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2004/2/8
急上昇銘柄を勢いに乗って買ったら大損?(1)
〜フィスコ銘柄編〜

毎日の株式ニュースで、その日の急上昇銘柄が必ず紹介されます。ニュースの内容が魅力的であればあるほど、思わず「すぐに買いたい!」と衝動買いの心境になることがあります。

もし、その感情に任せて、その翌日の朝一番(寄り付き)で購入した場合、その後に待ち受ける運命とはいかなるものでしょうか。とても興味があったので、実際の数字で追ってみることにしました。

下のグラフは、フィスコ社が今年の1月の第3週、1月13日から1月16日まで取り上げた銘柄を衝動買いした場合の結果です。

フィスコ社が取り上げる銘柄は、Eトレード証券やDLJディレクト証券からのメールマガジンにも紹介され、ニュースでも取り上げることがあるため、当日は非常に注目を浴びます。

翌日の朝一番で購入した場合の変化率(1月第3週の銘柄)
日数 翌日終値 3日後 1週間後 2週間後 3週間後
日経平均 0.26% 1.60% 2.00% 0.08% -2.98%
プラス銘柄(22) -0.96% -0.82% -0.62% -3.26% -7.98%
マイナス銘柄(5) 1.61% 1.00% 0.75% 1.63% 0.91%
格上(4) 1.92% 2.33% 2.19% -0.52% -3.64%

黒の線が、日経平均値です。この黒より上側にあれば、市場平均より良い成績であることを示しています。

青の線が、急上昇した翌日の朝一番で買った場合の22銘柄平均成績です。はっきりいってボロボロです。

ニュースの影響が完全になくなってしまう3週間後には、-8%の損です。この時の日経平均は -3%ですから、差分の-5%、余分に市場平均より損することになります。逆に「信用売り」すれば、+5% の利益を得ることが可能です。

その一方で、急降下した銘柄を思い切って買った場合、市場平均より +3.5% の利益を得ることができます。

また、面白い動きをしていたのが黄色の線の「格上」銘柄です。これは、投資会社が推奨レートを上げたために、急上昇した銘柄です。最初の数日間は、日経平均を上回っています。

これは面白くなってきました。
(1)急上昇銘柄を「信用売り」する (+5%)
(2)急上昇銘柄のうち、格上銘柄を「買う」(+2.5%)
(3)急降下銘柄を「買う」(+3%)

以上の各方法で、市場平均を上回ることを示しています。
特に(1)を1年間続ければ、年間+90%、市場平均を上回る利益を得ることになります。取引手数料を差し引いても十分利益が出ます。

しかしながら、1月の第3週の銘柄だけでは確信が持てないので、もう1週前の1月の第2週も調べてみました。

下のグラフは、日経平均と比較したグラフです。プラスであれば、日経平均を上回り、マイナスであれば、下回っていることになります。(注意:ここでは急降下銘柄は、取り上げ数自体が少ないので、今回は無視します)。

翌日の朝一番で購入した場合の変化率(1月第2週の銘柄)

日数 翌日終値 3日後 1週間後 2週間後 3週間後
上昇銘柄(20) 1.15% 1.51% 0.49% 0.53% 0.80%
格上銘柄(6) -0.85% 2.92% 3.77% 7.31% 5.34%

今度は、上昇銘柄も日経平均を若干回りました。「信用売り」すると、わずかながら損することになります。

格上銘柄は強し。なんと日経平均を5-7%上回る成績です。ニュース後の朝一番で買っても間に合うことになります。

格上銘柄が更に上昇する理由を推測するに、
・今まで注目されていなかった割安株であり、十分な上昇余地があること
推奨した会社が道義上、実際に買うため
ではないかと思われます。

結論:
(1)急上昇銘柄を翌日に衝動買いしてはならない。良くても日経平均並程度、悪ければ、さらに-5%の損が待っている。
(2)急上昇銘柄のうち、格上銘柄は、衝動買いしても、比較的良い結果を生み出す。


しかしながら、1月の第2週と週と、第3週でここまで違うと、信用して良いのか、迷う所です。1月の第2週は、年初めであるため、特殊性があるのかもしれません。または、単に月の週の違いなのかもしれません。

いずれにせよ、日経平均との乖離があるため、利益を生み出す土壌がありそうです。今後も追跡調査を行ってみようと思います。


最後に、参考までに1月第3週の調査した銘柄を掲載します。
--
(参考) 調査対象銘柄(薄青-マイナス銘柄, 薄赤-格上銘柄)

