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dantotsu

2004/2/15
株主優待銘柄は、直前の「信用売り」がお得です

「やったあ、優待券が入っている」。皆さんも経験があると思いますが、株主優待券が郵送されてくると、とても嬉しいものですよね。そして実際に利用すると、自分がまるでVIP扱いされているような気分で、さらに嬉しさが増します。

しかしながら良いことばかりではありません。この優待券を手に入れるためには、権利確定後(いわゆる権利落ち)の株価下落を覚悟しなければなりません。優待券と配当を合わせた価格よりも下げることもあり、結局、「権利確定前に売っておけばよかった!」 といった気持ちにもなります。

そこで優待権利を確保しつつも、この株価下落による損害をなんとか食い止める方法はないものでしょうか。いや、もう一歩進めて、株主優待銘柄の株価変動をチャンスと捕らえて、元手をプラスにするような投資方法はないものか、考えてみることにしました。

単純な発想をすれば、株価が下落するのですから「信用売り」すればプラスになります。その発想が正しいのか、去年12月および、今年1月の権利確定日と、その後の株価の変動を見てみましょう。(上昇率は、税引き後の配当額分を加味して計算しています)。

1月末の株主優待付き、信用売り可能な銘柄の上昇率(権利日終値を基準)
社名 権利日終値 権利落ち終値 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目
レナウン 129 123 -4.65% -6.20% -7.75% -2.33% 10.08%
トーホー   826 807 -1.54% -1.54% -1.90% -2.75% -2.87%
東京ド−ム*  372 367 -1.34% -3.76% -5.65% -4.84% -4.03%
東急百貨店 108 107 -0.93% -3.70% -5.56% -5.56% -2.78%
オーエス   650 650 0.35% 0.35% -2.88% -3.19% -3.96%
全体平均 -1.62% -2.97% -4.75% -3.73% -0.72%
日経平均 10,972.60 10,928.03 -0.41% -1.09% -1.76% -1.72% -1.79%
(薄赤色-日経平均より上昇, 薄青色-日経平均より下落)

12月末の株主優待付き、信用売り可能な銘柄の上昇率(権利日終値を基準)
社名   1日目 2日目 3日目 4日目 5日目
日本研紙   -14.03% -11.20% -13.09% -11.20% -4.60%
グローバルダイニング* -3.66% 6.44% 4.42% 1.89% 3.91%
サッポロホールディングス -3.01% -1.63% -2.32% 2.15% 2.15%
コカ・コーラ セントラル ジャパン -2.85% -3.60% -3.90% -4.05% -3.15%

コカ・コーラウエストジャパン

-2.72% -2.72% -2.72% -2.25% 0.52%
白洋舎*   -2.58% -2.25% -0.29% -1.27% 0.37%
近畿日本ツー -2.13% 0.85% 3.83% 5.96% 5.53%
三陽商会* -2.00% -2.28% -1.72% -1.58% -1.86%
三井グリーン -1.83% -0.99% -0.99% -2.39% -2.39%
アサヒビール -1.78% -2.19% -1.26% 1.85% 1.75%
東京都競馬 -1.30% -1.30% -0.51% -2.09% -0.51%
ロイヤル -1.05% -0.85% -0.15% 0.35% -0.05%
藤田観光*  -1.01% -0.20% 0.61% 0.88% 1.69%
ライオン -0.93% -1.96% -0.93% -1.27% 0.10%
すかいらーく -0.85% -0.79% 0.28% 0.34% 0.51%
三国コカ・コーラボトリング -0.73% -0.12% -0.37% 0.24% 0.86%
麒麟麦酒   -0.50% -1.15% -1.05% 0.15% 1.68%
大倉工業* -0.22% -1.15% -0.62% 1.11% 3.64%
キリンビバレッジ -0.10% -0.10% -0.10% -0.10% 0.46%
ザ・パック  -0.09% -0.09% 0.00% 0.27% -0.54%
近畿コカ・コ 0.27% -0.75% -0.49% -0.49% -0.49%
昭栄 0.39% -0.85% -1.16% -1.55% -0.78%
西友* 0.90% 4.50% 7.51% 9.01% 9.91%
セシ−ル* 1.13% -0.89% 0.28% 1.45% 7.32%
千趣会* 2.20% 5.05% 6.94% 14.06% 12.73%
全体平均 -1.02% -0.81% -0.31% 0.46% 1.55%
日経平均 -0.06% 0.44% 1.25% 2.94% 4.38%
(薄赤色-日経平均より上昇, 薄青色-日経平均より下落)

