2005/5/1
TOPIX浮動株比率の調整を狙う!
多くの方は既にご存知とは思いますが、東証は4/28日の引け後に、TOPIX浮動株比率を発表しました。このTOPIX浮動株比率の反映は、TOPIXベンチマーク資産のポジション調整売買の分散化を図るため、3回に分けて実施します。
最初に 平成17年10月末、2回目に平成18年2月末、最後が平成18年6月末で完了します。従って、実質的なポジション調整は、まだ半年も先の話です。
しかしながら、このポジション調整売買は確実に行われます。
今後、TOPIX浮動株比率が相対的に低い銘柄は、売り要因となるため、株価が下落し、逆に相対的に高い銘柄は、買い要因となるため、株価が上昇することが想像できます。
更に、
このポジション調整売買が、出来高に対する割合が大きいと、株価の急上昇、急降下の原因となります。裏を返せば絶好の先回り投資機会となります。
そこで今回は、ポジション調整売買によるインパクトが大きい銘柄について調査することにしましょう。
まず最初に抑えるべき値は、
「TOPIXの浮動比率加重平均値」です。私の計算上では「0.6018」でした。
この値より浮動株比率が低いと「調整売り」が発生し、高いと「調整買い」が発生することになります。この調整による株数が、何日分の「買い」または「売り」インパクトになるかが重要です。
では早速、この加重平均値を基にインパクトを算出した表を見ることにしましょう。この表の前提として、いくつか理解していただきたいことがあります。それらは:
ここでの数値は、万全を期していますが、保証の限りではありません。
インパクト日数は、調整が1回で行われた場合の値です。
実際に調整は3回に分けて行われるため、
1回あたり、この値の約1/3が調整される
と思ってください。
時価総額は、4/28日の終値の株価で算出しています。但し、東証の終値とは限りません。重複上場している場合、他上場の終値の可能性もあります。
25日出来高平均は、最も活発に取引されていると思われる1市場のみで算出しています。
複数上場企業の場合は、他市場の出来高も追加してください。
東証発表の4/28日の東証一部時価総額「350兆8851億円」に対して、私の計算では「348兆6294億円」と、若干の開き(0.65%)があります。
この違いは恐らく、東証の終値で算出するか、他市場の終値で算出しているかの差にあると思います。もしかしたら他の要因もあるかもしれません。
TOPIXベンチマーク資産は、全株式の3%
として計算しています。
25日出来高平均は、株式分割または売買停止による差分調整は行っていません。
それではまず、「買いインパクト」上位30銘柄からです。
コード
銘柄
25日出来高平均
時価総額(億)
調整後の時価総額(億)
調整株数
買いインパクト(日数)
9507
四国電力
176636
5342
4007
1906782
10.79
8562
福島銀行
242240
328
279
2553334
10.54
9042
阪急ホールディングス
1170720
3739
3178
11480735
9.81
8329
もみじホールディングス
169.52
510
383
1583
9.34
9041
近畿日本鉄道
1824680
5553
4442
16830004
9.22
8563
大東銀行
150640
204
173
1370127
9.10
8379
広島銀行
575880
3145
2359
4619567
8.02
4528
小野薬品工業
120380
6564
4923
908145
7.54
8795
T&Dホールディングス
322920
12510
10008
2386190
7.39
5337
ダントー
40920
134
107
296421
7.24
9513
電源開発
404640
4400
4400
2755461
6.81
8377
ほくほくフィナンシャルグループ
1895880
3834
3067
12712809
6.71
8153
モスフードサービス
50800
492
394
316280
6.23
8754
日本興亜損害保険
1024840
5878
4408
6159826
6.01
8334
群馬銀行
621880
3004
2253
3730194
6.00
9533
東邦瓦斯
475360
2176
1523
2810455
5.91
9432
日本電信電話
20180.6
42053
35745
117721
5.83
3878
巴川製紙所
17320
141
92
95677
5.52
9506
東北電力
931152
10183
8147
4968833
5.34
9505
北陸電力
307844
4316
3237
1627860
5.29
4956
コニシ
18888
207
145
98405
5.21
7846
パイロットコーポレーション
22
191
124
112
5.11
8556
香川銀行
76760
494
346
390721
5.09
8766
ミレアホールディングス
3569.72
24697
19757
17064
4.78
9503
関西電力
1003840
20313
14219
4713002
4.69
7591
エクセル
17292
150
120
81166
4.69
9001
東武鉄道
1355920
3375
2531
6344009
4.68
1911
住友林業
187440
1683
1178
864584
4.61
4514
帝国臓器製薬
25440
250
175
