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RNプライム指数

2005/3/28
RNプライム指数を先回り!

TOPIXは現在の所、日本国内における市場全体の動きを表す指数として、ほぼ唯一の存在といえます。しかしながら、あまりにもこの値をベンチマークとしている投資信託が多いため、様々な弊害が起きてきました。

その代表的なものは、「浮動株数の考慮をしていないため、流通株不足の場合に株価が急上昇する」ことと、「東証一部以外の市場において時価総額の高い銘柄が、インデックスから外れ、代表的な指数としては要件に欠く」ことです。

そんな中、ある指数が注目されつつあります。それは「RNプライム指数」(RUSSELL/NOMURA Prime インデックス)です。この指数は「浮動株調整」を行い、「東証一部の銘柄に限らない」ことから、TOPIXの弊害を解消しています。国際的に通用するインデックスのMSCIも同様な仕組みを持っています。

そして2/15日、大阪証券所にて「RNプライム指数先物取引」を開始するとのリリースがなされました。実際に指数先物の売買が可能となることにより、ベンチマークとしての魅力が増しました。野村證券と大阪証券取引所が協力し、今後も盛り上げる姿勢を見せています。

こうなると、ベンチマークを「TOPIX」から「RNプライム指数」に乗り換える投資信託が、いくつか出てきても不思議ではありません。この移動により、最も株価にインパクトを与えるのが、「東証一部以外のRNプライム指数採用銘柄」です。

東証一部銘柄は、多少の株数調整はあるとしても、引き続き同じ銘柄を所持し続けます。しかしながら、東証一部外銘柄は、全て新規に購入されるのです。

そこで、少々前置きが長くなりましたが、この「RNプライム指数」について「東証一部外銘柄」の買いインパクトを調査し、投資戦略に結びつけるてみることにしましょう。

まずはこの「RNプライム指数」について、詳細は野村證券および大阪証券取引所のサイトに任せるとして、いくつか代表的な特徴をピックアップしみましょう。
  • 日本国内1,000銘柄が対象で、「浮動株調整済み」で指数計算を行う
  • 東証一部銘柄以外に68銘柄が存在する(2005年3月段階。 内訳 大証一部(O1)-4、東証二部(T2)-15、大証二部(O2)-4、ジャスダック(JQ)-32、 ヘラクレス(HC)-2、マザーズ(M)-11、名古屋(N)-2)
  • 浮動調整株は、過去2年の平均で算出
  • 極端な流動小銘柄は除外する
  • 年に一度、12月の第一営業日に定期入れ替えを実施する
浮動株調整(安定持ち株比率)については、野村證券のページで公開されています。また、全体の中での指数貢献度(1bp = 0.01%)についても公開されています。この「指数貢献度」の値を利用して、東証一部外の68銘柄について、買いインパクトを調べることにしましょう。

その前に、ひとつ問題となるのが、「RNプライム指数」を元に運用する投資信託が、どれくらい現れるかです。TOPIXを元とした運用資金については、TOPIX買い日の出来高を元に、東証一部時価総の約2.5% が該当すると仮定すると、3/25日の東証一部時価総額 369兆9882億 x 0.025 = 9兆2497億円 となります。

ここで、「RNプライム指数」へのベンチマーク変更により移動する額が、TOPIXの10%程度と仮定すれば、約1兆円となります。もしかしたら、TOPIX以外の指数からのベンチマーク変更もあるかもしれませんが、ここでは無視することにします。

以上のことから、1兆円が「RNプライム指数」に沿った運用を行うとして、その買いインパクトを計算することにしましょう(ZAI 5月号では、3兆円で計算していますが、そこまでいくかは、ちょっと疑問です)。

下記の表は、買いインパクトが大きい上位10銘柄です。3/25日の株価終値と25日平均出来高で計算しています。野村證券のページでは、「指数貢献度」が2月末の株価を基準としているため、多少誤差はあると思いますが、結果にそう違いはないと思います。

コード 銘柄名 市場 指数貢献度(bp) インパクト(日数)
9044 南海電気鉄道 O1 6.12 10.02
9045 京阪電気鉄道 O1 6.72 7.85
8073 T・ZONEホールディングス JQ 3.46 7.71
8919 やすらぎ N 3.25 6.13
8283 パルタック JQ 1.37 3.72
4526 理研ビタミン T2 1.31 3.66
7716 ナカニシ JQ 1.43 3.43
7947 エフピコ T2 1.12 3.32
9873 日本ケンタッキー・フライド・チキン T2 0.7 2.66
6413 理想科学工業 JQ 1.54 2.60

南海電気鉄道がトップで、約10.02日分の買いインパクトが生じます。先回り投資にとっては、なかなかいい値ですね。

ところでこの「RNプライム指数」について、購入が既に始まりつつあるのでしょうか? そこで、ここ最近50日間の、東証一部外68銘柄の平均推移をみてみましょう。この平均推移は、指数貢献度を考慮した値で調整しています。


発表日以前は、JASDAQ平均より、東証一部外銘柄の方が高く、発表日以降は、ほぼ同じ推移です。発表日以前にはなぜ東証一部外銘柄の方が高いのかについてですが、もしかしたら、発表当日の値上がりを狙って持っていた先回り組が、期待ほど上昇せず、投げ売ったのかも知れません。

発表日以降は、JASDAQ平均との乖離は出ていないようですので、まだ影響があるほどの購入は始まっていないようです。まだ様子見段階なのかもしれません。

では一体、いつから購入が始まるのでしょうか? 先物指数の開始日が4/25日、最初の清算日は6月の第2金曜日ですので、どちらかの前あたりに急に買い増しされるかも知れません。