見事に薄青色に染まりました。配当を加味しても、市場平均より、権利確定後1日目で 1.0%〜1.2%、4日目には 2〜3% 下落します。「信用売り」投資として十分成り立ちます。

これをわずかな差とあなどらないで下さい。1年間繰り返せば、年率12%〜36% になります。しかも、ほんのわずかな期間の売買で済む、非常に効率が良い投資です。

なぜこんなことが可能なのでしょうか?

「信用売り」では、「税引き後配当金額相応分」を負担しなければならない決まりがあります(表では、その配当分を加味して計算しています)。しかしながら、株主優待金額相応分は負担しなくて良いことになっています。従って、確定日をまたいだ「信用売り」は、株主優待の金額分、有利なのです。

しかしながら、この方法を実践するにあたって、引っかかるものがあります。それは、12月の株主優待銘柄の「西友」「セシール」「千趣会」といった、大幅なプラス銘柄をつかんでしまうと、大損してしまう危険性が残っているからです(「信用売り」ですので、株価上昇すると、損します)。

これらの大損を避けるために、これら銘柄の共通点はないものかと探していると、ありました、ありました! それは、優待日近辺まで「トレンドが下降」でした。つまり、優待日が近づくにつれ、株価が下がり続けていたのです。そして権利落ち日から上昇していきました。

そこで、パラボリックチャートを利用し、優待確定日前の3週間において「トレンドが下降」のサインを多く出していた銘柄は投資対象から除外するこにします。さきほどの表の中で、銘柄名に星マーク(*)がついているものが、除外銘柄です。そしてもう一度、表の再計算をしてみます。(パラボリックチャートは、Yahoo にも、Lycos にもあるので、簡単に調べることができます)

株主優待付き、信用売り可能な銘柄の上昇率(日経平均との差分比)


1月末の株主優待付き、信用売り可能な銘柄の上昇率
1日目 2日目 3日目 4日目 5日目
日経平均 -0.41% -1.09% -1.76% -1.72% -1.79%
トレンド上昇分 -1.69% -2.77% -4.52% -3.46% 0.12%
日経平均との差分 -1.29% -1.68% -2.76% -1.73% 1.90%

12月末の株主優待付き、信用売り可能な銘柄の上昇率
日経平均 -0.06% 0.44% 1.25% 2.94% 4.38%
トレンド上昇分 -1.95% -1.73% -1.47% -0.83% 0.06%
日経平均との差分 -1.90% -2.18% -2.71% -3.77% -4.32%

おおお、見事な傾向と、その結果が出ました。これによって、大幅プラス銘柄を排除し、更に「信用売り」の効率を上げることができます。グラフを見る限り、権利日に買って、3日目に売るのが最も効果があります。

結論:
株主優待付き銘柄は、「信用売り」せよ。ただし、トレンド上昇銘柄に限る。これによって、1ヶ月につき 2.7%、1年では32.4%の利益が手に入る。


しかしながら「信用売り」で注意しなければならない事項があります。以下の項目をしっかり確認しておきましょう。
1. 税引き配当相当分は、2-3ヵ月後に別途徴収される。(配当が多い銘柄は注意)
2. 売りが多い場合、「逆日歩」を課せられる場合がある。特に1月、5月の連休が続く場合には、連休分が加算されるため、注意が必要。(低位銘柄には注意)
3. 確定日をまたいで信用銘柄を持っている場合、名義変換手数料を取られる。(小額ですが、必要経費です)


