Q1平均 -1.46% -1.57%
Q2平均 1.03% 0.46%
Q3平均 0.06% -0.23%
Q4平均 0.09% 0.09%

推移がばらばらです。前日比で見ても、当日比(始値と終値の差分)で見ても、特別な値動きは全然ありません。全体平均でもマイナスです、Q1の成績は特に悪く、3月末の持ち合い解消売りの影響かも知れません。

ではJASDAQ平均についても見てみましょう。

期日 前日終値 始値 高値 安値 終値 前日比 当日比
1999-4Q 94.38 94.75 97.28 94.7 97.28 3.07% 2.67%
2000-1Q 114.07 113.83 113.83 108.13 108.94 -4.50% -4.30%
2000-2Q 89.32 89.28 90.57 89.08 90.35 1.15% 1.20%
2000-3Q 74.17 74.26 75.29 74.26 75.03 1.16% 1.04%
2000-4Q 53.9 53.75 54.2 53.62 54.2 0.56% 0.84%
2001-1Q 58.38 58.37 58.61 57.96 58.1 -0.48% -0.46%
2001-2Q 55.17 55.24 56.09 55.24 56.09 1.67% 1.54%
2001-3Q 42.72 42.15 42.73 42.14 42.72 0.00% 1.35%
2001-4Q 46.57 46.65 47.2 46.64 47.2 1.35% 1.18%
2002-1Q 49.48 49.51 50.1 49.51 49.82 0.69% 0.63%
2002-2Q 49.52 48.77 49.52 48.77 49.52 0.00% 1.54%
2002-3Q 43.16 43.09 43.09 42.78 42.97 -0.44% -0.28%
2002-4Q 38.16 38.16 38.49 38.16 38.49 0.86% 0.86%
2003-1Q 39.13 39.17 39.17 38.97 39.06 -0.18% -0.28%
2003-2Q 50.09 50.27 51.4 50.27 51.26 2.34% 1.97%
2003-3Q 64.13 64.24 66.43 64.24 66.04 2.98% 2.80%
2003-4Q 66.64 66.83 67.51 66.81 67.51 1.31% 1.02%
2004-1Q 86.36 86.59 88.24 86.59 88.23 2.17% 1.89%
2004-2Q 100.56 100.81 101.99 100.76 101.99 1.42% 1.17%
2004-3Q 82.51 82.59 84.97 82.59 84.97 2.98% 2.88%
全体平均 0.91% 0.96%
Q1平均 -0.46% -0.50%
Q2平均 1.32% 1.48%
Q3平均 1.34% 1.56%
Q4平均 1.43% 1.31%

ぱっと見た限り、前日比、当日比どちらも、プラスがずらりと並んでいるのが分かります。明らかに、日経平均と異なった動きが見て取れます。しかも 2Q, 4Q といった半期末は、オレンジで着色した高値引けの年が圧倒的に多くなっています。

さらに詳しく見ると、年末の4Qは、5年連続で高値引けです。2Q, 4Q については、ここ5年間負けなしの10連勝です。しかも1日の上昇率は1.5%に迫る勢いです。

この上昇はどんなふうに起こっているのか、ここ1年間の期末の1日チャートを見てみましょう。(出典: Yahoo Japan Corporation.)

2003-4Q JASDAQ平均


2004-1Q JASDAQ平均


2004-2Q JASDAQ平均


2004-3Q JASDAQ平均


圧巻ですね。始値から確実に、一直線に上昇しています。これは面白くなってきました。

結論1:
日経平均については「ドレッシング買い」は全く期待できない。逆に3月末期はマイナスになることが多い。
JASDAQ平均については「ドレッシング買い」が存在する。特に2Q, 4Qは目立っている。
JASDAQ平均の「ドレッシング買い」は大引けに向けて、一直線に上昇する現象となって現れる。

なぜJASDAQ平均にだけ、ドレッシング買いが発生するのでしょうか? 正直、はっきりした理由は分かりません。流動性が低い銘柄が多いため、日経平均より容易にコントロールできるからかも知れません。

理由はどうであれ(本当は理由が重要なのですが)、上昇しているのは明白なので、これをどう投資に結びつけるか考えて見ることにしましょう。

ご存知の通り、JASDAQ平均に連動したETFは存在しません。そこで、できるだけJASDAQ平均に添う銘柄を探し当てることができれば、その銘柄を「始値」で買って「終値」で売ることで利益を得ることができるはずです。

では、JASDAQ平均に添う銘柄とは何でしょうか? でもその前に、JASDAQ平均はどのように算出されるのか、確認してみましょう。

JASDAQのページによれば、「時価総額の比率を示したもの」とあり、TOPIXと同様の算出方法です。従って、時価総額が大きいものに値が左右されることになります。ということは、JASDAQの中で、時価総額が大きいものが、JASDAQ平均に添う銘柄になりそうです。

