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2005/7/3
「米国相場逆張り法」は今年も健在か?

以前の投資戦略で、「米国相場逆張り法」は使えるか? をご紹介しました。この方法が日経マネー8月号に掲載されましたし、ちょうど一年の半分を過ぎたこともあり、「今年もこの方法は使えるのか?」「使えるのであれば、更に効率を上げる方法がないのか?」にについて検証してみたいと思います。

まずは前回と同様に、日経平均に連動するETFについて、今年も健在なのかについて調べてみます。前回はダウ指数を逆張りに利用しましたが、今回はナスダック指数も同時に検証してみます。

それでは早速グラフをみてみましょう。グラフ中「前日」とあるのは、前回同様、ダウ(またはナスダック)が前日比プラス(上昇)で終了した場合、「ETFを始値で売り、終値で買い戻す(売りオペ)」ことを行い、逆にマイナス(下降)で終了した場合、「ETFを始値で買い、終値で売る(買いオペ)」ことを行います。

また「当日」とあるのは、これも前回同様、当日の高値と安値の中間よりも高い値段で終了した場合は「プラス(上昇)」、その逆を「マイナス(下降)」とします。つまり、前日比ではなく、当日比で「プラス・マイナス」を定義し、同様に売り買いを実施します。

それでは実践結果を表にしてみます(「プラス(上昇)日」には「売りオペ」、「マイナス(下降)日」には「買いオペ」を行うことになります)。全部で118日(その他4日は前日米国株式取引なし)ありました。



月別 Dow前日買い Dow前日売り Dow当日買い Dow当日売り Nas前日買い Nas前日売り Nas当日買い Nas当日売り
1 3.27% 1.31% 1.95% -0.01% 3.01% 1.05% 3.53% 1.57%
2 1.12% 0.09% 1.73% 0.70% 1.21% 0.18% 0.52% -0.51%
3 0.60% 1.67% -1.25% -0.18% 1.02% 2.09% -1.16% -0.09%
4 -1.35% 1.62% -1.60% 1.37% -2.32% 0.65% -1.60% 1.37%
5 0.36% 1.86% -0.45% 1.05% 1.17% 2.66% -0.54% 0.96%
6 2.87% -0.36% 2.54% -0.70% 2.98% -0.26% 2.80% -0.43%
7 0.52% 0.00% 0.52% 0.00% 0.52% 0.00% 0.52% 0.00%
7.40% 6.19% 3.45% 2.24% 7.58% 6.37% 4.07% 2.87%
1日  0.115%  0.048%  0.118%  0.059%

今年もしっかりと利益が出ています。以前と違う点は、ダウまたはナスダックの前日比を利用した逆張りの方が、より有効な点です。買いオペと売りオペを合わせて、13.59%の利益です。

グラフ上、急激に落ち込んでいる4月の急落時は、1日で1-3%も損失を生みました。これを避けるために、1%程度のロスカットを設定すると、もう少し成績が良くなるのではないかと思います。

また、1日あたりの利益は 0.115%と、手数料を考慮すと株式では厳しく、現実的には先物やオプションを利用することになると思います。

事実:
「米国相場逆張り法」は今年も健在である。ダウの前日比に対する逆張りが有効で、半期で13%程度の利益があり、通期で26%程度が見込める。
一日あたりの利益は 0.115% 程度であり、手数料を考慮した取引を行う必要がある。

しかしながら、ここはもう少し粘って、先物やオプションを利用せずに利益を上げる方法を考えて見ましょう。

ETFは、日経平均全体の動きを指しています。もしここで、日経平均の動きを増幅(日経平均が動けば、その率以上に大きく動く)するような銘柄を探し出せれば、手数料を考慮しても、利益が生み出せるのではないでしょうか。

そこでいくつか候補となりそうな銘柄を、勝手にピックアップしてみます。まずは、日本を代表する銘柄と言っても差し支えない「トヨタ自動車(7203)」、私が知る限り、米国で流動性が最も活発な「ソニー(6875)」、そして日経平均寄与度トップの「京セラ(6971)」、最後に、ディフェンシブ銘柄の代表として、そして日経平均寄与度も高い「武田薬品(4502)」です。

