2005/3/6
満月に株価トレンドは変化する?
「月」と「人間の行動」の関係については、昔から様々な噂が多くあります。「満月に狼に変身する」といった類から、「満月には殺人や放火が多発する」、「満月には出産が多い」といった事も言われています。
投資の世界でも、
「満月か新月になると相場のトレンドが変わる」
。こんなことを、信頼のおける2人の方から聞きました。「それはオカルトである」と切り捨てるには、もったいない情報ですので、なんとか証明し、利用したくなるのが心情です。
そこで今回は、「株価は、満月または新月時に、トレンドが変化するか」、また、それを「投資戦略として利用できないか」について取り上げたいと思います。
では早速...と言いたい所なのですが、それ以前に、いろいろと「あいまい」な部分を決定しなければなりません。まず
「月齢(新月は 0 または 29.530, 満月は 14.765)」
について、何時を基準とするかを決める必要があります。
「月というからには夜の時刻であるべき」という気もします。しかしながら相場は日中に行われますので、
日本時間の昼12時の時点を「月齢」
として採用することにします。また、
「満月」または「新月」に最も近い月齢の日を、「満月日」「新月日」
として採用することにします。
次に「トレンドの変化」についてですが、何をもって「トレンドの変化」というべきかを決める必要があります。「株価のピーク時」を指すのでしょうか? それとも、「トレンドからの離脱した時」を指すのでしょうか。それとも???
今回は、
「株価のピーク時」および「トレンドからの離脱した時」の両方を「トレンドの変化」と定義
します。
それでは「株価と月齢」との関係について調べてみましょう。
最初に、
1991年から2004年までの、ザラバ中、日経平均最高値をつけた日と、最安値をつけた日を、トレンドの変化日
と仮定し、月齢と関係があるか調べてみましょう。
まず、各年の「最高値日、最安値日」と「月齢、満月日・新月日」との関係を見てみます。
最高値日
月齢
満月/新月からの
経過日数(営業日)
最安値日
月齢
満月/新月からの
経過日数(営業日)
1991
3月18日
3.4
新月
12月11日
5
新月+4
1992
1月7日
2.2
新月+1
8月19日
20.3
満月+4
1993
9月3日
16.3
満月+2
11月29日
15.2
満月
1994
6月13日
3.8
新月+2
1月4日
21.7
満月+2
1995
12月28日
6
新月+4
7月3日
5.1
新月+3
1996
6月26日
10.1
新月+8
12月26日
15.4
満月+1
1997
6月26日
20.8
満月+4
12月29日
29
満月+11
1998
1月26日
27.4
満月+8
10月9日
18.4
満月+3
1999
11月24日
16
満月
1月5日
17.2
満月+1
2000
4月12日
7.4
新月+5
12月21日
25.2
満月+8
2001
5月7日
13.5
満月
9月21日
3.7
新月+4
2002
5月27日
13.7
満月
10月10日
3.7
新月+3
2003
10月21日
25
満月+7
4月28日
26.3
満月+5
2004
4月26日
6.6
新月+5
2月10日
19.2
満月+2
なんとなく、満月日・新月日からすぐあたりで「トレンドが変化」している日が多いような気もします。そこで月齢との関係をグラフにして見ます。
月齢と関係があるのであれば、横軸のある箇所に点が集まるはずですが、ぱっと見た限り、それが見て取れません。月齢とは関係ないと言えそうです
事実1
:
日経平均の年内の「ザラバ中最高値日と最安値日」と「月齢」の間には関連がなさそうである。
次に、もう少し短い期間でのトレンド変化を捉えているか見てみます。ここでトレンドをあらわす指標として、
20日期間のRCI を利用します。RCIはトレンドを数値で見るのは優れています。また、20日という期間は、月の周期29.530日の営業日数とほぼ一致するためです。
それでは、2001年から2004年までの4年間の日経平均について、「トレンドの変化」がピークを表すこととして、「RCIが80%より下降した日」、「RCIが-80%から上昇した日」と月齢の関係を見てみます。
また、「トレンドの変化」が「トレンドから離脱した日」を表すこととして、「RCIがプラスからマイナス、またはマイナスからプラスに転換した日」と月齢の関係も同時に見てみます。
どちらのグラフにも、横軸のある箇所に点が集まるような現象がみられません。
事実2
:
日経平均における20日期間のRCIを「トレンド変化」の指標として利用した場合、月齢との間には関連がなさそうである。
結論
:
日経平均の年内の「ザラバ中最高値日と最安値日」と「月齢」、および、20日間のRCIを指標とした「トレンドの変化」と「月齢」の間に関連は薄い。
「満月日」「新月日」を利用した戦略は見出せない。
最後に、今年の日経平均の株価と「満月日(○)」「新月日(●)」を見てみます。関係があるような、ないような、なんとも言えない所です。
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編集後記(From the Editor)
月齢と株価の関係をなんとか探り出そうとしたのですが、今回の調査結果では、見つけることはできませんでした。しかしながら、「トレンドの変化」をどう捉えるかによって結論が変わる可能性があります。
この「トレンドの変化」を、どの指標で計るのが最も適当か、ものすごく悩みました。悩みぬいた末、20日間のRCIを利用したのですが、それが妥当な指標なのかは、正直、分かりません。
客観的に「トレンドの変化」を数値として検証できる指標が見つかれば、再度挑戦したいと思います。「月」と「株価」と関係は、夢があって、面白そうですから。
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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!