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投資手法VIX

2008/10/13
メガボトムはやってきたのか?

2008年の10月8日、10月10日と立て続けに日経平均株価が9%台の下落と、史上第3位の下落率を2回記録しました。もういくらなんでもここが大底だろうと思えるのですが、本当にそう判断して構わないのでしょうか。

つい先日全米No.1投資指南役ジム・クレイマーの株式投資大作戦という本を買いました。その中に、まさしく今、とても参考になりそうな記述がありました。本当の大底「メガボトム」かどうかを見分けるためのいくつかの指標です。

今回はその書籍の内容を参考にして、今が本当に「メガボトム」となっているのか、検証してみることにします。ただし、書籍の内容が本当に正しいのか、過去にその事が日本にも当てはまっているのかについて検証していません。従って完全に書籍におんぶにだっこの状態で進めますので、その点はご留意下さい。

書籍で紹介されているメガボトムの指標は、市場のセンチメントについて5個、売りの深さを測るものについて5個掲載されています。そして最終確認として2個があり、全部で12個あります。それぞれ全てについて青信号になった時がメガボトムが確認されたという事になるようです。

それでは1つづつ確認してみましょう。


[市場のセンチメント]
条件1: ニューヨーク・タイムズ指標
現象: 市場の悲鳴がニューヨーク・タイムズ1面に載る。
日本であれば、読売、朝日あたりでしょうか。10/11日の朝日新聞にはでかでかと1面に掲載されていました。ということで「○」。恐らくアメリカも「○」でしょう。

条件2: インベスターズ・インテリジェンス指標
現象: 投資家向けレターの執筆者担当に市場の見通しについて、ブルかベアか聞いたもので、ベア(弱気派)が60%以上を占める。
日本では同じものに該当するものはなさそうです。日経ヴェリタスの中に「プロの相場観」があるので、これが参考になるかも知れません(1週間後であるためかなり短期)。10/18日の時点ではブル派が多いです。急激に株価が落ち過ぎたため、これから上昇すると予想しているようです。ということで「×」。アメリカについては、メンバーでないと見れないようですので、「?」です。

条件3: 株式投信の解約率の上昇
現象: 投資信託の資金流出が2ヵ月連続で起こる。
8月の時点での日本の投資信託はまだ流入が多いです。それ以前も流入が多いです。9月以降はまだ発表されていません。日本はまだ「×」としましょう。アメリカは9月は記録的、10月も引き続き流出が起きているということです。AMG Data Services によれば、ETFを除いたもので9月は流出超。10月も毎週のように流出が続いています。さらに前のデータを見たい所なのですが、これもメンバーでないと見れないようです。アメリカは「○」にしておきましょうか。

条件4: VIX
現象: VIXが40を上回るような状態が3週目に入る。
日本はVIXに対応する指標がないので判断できません。VIX自体が瞬間的にでも40に到達したのが9/18日。その後一旦下がりましたが、恒常的に30を超えていますので、「○」としましょう。

条件5: オシレータ
現象: 「買越-売越比率(金額ベース)」が大きなマイナス値になる。
日本でこの指標にあたるものを私は知りません。アメリカではジム・クレイマーのサイト、もしくはS&Pが公表しているとのことですが、ジム・クレイマーのサイトはメンバーでないと見れません。S&Pでは、どこで公表されているのか全く分かりませんでした。したがって、日米とも「?」です。

[売りの深さ]
条件6: 新安値銘柄の続出
現象: 新安値をつけた銘柄が400から700(米国)。
日本語の書籍では、これが年初来安値(52週安値)なのか、上場来安値なのかの記載はありません(原文を見れは分かるのでしょうけれど)。とりあえず年初来安値とすると、日米共に「○」でしょうね。

条件7: 強制処分による売り圧力
現象: 証拠金不足による信用買いの強制処分が起こる。
書籍によれば、アメリカは1時半から2時半だそうです。10日のアメリカ市場では起こった感じもありますが、どうなんでしょうか。(出典: Yahoo Inc.)



日本は証券会社によって様々ですね。少々データが古いですが、ノミでもわかる株入門のページに一覧があります。一番の規模を誇るSBI証券では、追証がでる結果が出た日から3営業日後です(SBI証券のサイトで確認しました)。8日で到達した人は14日(火)、10日で到達した人は16日(木)が強制処分の日です。16日が信用処分のクライマックス? いずれにせよ、この強烈の下げで強制退場を受けるでしょうから「○」にしましょうか。

条件8: 出来高が急増
現象: 出来高が目立って増える。
日本はそれなりに増えていますが劇的という所まではきていません。ただ先物は結構あります。米国も出来高が多くなってきているようですが、まだという感じもします(どこを見たらいいのだろうか?)。判断が難しいので日米共に「△」としておきます。