さらにもうひとつ、注意する事柄があります。それは、
「この投資方法が広まれば広まるほど、その効果は消える」ことです。これはどの投資方法にもあてはまるものです。いつまでもチーズは残っていません。早く気づいた人だけが楽しむことができます。

さて、話を元に戻しましょう。

この2月に、信用売り可能な株主優待銘が40ほどあります。そのうち、トレンド上昇の投資対象銘柄になりそうなものが、13ほどありました。私はそのうちのいくつかを狙って投資を実践する予定です。

そして実は明日、2月16日が権利日となる投資対象銘柄が一つあります。それは、「ホーマック」です。私の知らない企業であり、優待もいまいち(昨年は男爵イモ10Kg)であり、配当が高い銘柄のため、ちょっと迷っていますが、売値を高めに設定してチャレンジしてみようかと思っています。

そして一番最後に重要なお知らせをひとつ。
くれぐれも投資はご自分の判断で行ってくださいね。

ライン

2004/2/22
株主優待銘柄を買っていい日、いけない日

「この優待はいいなあ...」。雑誌での優待特集のページを読むと、あまり会社自体には興味がないのに、思わず優待の良さで買ってしまいたいことがあります。また、家族から依頼されて、どうしても優待銘柄を買う必要がある場合があります。

こういった優待狙いの銘柄は、出来るだけ権利日直前で買いたいのが心情です。しかしながら、高い値段で仕方なく買うのも避けたいものです。では、いつ買えば、安く手に入れることができるのでしょうか。

前回と同じ、昨年の12月末の優待銘柄の買い時を調査してみました。権利直前近辺で買うことを考慮し、権利日の1ヵ月前から、権利日当日までの株価の推移を見てみましょう。(全体25銘柄、11月25日=20(権利日20日前), 12月24日=0(権利日当日))



ちょっと分かりにくいですが、グラフを見ると、線が放射状に伸びているのがわかります。つまり、1ヶ月前から、確定日に向けて、上昇し続けるか、下降し続けるか、のどちらかになりやすいと考えられます。(中央の一番太い線が、日経平均の上昇率です)

因みに、1ヶ月間の上昇率トップ2社は、コカコーラウエストジャパンと近畿コカコーラです。共に権利日近辺を境に、株価が「下降」していきました。

一方、下降率トップ2社は、ニッセンとセシールです。こちらは逆に、権利日近辺を境に、株価が「上昇」していきました。

この結果から、権利日が、トレンドが変化するきっかけとなる日とも言えます。

では、実際に「買っていい日」、「いけない日」を見つけるため、最高値銘柄の多い日、最安値銘柄の多い日はいつなのか、見てみましょう。



グラフを見ると、13-20日前に高値をつけた銘柄と、0-7日前に高値をつけた銘柄の両極端です。安値銘柄も全く一緒の傾向です。(マイナス社数は、最安値をつけた社数を表しています)

これが意味するものは、権利日に向けて上昇している銘柄は休みなく上昇し続け、下降している銘柄は休みなく下降し続けることです。よって、前半で安値をつけたものは後半で高値になり、前半で高値をつけたものは、後半で安値をつけることになります。



結論:
・権利日に向け、上昇続けている銘柄が安くなるのを待つのは時間のムダになる可能性が高い。権利日まで2週間以上あるなら、できるだけ早めに買うべし。権利落ち日以降、ある程度下げるのは覚悟せよ。

・権利日に向け、下降している銘柄は、あせることなく権利日直前で買うべし。権利落ち日以降、上昇も期待できる。


3月は最も優待銘柄が多い月です。上手に買って優待を存分楽しめるように願っています。

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