2009/5/24
REITも権利日を狙っちゃえ!
ニューシティ・レジデンスが10月に突然破綻(民事再生手続き)し、JーREITに激震が走ってから半年以上が経過しました。今はJ-REITも比較的落ち着いてますが、配当利率は過去に比べてずいぶんと高い位置を保ったままです。
この水準ならば、
株式の配当や優待と同様に、この高い配当利率を狙って買いが集まる現象が起こるのではないでしょうか。
つまり、現在優待銘柄でも効いている「1-2ヵ月前に購入し、権利日(権利付最終売買日)前に売り抜ける」戦法が有効なのではないでしょうか。早速検証してみました。
調査対象はJ-REITが落ち着き始めた昨年の12月期配当から今年の4月期配当までの5ヵ月分の銘柄です。株価は配当後の調整(権利落ち日から株価に配当金を加えてます)を行っています。
グラフの横軸は営業日で、0の値が権利日です。縦軸は権利日の終値を100%した場合の、東証REITの配当込みの指数をどれだけアウトパフォームしたかの数値です。従って実際の値動きとは異なる事にご注意下さい。
見事に予想した通りのグラフができました。約1ヵ月前にあたる20営業日前に買って、権利日に売却することで、約8%程度市場平均をアウトパフォームします。その後は一旦下落するものの、それ程下落せずに済んでいます。
これで終わり... にしてもいいのですが、これだけでは少々寂しいので、中身を突っ込んで調べてみます。
やはり同じ配当金を狙うのであれば、配当率の大きいものを狙ってくるのではないでしょうか。そこでREIT全体の配当率の平均以上(配当大)のものと、以下のもの(配当小)でグラフを作ってみました。
これもまた見事に配当率が大きいものほど上昇する傾向が強いですね。平均のグラフだけでは分かりにくいでしょうから、株価に対する半期配当率を横軸にして、縦軸を権利日20日営業日から権利日までの上昇率を離散図にしました。
やはり半期配当率が高ければ高いほど上昇する傾向が強いようです。ここでちょっと注意してほしい事がありまして、この離散図から日本コマーシャル(3229)だけは抜きました。明らかに外れの位置にあったためです(半期配当14.94%,上昇率-20.53%)。
ここで視点を少し変えて、権利落ち日以降の推移に注意を払ってみると、配当率が大きいものは下落する傾向が見て取れます。個別に見ていくと、
半期配当率が9%を超える4銘柄(ジャパン・シングルレジデンス(8970)、プロスペクト・リート(8969)、東京グロースリート(8963)、日本コマーシャル(3229))
が明らかに他と推移が異なっていました。この4銘柄とそれ以外をグラフにしてみます。
権利落ち日以降の値動きで、大きく下に足を引っ張っているのは半期配当率が9%を超える4銘柄であることがよく分かります。破綻が怖いので配当を取った後に必死に逃げているのでしょうね。
もうひとつ別の視点で、空売り可能な貸借銘柄と、それ以外の信用銘柄との推移に違いがあるか見てみます。
貸借銘柄は半期配当率が小さいという理由もあるのでしょうが、権利日に向けた上昇率はあまりよくありません。更には権利落ち日以降も軟調な値動きです。なぜ権利落ち日以降も軟調なのかは、よく分かりません。
結論
:
リスクが取れる範囲で、半期配当率が高いものを中心に権利日20営業日前に買って権利日に売却するべし。半期配当率が高いもの、貸借銘柄は権利落ち日以降に下落する傾向があるので、どうしても配当が欲しい場合は注意せよ。
参考サイト:
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JAPAN-REIT.com
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編集後記(From the Editor)
予想配当利回りをチェックするには、参考サイトとしてご紹介しましたJAPAN-REIT.comの銘柄一覧が便利です。決算期でソート(▲マークをぽちっと押す)とすれば簡単に分かります。今からだと来月配当がちょうどいいので、東京グロスリート(8963)、MIDリート(3227)あたりでしょうかね... あ、自己責任でお願いします!
話題変更して、最近エクセルをいろいろと勉強しまして、今さらながら「オートフィルタ」と「ピポットテーブル」を使い出し始めました。
つくづくエクセルって便利ですね。プログラムを何も組まなくてもいろいろな角度から簡単に調査結果を算出できます。今回の調査でも何が要素として重要なのかを調べるのに「オートフィルタ」を使いまくりました。もっと早く勉強しておくべきでした...。
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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!
(オマケ) 日本コマーシャルを入れた場合の離散図です。かなり特殊要因が働いていることが分かります。