条件9: 新規発行サイクルの底入れ
現象: 新規株式発行(IPO, PO)が成功裏に終了する。
メディサイエンスプラニング(2182)が10/7日上場で10%上昇の初値をつけましたが、それからは下落の一途。米国でもかなり停滞しているようです。ということで「×」にしておきます。

条件10:オーダー・インバランス現象の点滅
現象: 売買一時停止に伴う需給不均衡。
日本語訳だけでは一体なにを指しているのかわからないのですが、きっと特別売り気配のような事態ではないかと思います。日米でも十分に「○」でしょうね。

[カタリスト指標]
条件11: 千載一遇の買いチャンスをもたらす「イベント」
現象: 上げ相場に向かうための最後の起爆剤となるニュースが発生。
日本で言えば、りそなの国有化が該当しますでしょうか。アメリカだと、過去にイラク戦争が2回、連銀の金利引き下げが2回だったそうです。今回であれば、シティーの行方、米国政府と議会との和解、銀行間の取引の政府保証あたりでしょうかね?? (予測できるものは「イベント」にはならないか...) という事で「×」。
(同日: 追記 欧州の各国が銀行間取引の政府保証をつけるとの発表がありました。あとはアメリカ次第ですが、G7開催がカタリストになるか!?)

[底入れに先行する銀行株指数(BKX)]
条件12: BKXはメガボトムと一致または若干先行して上昇する
現象: BKXがボトムから10%以上上昇すると、反騰相場がかなり進行。
10/10日金曜日引け際にぴょこんと上昇しました。(出典: Yahoo Inc.)



ひょっとするかもという気もしますが、ボトムと全く関係なく上昇することもあるとのことで、その他の指標と合わせてみる必要があるとのことです。日本の銀行株指数はまだ反応していません。ということで日米共に「×」。

以上で全てです。ほとんどクリアしているのですが、メガボトムはすべて青信号が灯ってから... という事ですので、いくつかまだ満たしていないものがあります。

番号 条件 日本 アメリカ
1 ニューヨーク・タイムズ指標
2 インベスターズ・インテリジェンス指標 × ?
3 株式投信の解約率の上昇 ×
4 VIX ?
5 オシレータ ? ?
6 新安値銘柄の続出
7 強制処分による売り圧力
8 出来高が急増
9 新規発行サイクルの底入れ × ×
10 :オーダー・インバランス現象の点滅
11 千載一遇の買いチャンスをもたらす「イベント」 × ×
12 BKXはメガボトムと一致または若干先行する × ×


その中で特に気になるのが、あまりにも株価が急激に下がったために、No.2の「もういくらなんでも大丈夫だろう」「反発するまで売りは待とう」というセンチメントが残っていそうなことです。完全に投資家が降伏していそうにないですよね。

また、本当に売りの最後を告げる「カタリスト」が発生していないように思えるのです。

じゃあそれが一体いつ起こるか? なのですが、分かりやすい所で過去2回のメガボトム発生時期のVIXとダウ、日経平均株価の推移を見てみます。VIXが35を超えた所がスタートです。




どちらもVIXの山が2回あり、35を超えてから1ヵ月ちょっと経った後にやってきています。今回35を超えたのが9月17日。となると、10月下旬あたりが濃厚ではないでしょうか。

結論:
今回の下落はメガボトムの状況をいくつか示しているが、本当のメガボトムには達していないと思われる。投資家のセンチメントが完全に打ちのめされ、最後の究極のイベントが発生した時にメガボトムが訪れる。その時期は10月下旬が濃厚。

1998年の時、ダウはメガボトムよりも先に株価の安値がやってきました。2002年のメガボトムでは、日本のメガボトムは代行返上売りの影響もあってか、もう少し先(2003年4月下旬)でした。今回もメガボトムよりも先に最安値に到達しているのかも知れません。

参考:
全米No.1投資指南役ジム・クレイマーの株式投資大作戦


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編集後記(From the Editor)

今回の予想は正直、自信がありません(おいおい)。書籍の内容にあまりにも依存し過ぎていて、自分で過去のメガボトムを十分に検証できていないからです。それでも今後、メガボトムを検証するに当たり、ベースの資料として参考にして頂けたらと思っています。

今回の参考にした書籍は、以前に書店で平積みで売られていたのは知っていたのですが、その題名と表紙から、どうも買う気が起きなかったのです。

それがつい最近、土屋賢三さんがお薦めしていたので、これは買わないといかんと、アマゾンで早速購入したのでした。土屋賢三さんがお薦めの本は、ほぼすべて買っています。投資の方向性が似ている(と私は勝手に思っている)ため、とても参考になるものが多いのです。

その本の中に「メガボトム」を見分けるためのいくつかの指標が掲載されていました。ボトムばかりでなく、天井の見分け方も掲載されています。思い当たる所がたくさん。もう少し早く読んでいたら...。

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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!
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