117289
4.61
6644
大崎電気工業
41120
244
171
188729
4.59
トップは四国電力で、買いインパクトは10日程です。実際には3回に分けて調整されますので、1回あたり3日程度です。意外とインパクトは弱いように思えます。
それでは、「売りインパクト」の上位30銘柄をみてみましょう。
コード
銘柄
25日出来高平均
時価総額(億)
調整後の時価総額(億)
調整株数
買いインパクト(日数)
9434
ボーダフォン
1047.44
11127
556
-149309
-142.55
3717
NECシステムテクノロジー
10448
942
188
-490290
-46.93
9010
富士急行
38680
426
128
-1651453
-42.70
8543
みなと銀行
149800
804
241
-5761246
-38.46
8194
ライフコーポレーション
23936
746
194
-910736
-38.05
4774
NECソフト
21396
1181
236
-802976
-37.53
6340
澁谷工業
9852
245
83
-358898
-36.43
9081
神奈川中央交通
26920
370
111
-947818
-35.21
8182
いなげや
19800
499
170
-683615
-34.53
9232
パスコ
44040
214
43
-1519289
-34.50
7560
ユニマットオフィスコ
11232
266
67
-359865
-32.04
8211
相鉄ローゼン
11920
172
60
-360112
-30.21
8201
さが美
21600
159
48
-614346
-28.44
4537
エスエス製薬
66440
950
285
-1849711
-27.84
4529
日研化学
38160
241
72
-1055827
-27.67
1868
三井ホーム
43040
389
97
-1163686
-27.04
8048
シャディ
11432
206
62
-305221
-26.70
3116
トヨタ紡織
144124
4222
844
-3758912
-26.08
8864
空港施設
32040
335
100
-826012
-25.78
3513
市川毛織
15200
128
44
-389378
-25.62
7456
松田産業
10716
209
73
-272627
-25.44
7868
廣済堂
12684
201
60
-322027
-25.39
1978
アタカ工業
15360
108
32
-388530
-25.29
8621
UFJつばさ証券
485880
2208
442
-12082853
-24.87
8530
中京銀行
114560
794
270
-2838000
-24.77
4337
ぴあ
5980
188
47
-145811
-24.38
2578
四国コカ・コーラボトリング
12676
376
131
-300096
-23.67
8568
シンキ
60032
625
125
-1407646
-23.45
5191
東海ゴム工業
77956
1434
358
-1824628
-23.41
2734
サーラコーポレーション
22480
224
76
-525302
-23.37
「売りインパクト」の方が、はるかに強く出ています。トップは「ボーダフォン」の142日分です。
ここで注意して欲しいのは、前にも述べた通り、25日出来高平均は、1市場のみで算出しています。重複上場している場合は、出来高を合算してください。
もう少しインパクトは弱まる可能性があります。
事実
:
TOPIX浮動株比率の調整によって最も影響を受けるのは、浮動株比率が低く、流動性が乏しい銘柄である。
今回の改訂は、「買いインパクト」の影響を排除することに念頭を置いているようですが、そのために浮動株比率が低い銘柄の調整による「売りインパクト」については考慮されていない気がします。長年の歪みを調整するための、避けて通れない道なのかもしれません。該当銘柄は業績と関係なく売られるので、ちょっとかわいそうですね。
結論
:
TOPIX浮動株比率の調整による「買いインパクト」は小さい。浮動比率が高い銘柄を「買う」よりは、「過剰買い」で上昇した所を「売る」戦法が得策と思われる。
TOPIX浮動株比率の調整による「売りインパクト」は大きい。浮動比率が低い銘柄の「過剰売り」がなければ、素直に「売る」戦略が得策と思われる。
今回の浮動比率の調整は、「売り」がとても有効のような気がします。
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編集後記(From the Editor)
今週の投資戦略は、本当はお休みのはずでしたが、「TOPIX浮動株比率」の発表がありましたので、予定を変更してお届けしています。
ここまでお読み頂いた方々へ感謝の気持ちを込めて、今回の投資戦略で使った表をエクセルファイルを公開致します。私が間違っている箇所があるかもしれないので、皆様に確認して頂きたい意味もあります。数式を残してありますので、自由に数値調整することもできると思います。
都合により、ファイル公開を取りやめることもありますので、ご承知下さい。また、最初のタブにある「はじめに」は必ず読んでくださいね。
TOPIX浮動株比率のインパクト調査ファイル
--
くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!