以上の銘柄について、ETF同様にグラフ化してみます。









ずらっと並べてみましたが、ダウの前日比に対する逆張りが有効なのは全銘柄共通です。グラフの形状については、それぞれの銘柄の特徴が出ていますね。

トヨタ自動車はETFとほぼ同じような利益率です。ETFほど激しく動かない点が、投資しやすさにつながりそうです。京セラはETFとあまり関連せず、独特の動きです。利益率もETFに届かず、対象とするには厳しい銘柄です。

ソニーは、ETFの動きに沿っていて、更に利益率が向上していて使えそうです。更に使えそうなのは、武田薬品です。大きな深みにはまることなく、さらにETFの利益率を超えています。ディフェンシブ銘柄の本領を発揮しています。

武田薬品について、合計利益が19.61%、1日あたりの利益率は 0.166% と、ETF の 1.5倍近い成績を収めています。

事実:
利益率についてETFと比べた場合、京セラは下回り、トヨタ自動車はほぼ同じとなり、ソニーと武田薬品は上回る。
ソニー、武田薬品は、1.5倍もの良い成績を収めている。特に武田薬品は、大きな損失もなく、ディフェンシブ銘柄の本領を発揮している。

さらにここでもう一歩、1日あたりの利益率を上げることを考えて見ましょう。

最近はよく、米国相場の動きがはっきりせず、前日比とほぼ変わらずに終了する日があります。こういった場合は、日本の投資家が、米国の値を参考にしない可能性があります。そこで、はっきりとプラス・マイナスが認識できる、「前日比で0.2%を超える」場合のみ、取引を実施することにします。

つまりは、ダウの終値が、前日比で 0.2%を超える上昇があった場合は、「売りオペ」、ダウの終値が、前日比で -0.2%を超える下げがあった場合は、「買いオペ」を実施します。該当日は87日あり、除外日は 35日(うち4日は前日米国株式取引なし)ありました。

    ダウ前日比 0.2%以上の変動があった場合のみの実施結果
コード 銘柄 買いオペ 売りオペ 合計 1日当たり
1321 ETF 7.56% 7.33% 14.88% 0.171%
7203 トヨタ自動車 13.83% 3.76% 17.59% 0.202%
6758 ソニー 13.84% 7.31% 21.15% 0.243%
6971 京セラ 0.69% 10.76% 11.45% 0.132%
4502 武田薬品 9.83% 8.89% 18.72% 0.215%

見事に1日あたりの利益率が上昇しました。特にソニーはかなり良い値を出しています。とはいえ、1日あたり、100万円投資で 2430円の利益です。地道な作業となります。

結論:
「米国相場逆張り法」は健在である。ダウの前日比を参考にするのが一番利益を生む。
ETF以外の銘柄を適用する場合、海外で取引が活発な「ソニー」か、ディフェンシブ銘柄の「武田薬品」を狙うべし。
ダウの前日比で 0.2% 以上の差が出た場合のみ売買すると、1日あたりの利益率が向上する。ETFでも良いが、それ以上に「ソニー」「武田薬品」を狙うべし。

「ソニー」「武田薬品」を狙って、オプション取引を行うのが、効率が良いようです。

最後に、参考までに 2005/7/1日現在の日経平均寄与度が高い銘柄を掲載します。京セラは日経平均寄与度トップですが、あまり全体と同じ動きと同じにはならない所がまた、面白いですね。

証 券 銘柄名 株価 みなし比率 みなし株価 日経平均寄与度
6971 京セラ 8380 1 8380 3.02%
6857 アドテスト 8100 1 8100 2.91%
6762 TDK 7610 1 7610 2.74%
6954 ファナック 7060 1 7060 2.54%
7751 キヤノン 5880 1 5880 2.12%
8035 東エレク 5780 1 5780 2.08%
4502 武田 5520 1 5520 1.99%
7267 ホンダ 5490 1 5490 1.98%
9433 KDDI 515000 0.01 5150 1.85%
9735 セコム 4840 1 4840 1.74%

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編集後記(From the Editor)

以前にもお話しましたが、「米国相場逆張り法」は、私が勝手につけた名前です(笑)。恐らく他では通用しませんので、誰かと話す時には気をつけてくださいね。

今回の結果を見ると、前日の米国の株価の動きに「あせって」しまい、朝一番で売買してしまう姿が見えてきます。その時点で「売り」または「買い」圧力が消え、日中は、米国株の影響を打ち消す方向に移動します。

ポジションを確保している場合でも、米国株式の動きにあせらず、あわてず、立ち回るのが賢い方法のようです。

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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!

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