2005/2/27
日経平均候補銘柄の上昇を狙う!
東京急行電鉄(9005)による東急百貨店(8232)の完全子会社化と、山之内製薬(4503)と藤沢薬品工業(4511)の合併が、4/1日に予定されています。この結果、日経平均から2銘柄(東急百貨店、藤沢薬品工業)が消えることになります。
i以前にもご紹介しましたが、毎度、日経平均の入れ替え採用銘柄は、
発表日翌日に急上昇するのがお決まりのパターン
です。
このため多くの投資家は、今回も同じと考え、この4月の採用候補銘柄についても予想し、「先回り買い」をしていることでしょう。
そして見事に予想が当たると、そのご褒美として、株価の上昇の恩恵を受けることになります。逆に、外れた場合はペナルティとして、株価の下落を覚悟する必要があります。
ならば、いっそのこと、
採用銘柄そのものを当てるよりは、採用候補銘柄について「かなり早めの先回り買い」し、その他大勢の投資家が「先回り買い」する時期の株価上昇を狙って、株を売れば、リスク無しで利益を得ることができるのではないでしょうか。
そこで今回は、採用候補銘柄について、「先回り買い」による株価が上昇するがあり得るのか? もし、もし、あり得る場合には、いつ購入し、いつ売却すればいいのか? について調べてみたいと思います。
それでは、日経平均の銘柄入れ替えルールが安定してきた 2001年以降について、実際に新規採用された銘柄を、採用候補銘柄と見立てて、発表日前の株価の推移をグラフにしてみましょう。
まずは、全体平均からみてみましょう。市場の影響を排除するため、TOPIXで差分調整し、採用発表日の終値の株価を100%としています。横軸は発表日を0とした場合の営業日数です
(注意: 下記18銘柄以外に、日本コムシスと日本航空があるのですが、いずれも株価コードが変わる前でしたので、データが取れず、除外しています)
。
グラフ は「先回り買い」が存在することを示しています。しかもそれは、発表日の一ヶ月以上前から始まっていて、4日前あたりまで続きます。
次に、各銘柄についても、同様に推移を確認してみましょう。
全体的に、ゆるやかに上昇していていることが分かります。「三井T.H」と「住友不動産」の2銘柄だけは、発表日前の下落が激しい特異な動きです。残念ながら、その原因は分かりません。
事実1
:
日経平均採用候補銘柄について、一ヶ月以上も前から、先回り買いによる株価上昇が発生している。
発表日4日前あたりまで上昇が続き、その後もみ合いとなる。
ここでひとつ大きな問題があります。それは、日経平均銘柄採用の発表日はいつか? ということです。日経平均銘柄の「
銘柄選定ルール
」には、いつ発表するかのガイドラインは存在しません。
そこで過去の発表日の特徴から、今回はいつ発表されるのかについて予測してみましょう。2001年以降について、その傾向を調べてみます。
発表日
実施日
理由
コード
銘柄
2004/9/7
第2週火曜日
2004/10/1
定期入れ替え
2282
日本ハム
2004/10/1
定期入れ替え
4324
電通
2004/10/1
定期入れ替え
9984
ソフトバンク
2004/3/16
第3週火曜日
2004/4/1
合併・持ち株対応
6674
GSユアサ
2003/9/9
第2週火曜日
2003/9/25
定期入れ替え
1963
日揮
2003/10/1
定期入れ替え
9766
コナミ
2003/8/19
第3週火曜日
2003/9/2
合併・持ち株対応
2779
三越
2003/3/14
第3週金曜日
(1日が土曜日)
2003/4/2
合併・持ち株対応
2768
ニチメン日商
2003/2/25
第5週火曜日
2003/3/13
合併・持ち株対応
8411
みずほF.G.
2002/11/19
第4週火曜日
2002/12/3
合併・持ち株対応
8316
三井住友F.G.
2002/9/5
第1週木曜日
2002/9/11
フジタ
整理ポスト入り(9/6)
8309
三井T・H
2002/9/19
定期入れ替え
4704
トレンドマイクロ
2002/9/19
定期入れ替え
7733
オリンパス光学工業
2002/9/19
定期入れ替え
8238
伊勢丹
2002/10/2
定期入れ替え
9737
CSK
2002/3/19
第4週火曜日
2002/4/2
合併・持ち株対応
8766
ミレアホールディングス
2002/3/3
2002/3/6
佐藤工業
整理ポスト入(3/4)
1947
日本コムシス
2001/12/6
2001/12/7
青木建設
整理ポスト入(12/7)
6367
ダイキン工業
2001/11/27
2001/11/28
新潟鉄
整理ポスト入(11/28)
8830
住友不動産
2001/9/11
第3週火曜日
(1日が土曜日)
2001/9/25
定期入れ替え
9021
西日本旅客鉄道
2001/10/1
定期入れ替え
1928
積水ハウス
2001/10/1
定期入れ替え
4511
藤沢薬品工業
2001/3/9
第2週金曜日
2001/3/23
日本製紙上場廃止
9201
日本航空
2001/3/27
合併補充
8233
高島屋
2001/3/27
合併補充
8253
クレディセゾン
2001/3/27
合併補充
9064
ヤマト運輸
じっくりみてみると、傾向をつかむことができます。ポイントは「整理ポスト入り日」と「火曜日」です。
事実2
:
日経平均銘柄採用の発表日について、整理ポスト日がある銘柄については、その前日に発表が行われる。同時期に、定期入れ替えがある場合は、一緒に発表する。
次の優先度として、火曜日に発表が行われる。月末近辺、または翌月初日に実施日がある場合、第2火曜日(月初が土曜の場合は第3)になる。ただし、入れ替え理由が「合併・持ち株対応」で存続会社がある場合には、もう1週遅くなることもある。
ごくまれに、第2金曜日(月初が土曜の場合は第3)となる場合もある。
以上の事実から、結論を導くことにしましょう。
結論
:
この4月の日経平均銘柄採用については、3月の第2火曜日である、3/8日に発表が行われる可能性が非常に高い。
発表日まで残りはあと7営業日である。先回りの上昇を狙う場合、すぐに買って、4営業日前あたりに売れば、市場平均より2%程度の上昇が狙える。
今回の戦略を試すには、残念ながら、ちょっと遅かったですね。9月に定期入れ替えがありますから、その時まで温存しておきましょうか。
株価上昇率も思った程ではないですが、新規採用候補銘柄は、流動性が高いと考えられますので、大量の資金を投入しても大丈夫そうな所が利点ですね。
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編集後記(From the Editor)
2001年の入れ替え発表日は、9.11テロのまさしくその日に行われました。この年の新規採用銘柄は、発表日の翌日に株価が下落していたので、当初、どこか私の調査を間違えてしまったのかと思いました。
あの日は、家に帰ったときには既に、貿易センタービルの1つが崩れ去った後でした。わずか2年ほど前に、私は、観光であのビルの屋上(吹きさらしです)に登って景色を眺めていました。その時を思い浮かべながら、呆然とテレビを見るしかありませんでした。
それから数日の間、アメリカ株は値が下がる一方でした。その時のマージンコールの恐ろしさについては、
「あんくるケンさんのきまぐれコラム」
に生々しく記載されています。またあの時と同じような衝撃が日本であったら、投資家としてどう行動すべきか、常に考えておく必要がありそうです。
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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!