2006/7/9
監理ポスト、整理ポスト銘柄で勝つ!
ある日突然、自分が所有する銘柄の会社に、粉飾決算、虚偽記載疑惑が発生し、監理ポスト銘柄に指定されてしまった...
今年1月のライブドア事件で多くの投資家が巻き込まれたように、いつ「明日は我が身」になるのか分かりません。
もしこの時に判断を間違ってしまうと、今後の投資人生に大きな影響を与えてしまいかねません。こんな絶体絶命のピンチであっても、冷静な判断と行動で切り抜けたい所です。
そこで、過去の監理ポスト・整理ポスト銘柄の株価推移を調査し、その傾向を把握することで、逆境さえも味方にしてしまう技術を磨くことにしましょう。更にもう一歩進めて、監理ポスト・整理ポスト銘柄を自在に売買することによって、投資の幅も広げるのも楽しいと思っています。
それでは早速、
過去に東証で「粉飾決算、虚偽記載疑惑」によって監理ポスト入りした銘柄
を見てみます。私が調べることができた範囲では15銘柄が該当します。
コード
銘柄
所属
監理ポスト
発表日
整理ポスト
発表日
監理ポスト
解除発表日
上場廃止
7307
丸石ホール
2部
2004/6/7
2004/8/3
●
6390
加藤製作所
1部
2004/6/19
2004/7/1
9002
西武鉄道
1部
2004/10/13
2004/11/16
●
3714
アソシエント・テク
マザ
2004/10/21
2004/12/1
●
9013
伊豆箱根鉄道
2部
2004/10/26
2004/11/25
●
3102
カネボウ
1部
2004/10/28
2005/5/12
●
9404
日本テレビ
1部
2004/11/5
2004/11/19
2205
駿河屋
2部
2004/11/13
2004/12/6
●
4323
日本システム
2部
2005/2/10
2005/4/28
9792
ニチイ学館
1部
2005/5/23
2005/6/21
2758
ゼクー
マザ
2005/6/1
2005/6/15
●
6732
ノース
マザ
2005/9/22
2005/10/14
●
4753
ライブドア
マザ
2006/1/23
2006/3/13
●
4759
ライブドアマーケ
マザ
2006/1/23
2006/3/13
●
8014
蝶理
1部
2006/4/26
?
いろいろと世間をお騒がせした銘柄が並んでいますね。上場廃止になってしまったのが10銘柄、監理ポストから無事抜け出したのが4銘柄、まだ判断がついていないのが1銘柄あります。
この表をじっと見ていると、ある傾向が見て取れます。まず「粉飾決算、虚偽記載疑惑」によって「監理ポスト入り」すると、約1-2ヶ月の間に、整理ポスト入りするか、監理ポスト解除されるか決まります。
カネボウ(3102)
だけが例外です。
それから、マザーズや東証2部で「監理ポスト入り」すると、相当高い確率で「上場廃止」になります。唯一、
日本システム技術(4323)
だけが復活しています。会社基盤が脆弱なうちの粉飾であるので、致命的な問題に発生するためではないかと思います。
以上の傾向を頭におきつつ、
監理ポスト入りになった銘柄の株価推移
を見てみましょう。いろいろと調べていると株価推移は3パターンに分類できることが分かりました。それぞれについて見てみます。グラフはいずれも、監理ポスト入りの発表があった日をベースにしています。
まず
「高値安定銘柄」
です。「監理ポスト入り」したものの株価は75%以上をキープし、投資家から「まず大丈夫だろう」と思われた銘柄だと思います。
全部東証1部銘柄
です。実際に
カネボウ(3102)
以外は全て監理ポストを解除されています(
蝶理(8014)
はまだ判断がついていません)。
次に
「リバウンドあり銘柄」
です。一時期に株価が半値以下まで下がったものの、そこから株価反発を見せています。
ゼクー(2758)を除き、全て東証2部銘柄
です。
そして最後に
「リバウンドなし銘柄」
です。株価は下がる一方でリバウンドがほとんどない銘柄です。
西武鉄道(9002)を除き、全てマザーズ銘柄
です。
リバウンドを狙うのであれば、マザーズ銘柄は敬遠して、東証1部、東証2部に狙いを定めるのが良いでしょう。また運悪く、発表前に該当銘柄を所持していた場合には、マザーズ銘柄は即切りし、東証1部、東証2部銘柄は、リバウンドを冷静に見極めて売るのが良いようです。
事実
:
監理ポスト入りした銘柄の所属市場によって、その後の株価推移パターンがほぼ決まる。
その次に
「整理ポスト入り」が決定し、1ヶ月後に上場廃止になるまでの株価推移
を見てみましょう。これも調べてみると、2つのパターンに分類できました。グラフはいずれも、整理ポスト入りの発表があった日をベースにしています。
まず
「大幅上昇銘柄」
です。
西武鉄道(9002)とライブドア(4753)
が該当しています。どちらも上場廃止になったとしても、会社が存続し、十分な株主資産があると判断された銘柄です。「整理ポスト入り」がアク抜けとなり、急反発しました。
次に
「下落銘柄」
です。唯一、
アソシエント・テクノロジー(3714)
だけが明確なリバウンドをしていますが、後の銘柄は、だらだらと値下がりが続き、そのまま上場廃止となりました。
たとえ上場廃止が決まっても、冷静に株主資産を計算し、今の株価以上にあると判断できたら、買いに向かうのもありです。実際に
西武鉄道(9002)
はその資産の多さから、様々なファンドが手を上げていますし、
ライブドア(4753)
もしばらく存続できる十分なキャッシュと、会社のブランドを持っています。
事実
:
たとえ上場廃止が決まったとしても、株主資産がある銘柄は上昇する傾向にある。
最後に、
監理ポストを解除された銘柄の株価推移
を見てみます。全部で4銘柄です。監理ポスト解除の発表があった日をベースにしています。
意外や意外?
