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日経平均入れ替え

2007/11/11
8/20日に斉藤手法を試したらどうなった?

2007年8月17日、その日はサブプライム余波の第一波と円高による相乗作用で、日経平均は前日比 -5.42%と、歴史に残る大幅な下げを記録しました。

この日の大引け後、いわゆる斉藤手法に該当(25DMAからの乖離が-25%以下、5DMAからの乖離が-10%以下)する銘柄数は、市場の重複分と、東京と大阪市場以外の上場銘柄を除いて、113ありました。

過去の統計上、同時に50銘柄を超えるような時に斉藤手法を適用した場合、そのリターンはかなり良いものになります(斉藤正章さんがエンジュクさんのセミナーにて、もっと詳細な情報を提供しています)。

そこで、8/20日に斉藤手法を適用した場合、一体どんな結果が出たのか確認してみる事にします。

条件として、斉藤手法に該当した113銘柄全てについて、一律同額(実際にはありえませんが)投資し、-10%の含み損(評価損)を越えても追加投資はしません。終値で+10%以上の利益が出た場合、翌日の始値で決済します。暦上で60日を超えた場合はその翌日(今回は10/22に設定)の始値で一斉に決済します。

まずは損益グラフの推移です。相場の様子も分かりやすいように、TOPIXとJASDAQ平均のグラフも一緒に掲載します。初日は始値天井となった銘柄が多く、初日の終値でいきなり-5%近くの含み損となる厳しいスタートでした。



9月の中旬頃に最も厳しい時期がやってきましたが、最終的(10/22日)には、+8%超とまずまずの結果を得る事ができました。

上記グラフで、途中で損益率が-6%程度までで抑えられているため、これくらいなら耐えらそうな雰囲気があります。しかし、実際には途中で利益確定をどんどん進めるので、残っている銘柄の含み損が大きいものばかりとなります。

その様子を見るため、平均含み損益の推移と、利益確定していない保有中の銘柄数の割合とについてみてみます。左軸が「平均含み損益」、右軸が「113銘柄中、あと何%の銘柄が手元に残っているのか」です。



9月の中旬に、利益確定できていない銘柄が65%近く(73銘柄程度)あり、その銘柄の平均含み損が-20%近くもあるという、目を覆いたくなるような途中経過を経なければなりませんでした。そして最終的には30%近く(32銘柄)が利益確定できませんでした。斉藤手法に耐えられないのは、このあたりにも原因がありそうです。

そこで何とか効率の良い銘柄選択(できる限り早く利益確定ができる)がないものでしょうか。私は松井証券でスクリーニングしている関係から、そこに記載のある指標との関連を試してみました。

時価総額、セクター、市場、はたまたRSI、ストキャスティクスなど、いかにも関連しそうなものを調べましたが相関が薄く、半分あきらめかけて、えいや! とやったものが意外と効果があることがわかりました。それは「対日経平均ベータ値」です。

そこで、この日経平均ベータ値が高いもの順から買っていた場合、最終的にどれくらいの利益率になったのかのグラフをみてみましょう。(注:数値が出ていない銘柄がありますが、それらは上場間もない銘柄であり、対日経平均ベータ値がかなり高いと予想できますので、3.0として処理しています)



ベータ値が1.53あたりまでまとめて買っていれば、相当効率が良かった事が分かります。そして利益確定も相当早い段階で行った銘柄が集中していました。

どうしてこのような結果が生まれたのでしょうか? 「対日経平均ベータ値が高い」ということは、市場の動きに敏感であり、下げるときには一気に下落し、上がる時にも一気に上昇します。つまり、市場の値動きに巻き込まれて下げただけとも言えます。

一方でベータ値が低い場合、下げたのは市場の影響ではなく、個別に原因がある可能性が高いと想定できます。また、市場全体が復活したとしても、もともとベータ値が低いため上がりにくいといったことが考えられます。

ここで注意してほしいのは、これは8/20日のケースのみであり、過去のデータ全て検証したわけではありません。今回たまたまそういう結果が出ただけかも知れません。その点をご考慮下さい。

結論:
斉藤手法でどの銘柄に投資すべきか迷った時には、対日経平均ベータ値が高い銘柄(1.5以上)で選択するもの手である。ただし、これは8/20日の分のみで有効確認されたものであり、次回も同じ傾向になるか分からない。

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編集後記(From the Editor)

本当はこのネタを12月開催のセミナー用にとっておいて、そこまでは未発表にしておこうかと思ったのですが、しばらくぶりの投資戦略記事ですし、新鮮さがあるうちに公開した方がいいのではなかと思い、掲載しました。

しかし斉藤手法は精神的なタフさを要求されますね! 誰しもが真似できるものではないです。私も時々途中で逃げます(笑)。だからこそ、効果がいつまでも続いている投資方法なんでしょうね。

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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!

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