それでは、JASDAQの中で、時価総額が大きい銘柄はどれでしょうか。12/24日現在の値は次の通りです。

コード 銘柄 時価総額(億円) 寄与度
4755 楽天 10,268 8.86%
2702 日本マクドナルド 3,064 2.64%
8701 イー・トレード証券 2,351 2.03%
6892 シチズン電子 2,287 1.97%
4835 インデックス 2,180 1.88%

なんと言っても楽天です。この1銘柄だけで、ジャスダック平均への寄与度は8%もあります。しかし、2003年11月以前では、東証1部へとくら替えしたヤフーがいました。その当時の寄与度は、今になっては正確にわからないのですが、10-20%近くは占めていたと思います。

そこで、2003年11月以前はヤフー、 それ以降は楽天をターゲットにして、「始値」で買って「終値」で売ることで利益を得ることができるか、確認してみましょう(表中の株価は千円単位)。

期日 前日終値 始値 高値 安値 終値 前日比 当日比
1999-4Q 87,400 91,400 91,400 91,400 91,400 4.58% 0.00%
2000-1Q 69,300 64,400 64,400 62,300 62,300 -10.10% -3.26%
2000-2Q 41,500 41,550 43,000 41,200 42,050 1.33% 1.20%
2000-3Q 13,550 14,000 14,200 13,200 13,400 -1.11% -4.29%
2000-4Q 6,700 6,800 6,840 6,720 6,720 0.30% -1.18%
2001-1Q 5,610 5,600 5,700 5,250 5,320 -5.17% -5.00%
2001-2Q 4,100 4,150 4,360 4,140 4,280 4.39% 3.13%
2001-3Q 2,120 2,200 2,230 2,180 2,200 3.77% 0.00%
2001-4Q 4,080 4,150 4,180 4,080 4,080 0.00% -1.69%
2002-1Q 3,170 3,350 3,550 3,180 3,200 0.95% -4.48%
2002-2Q 2,400 2,480 2,580 2,480 2,580 7.50% 4.03%
2002-3Q 1,500 1,500 1,510 1,470 1,510 0.67% 0.67%
2002-4Q 1,470 1,460 1,480 1,460 1,480 0.68% 1.37%
2003-1Q 973 970 982 958 975 0.21% 0.52%
2003-2Q 1,830 1,840 2,000 1,840 1,950 6.56% 5.98%
2003-3Q 1,470 1,520 1,630 1,490 1,580 7.48% 3.95%
2003-4Q 465 472 475 467 472 1.51% 0.00%
2004-1Q 735 745 746 726 740 0.68% -0.67%
2004-2Q 835 835 838 827 833 -0.24% -0.24%
2004-3Q 667 677 722 668 717 7.50% 5.91%
全体平均 1.57% 0.30%
Q1平均 -2.69% -2.58%
Q2平均 3.91% 2.82%
Q3平均 3.66% 1.25%
Q4平均 1.41% -0.30%

うーん、残念ながら、JASDAQ平均と同様な動きは出ていません。Q2については抜群な成績ですが、Q4についてはマイナスになっています。その他にも、時価総額が大きいものをいくつか選んで試してみたのですが、きれいには出ませんでした。

結論:
ドレッシング買いを狙って、JASDAQ平均に沿った値動きをする銘柄を見つけ出すことができれば、始値で買い、終値で売ることによって、利益を得ることができる。
JASDAQ平均の時価総額が大きい銘柄を狙った方法では、Q2については良い成績だが、Q4は逆にわずかならが損となってしまうため、年末には適用できない。

今回の戦略は、大納会に適用できるかと思ったのですが、ここは我慢して、6月末まで持ち越す方が良さそうです。

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編集後記(From the Editor)

今回の調査で、昔のヤフーの株価を見ていて、1株1億円の時代があったことを思い出しました。その当時はITバブルの華やかな頃。私はアメリカにいたのですが、現地の仲間にも、このヤフーの株価と光通信の上昇は、よく知られていました。

光通信って、英語では覚えにくい発音だと思うのですが、アメリカ現地人から、その名前を問われた時にはびっくりしました。それだけあの上昇は衝撃的だったのでしょうね。

話を戻して、今回の戦略では、JASDAQ平均が上昇することは分かったのですが、どうしてもそれを戦略に結びつける方法が見つかりませんでした。最終日に有終の美を飾りたいと思っていたのですが、ちょっとできなそうです。

1日だけJASDAQに連動した投資ファンドに投資するという手もあるのかも知れませんが、手数料が高すぎて、とても利益を出せそうにありません。どなたか、JASDAQ平均が上昇する方に賭けることによって利益を得る方法を知りませんか? (最近、みなさんに聞いてばっかりですね)
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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!

GOOD LUCK!

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