解除が発表されて大幅上昇したのは日本システム技術(4323)だけ
です。それ以外の銘柄は、あまり動きがありません。その理由を探るため、蝶理(8014)も含め、5銘柄の監理ポスト入り直前の株価と、監理ポスト解除発表日直前(蝶理は7月7日)の株価水準を比較してみます。
(2006/7/10 修正: 蝶理の株価水準
)
コード
銘柄
株価水準
TOPIX上昇率
TOPIX調整後の
株価水準
6390
加藤製作所
89.91%
103.35%
86.56%
9404
日本テレビ放送網
93.69%
99.79%
93.90%
4323
日本システム技術
56.69%
97.35%
59.34%
9792
ニチイ学館
96.91%
102.77%
94.14%
8014
蝶理
76.23%
91.29%
84.95%
こう見ると、
日本システム技術(4323)
が急上昇したのは、監理ポスト入り直前の60%程度の株価水準で、監理ポスト解除に意外感があったためだと思います。それ以外の銘柄は90%程度あり、解除は織り込み済みのようです。
ここで、解除翌営業日の一日チャートを見てみましょう。
日本システム技術(4323)
意外は、寄り天井気味。解除ニュースで一旦は買われた形跡があります。
加藤製作所(6390)
日本テレビ放送網(9404)
日本システム技術(4323)
- ストップ高
ニチイ学館(9792)
結果、
蝶理(8014)
は微妙な所ですが、監理ポストを解除されても、急上昇についてあまり期待せず、淡々と利益確定させる方が良さそうな気がします。
(2006/7/10 追記 : 結果、
蝶理(8014)
の株価水準は多少低めですので、少しは発表後の上昇に期待しても良さそうな気がします。安全策としては、寄り付きで売りたい所です。
)
事実
:
監理ポスト解除が発表されたとしても、その時の株価水準が高ければ、あまり株価の上昇は期待できない。
以上のことから、「粉飾決算、虚偽記載疑惑」によって監理ポスト・整理ポスト入りした銘柄に対する結論を導いてみましょう。
結論
:
監理ポスト入り銘柄を狙うのであれば、東証1部、2部のリバウンドをターゲットに、整理ポストを入り銘柄を狙うのであれば、株主資産がある銘柄にターゲットに絞るべし。
これで突然の「監理ポスト入り」が発表されても、怖くないですよね!?
参考サイト:
日本証券新聞
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編集後記(From the Editor)
今回の投資戦略はあくまでも、
過去に東証で「粉飾決算、虚偽記載疑惑」によって監理ポスト入りした銘柄
を対象にしたもので、「不適当な合併」や「TOB等による株式交換による上場廃止」はここに含まれていません。御留意下さい。
実はこの投資戦略、もともとは
「蝶理(8014)の監理ポスト解除」が近い
ことを考慮してその株価動向を見極めるために作成を開始しました。そして、いろいろ査を進めているうちに、面白い傾向が出てきたので、どうせならと「整理ポスト」まで手を広げたのです。
また、マザーズで「監理ポスト」入りした銘柄の、
アソシエント・テクノロジー(3714)、ノース(6732)、更にはライブドア(4753)
も、その前にMSCBを発行していました。参考までに投資戦略
「MSCB銘柄の傾向と対策」
の表をご覧下さい。MSCB発行から、相当資金繰りが厳しいことを事前に察知することが可能です。特に
ノース(6732)
は、かなり条件が悪いMSCBでした。
今まで「監理ポスト、整理ポスト銘柄」には手を出すことはなかったのですが、投資の幅を広げる意味でも、今回の調査結果を踏まえ、今後チャレンジしてみようかと思っています。
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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!