結論:
「RNプライム指数」による運用資産が約1兆円と仮定した場合、いくつかの東証一部外の採用銘柄は、数日分の買いインパクトが生じる。
「RNプライム指数」について、採用銘柄の本格的な購入についてはまだ始まっていない。今後あるとすれば、上場日の4/25日か、最初の清算日の6月第二週の金曜日の前あたりではないか。

「TOPIX買い」の現象を見ていて思うのですが、よほど株数がひっ迫しない限り、買いインパクトを基とするよりは、浮動株調整後の時価総額が大きい方が、上昇する傾向にあります(最近は不安定ですが)。

これは恐らく、「RNプライム指数」をベンチマークとはするが、インデックスファンドではない投資信託が、市場の動きにはある程度ついていくため、指数貢献度が高い銘柄は購入するが、それ以外は購入せず、独自で運営するスタイルを取るためでしょう。

そこで最後に、全68銘柄のご紹介を兼ねて、「指数貢献度」が高い銘柄順に、掲載します。京阪電気鉄道と南海電気鉄道は、指数貢献度もインパクト日数も高い、なかなか良い銘柄です。ニッポン放送は、指数を組み入れる人にとって、悩ましい銘柄でしょうね。

コード 銘柄名 市場 指数貢献度(bp) インパクト(日数)
4755 楽天 JQ 14.41 0.19
9045 京阪電気鉄道 O1 6.72 7.85
4813 ACCESS M 6.17 0.22
9044 南海電気鉄道 O1 6.12 10.02
8739 スパークス・アセット・マネジメント投信 JQ 4.67 0.46
4660 ニッポン放送 T2 4.62 0.14
4753 ライブドア M 4.44 0.02
8437 ファイナンス・オール HC 4.24 0.52
8698 マネックス・ビーンズ・ホールディングス M 4.15 0.23
4835 インデックス JQ 4.03 0.40
7873 アーク JQ 3.85 0.52
8073 T・ZONEホールディングス JQ 3.46 7.71
8919 やすらぎ N 3.25 6.13
9449 グローバルメディアオンライン T2 3.1 0.15
3722 日本ベリサイン M 2.95 0.27
2330 フォーサイド・ドット・コム JQ 2.82 0.28
4842 有線ブロードネットワークス HC 2.81 0.34
2702 日本マクドナルドホールディングス JQ 2.8 2.24
6892 シチズン電子 JQ 2.71 0.52
6720 プリヴェチューリッヒ企業再生グループ T2 2.55 0.20
3727 アプリックス M 2.09 0.41
7458 第一興商 JQ 2.03 0.52
8518 日本アジア投資 JQ 1.99 0.87
4564 オンコセラピー・サイエンス M 1.84 1.03
4751 サイバーエージェント M 1.81 0.17
4563 アンジェス MG M 1.66 0.89
4315 日清医療食品 JQ 1.65 2.23
6727 ワコム JQ 1.65 0.46
8624 いちよし証券 T2 1.64 0.49
4331 テイクアンドギヴ・ニーズ T2 1.61 0.30
6143 ソディック T2 1.58 0.83
4065 紀文フードケミファ T2 1.55 1.18
4329 ワークスアプリケーションズ JQ 1.55 0.38
5727 東邦チタニウム T2 1.55 0.16
6413 理想科学工業 JQ 1.54 2.60
6960 フクダ電子 JQ 1.51 1.82
3113 ビーエスエル T2 1.49 0.08
6425 アルゼ JQ 1.46 0.67
2688 レインズインターナショナル JQ 1.46 0.50
7716 ナカニシ JQ 1.43 3.43
6134 富士機械製造 N 1.43 2.30
2799 ネクサス JQ 1.42 0.20
8186 大塚家具 JQ 1.4 1.84
8283 パルタック JQ 1.37 3.72
7279 日本ケーブル・システム O2 1.37 2.45
8589 アプラス O1 1.37 1.21
9318 ジェイ・ブリッジ T2 1.35 0.19
8545 関西アーバン銀行 O1 1.33 0.61
4526 理研ビタミン T2 1.31 3.66
2767 フィールズ JQ 1.29 0.32
7287 日本精機 T2 1.25 0.46
7740 タムロン JQ 1.23 0.40
2790 ナフコ JQ 1.16 1.70
7947 エフピコ T2 1.12 3.32
8925 アルデプロ M 1.04 1.51
7579 オリジン東秀 JQ 1.01 2.24
4847 インテリジェント ウェイブ JQ 0.99 0.30
4741 インターネット総合研究所 M 0.96 0.91
7645 日本トイザらス JQ 0.95 0.62
5384 フジミインコーポレーテッド JQ 0.94 2.41
9841 BMB JQ 0.85 2.10
6939 ユー・エム・シー・ジャパン JQ 0.83 0.69
8836 ヒューネット JQ 0.83 0.68
9436 沖縄セルラー電話 JQ 0.81 0.56
4966 上村工業 O2 0.8 2.59
2370 メディネット M 0.79 1.41
3605 サンエー・インターナショナル T2 0.79 0.66
9873 日本ケンタッキー・フライド・チキン T2 0.7 2.66

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編集後記(From the Editor)

「RNプライム指数」に刺激を受けたのか、日経新聞が土曜日に、「日経JAPAN1000」という、浮動株ベースの指数の算出開始についての報道発表を行いました。対抗意識丸出しのような気がします。「RNプライム指数」とは、いくつか銘柄が異なっています。

現段階では、「日経JAPAN1000」よりも、先物指数上場を決めた「RNプライム指数」をベンチマークにした方が、投資信託としては運用しやすいと思います。ただ、「野村證券」の色がついているため、嫌がる投資信託は「日経JAPAN1000」を採用したいと思うかも知れません。

いずれにせよ、新規の指数について研究し、先回り買いを狙いたい所ですね。
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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!

GOOD LUCK!

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