日付 コード 社名 理由 前日比 翌日寄付 3週間後
1月13日 1月14日 2月3日
6315 TOWA 連想 4.40% 1054 1151 9.20%
4660 ニッポン放送 連想 -10.42% 4100 4280 4.39%
3521 エコナック 連想 27.27% 57 50 -12.28%
9434 ボーダーフォン ニュース 7.72% 311000 255000 -18.01%
6302 住友重機 連想 4.08% 254 240 -5.51%
1972 三晃金属 連想 28.09% 263 213 -19.01%
4676 フジテレビ ニュース -10.65% 482000 503000 4.36%
1月14日 1月15日 2月4日
6676 メルコHD 業績 7.80% 3280 2885 -12.04%
6426 サミー 連想 4.50% 2935 3060 4.26%
6753 シャープ 格上 1.70% 1879 1776 -5.48%
1972 三晃金属 連想 8.58% 256 213 -16.80%
9984 ソフトバンク ニュース 2.87% 3960 3560 -10.10%
7004 日立造船 連想 10.68% 228 183 -19.74%
6758 ソニー 格上 3.82% 4110 4160 1.22%
1月15日 1月16日 2月5日
1813 不動建設 ニュース 31.91% 121 94 -22.31%
8075 神鋼商事 連想 11.98% 183 173 -5.46%
4921 ファンケル ニュース -4.85% 2990 3120 4.35%
5401 新日鉄 連想 -1.35% 220 208 -5.45%
無視! 9984 ソフトバンク ? -2.79% 3880 3580 -7.73%
6758 ソニー 連想 1.72% 4110 4230 2.92%
6507 神鋼電機 連想 2.68% 349 301 -13.75%
1月16日 1月19日 2月6日
5214 日電硝 連想 9.47% 2345 2220 -5.33%
8306 三菱東京FG 連想 3.89% 835000 784000 -6.11%
3593 ホギメディカル 業績 -8.79% 4550 4410 -3.08%
6796 クラリオン ニュース 5.70% 208 195 -6.25%
6448 ブラザー 連想 10.75% 1066 1016 -4.69%
8830 住友不動産 格上 6.56% 1129 1048 -7.17%
8515 アイフル 格上 6.67% 8990 8710 -3.11%


ライン

2004/2/8
急上昇銘柄を勢いに乗って買ったら大損?(2)
〜東証一部編〜

その日の東証一部の上昇率トップ5社は、メールマガジン、ニュース報道、翌日の新聞と、大々的に取り上げられます。しかしながら、1,2日後には下降率トップ5社として取り上げられることもしばしば目にします。

そこで前回のフィスコ銘柄編に続き、東証一部編についても、この機会を投資に結びつけられないか、調査することにしました。

下のグラフは、今年の1月の第3週、1月13日から1月16日まで東証一部企業の一日の上昇率トップ5社について、その翌日の朝一番(寄り付き)で購入した場合の結果です。

翌日の朝一番で購入した場合の変化率(1月第3週の銘柄)

日数 翌日終値 3日後 1週間後 2週間後 3週間後
日経平均 0.26% 1.60% 2.00% 0.08% -2.98%
上位5社平均(20) -1.47% -2.38% -0.89% -4.09% -7.03%
うち15%以上平均(8) -3.24% -4.38% -4.73% -11.88% -16.27%

上昇したトップ5社を翌日の朝一番に買ったら、見事に大損します。日経平均より −4% 悪い結果になりました。特に前日に 15%以上上昇した企業のみをピックアップすると、日経平均より -13.5%ほど悪くなります。100万円買ったら、3週間後には 86万5千円に減ります。

考え方を逆にすれば、前日15%以上上昇した東証一部銘柄を、翌日に逆に「信用売り」するだけで、3週間で 16% 、年率にすれば、270%を超える驚きの利益を手にすることができます。

しかしながら、1月の第3週間の8社平均だけを見て、信用して良いものでしょか。前回同様に、もう一週前の1月の第2週について、15%以上上昇した銘柄について、追加調査した結果が下のグラフです。

翌日の朝一番で購入した場合の変化率(1月第2週の銘柄)

日数 翌日終値 3日後 1週間後 2週間後 3週間後
日経平均 -0.34% -0.34% -0.60% 1.47% -0.17%
15%以上平均(20) -2.86% -1.96% -2.79% -1.27% -2.35%

残念ながら、下降率はわずかです。しかしながら、またもや日経平均より悪い結果です(注意:本来なら日経平均を銘柄数で加重平均を出すべきですが、計算単純化のため、省略しています)

結論:
(1)1日の上昇率トップクラスの銘柄を翌日の朝一番で買うことについて、相当慎重になる必要がある。
(2)1日の上昇率トップクラス、特に15%以上上昇した銘柄については、翌日の寄り付きで「信用売り」すると、良い結果が生み出される可能性がある。


翌日の「信用売り」は(売るには勇気が必要ですが)意外においしいのかもしれません。また機会がありましたら、年間を通じで同じ傾向なのか調べてみたいと思います。

最後に、参考までに1月第3週の調査した銘柄を掲載します。
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(参考) 調査対象銘柄(着色銘柄が当日15%以上上昇したもの)
日付 コード 社名 終値 前日比 翌日寄付 3週間後値 上昇率
1月13日 2月3日
1972 三晃金属 228 28.09% 263 213 -19.01%
3521 エコナック 56 27.27% 57 50 -12.28%
1826 佐田建 112 25.84% 106 89 -16.04%
8839 ニチモ 103 18.39% 98 75 -23.47%
7709 クボテック 221000 15.71% 212000 235000 10.85%
1月14日 2月4日
9786 キャッツ 300 19.05% 297 203 -31.65%
6581 日立工機 650 14.64% 620 631 1.77%
8193 鈴丹 129 14.16% 134 138 2.99%
8259 十字屋 74 12.12% 75 69 -8.00%
8038 東都水 225 11.39% 226 205 -9.29%
1月15日 2月5日
1813 不動建設 124 31.91% 121 94 -22.31%
1821 三住建設 98 13.95% 95 96 1.05%
1863 テトラ 250 13.64% 240 229 -4.58%
8075 神鋼商事 187 11.98% 183 173 -5.46%
8166 タカキュー 148 9.63% 145 145 0.00%
1月16日 2月6日
7958 天馬 1300 14.74% 1300 1447 11.31%
6765 ケンウッド 300 11.11% 310 306 -1.29%
6448 ブラザー 1030 10.75% 1066 1016 -4.69%
6792 ビクター 1040 10.64% 1060 1100 3.77%
5196 鬼怒ゴム 251 10.09% 260 223 -14.23%


ライン