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dantotsu

2005/1/23
早くも今年の高値 到来?

先週の金曜日の1/21日に、日経金融新聞の「スクランブル」欄に気なる記事か掲載されていました。それは、「早くも今年の高値 到来?」の見出しで「信用評価損益率に過熱感が出ている」というものです。

この「信用評価損益率」についての詳しい解説は、infoseekのページに任せるとして、ざっくりと言えば、投資家全体の信用取引で、どれくらい儲けているかを表す指標です。日経新聞社が独自に算出しています。

この指標は、ほとんどプラスになりません。つまり、投資家全体では、いつも信用評価損を抱えていることを意味しています。この理由の解説では、「投資家は儲けが少しでも出ると、すぐに利益確定するが、損が出ると我慢して持ち続ける」とあります。

この解説は、私自信のトレード方針とは逆(勝ち馬にはいつまでも乗るが、自分の予想に反したらすぐに切る)です。本当なのか疑問な所ではあるのですが、とりあえず、そんなものだと割り切ることとして、まずは「信用評価損益率」と「株価」の関係をみてみましょう。



記事にもありましたが、この信用評価損益が、おおよそ-3%に近づくと、株価の天井を迎えていることが分かります。そしてこの現象は年に1度程度しかなく、同時にその年の最高値を迎えます。つまり、株価のピークを読み取るに優れた指標であることいえます。

今年は早くもその値を超えてきました。よって、「早くも今年の高値 到来?」となるわけです。しかしながら昨年のパターンを見ると、約1ヶ月の間、その値を越え、-3%よりも更に上昇していきました。従ってまだ「高値」と言い切るには早い状況です。

また、このグラフから読み取るのが難しいですが、信用評価損益の最高値の山が来たすぐ後に、日経平均の最高値の山がきます。つまり、わずかながらの株価の先行指標にもなっているのです。

それならば、この信用評価損益の移動平均を取れば、ゴールデンクロスやデットクロスでの売買サインの先行指標として利用できるかもしれません。そこで、13週と26週の長短移動平均を用いて、売買サインとして利用できるか確かめてみましょう。


表中に丸印を入れた所が、信用評価損益率の短期移動線が長期移動線を上向きに抜ける「ゴールデンクロス」です。おととし年までは、株価が一方方向に向かうことが多かったため、それなりに使えていましたが、昨年のようにボックス相場になると、ダマシが多く使えません。

事実1:
ここ数年、信用損益率が-3%程度になるのは年に1度くらいで、その時に株価のピークを迎えている。
信用損益率が-3%程度でも、更に株価が上昇することもある。
信用損益率の平均移動線を株価予想に使うには、少々無理がある。

その他にも「信用倍率が過熱している」「信用バランス(信用買い残-信用売り残)の偏りが激しい」など、これらの数値で、株価の動向を占うような話も聞きます。本当に株価と関係があるのか、みてみましょう。




信用倍率は、今の段階でも2倍程度あり、過去から比べると高い値を示していますが、その数値自体と高値との因果関係はなさそうです。信用バランスも同様です。

また、どちらも株価に対してピークが遅れてやってきます。つまり、株価の遅行指数になってしまっています。これは、株価の値下がりが始まると、押し目の信用買いが押し寄せてくるためでしょう。

この「遅行指数である」ことの意味を考えると、信用売買は、現物売買の後追いで、相場動向に振り回されていることを指しています。この信用売買は個人投資家が多いと思うのですが、残念ながら、相場を主導する役割とはなっておらず、「信用評価損益率」が常にマイナスになっている理由の一つでもあるようです。

事実2:
信用倍率や信用バランスの数値自体には、株価との因果関係はない。
信用倍率や信用バランスのピークは株価に遅れてやってくる、遅行指数である。

以上のことから、結論を導き出すことにしましょう。

結論:
ここ数年、信用損益率は株価のピークを当てている。もう少し後にピークがくる可能性はあるが、今年はこれからの買いに対して慎重に向かうのが良い。
信用倍率や信用バランスの値だけで騒いでも意味がない。推移のみ注意を払い、値自体は気にしないのが良い。

この結論には、ひとつの仮定が隠れています。それは、「信用取引を行っている人が、今まで通りに株価に振り回され、信用損を抱え込む」ということです。しかし、これは私の本意ではありません。私も含め、信用取引を多く行う個人投資家が、今後知恵をつけ、常に信用損益率をプラスにし、この結論を打破して欲しいものです。

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編集後記(From the Editor)

既に株価のピークを予測している指標があると聞いたため、緊急にこの話題を取り上げてみました。この信用損益率があること自体は知っていたのですが、「ほとんど常にマイナス」「-3%に近づくと株価のピーク」というのは今週知りました。

しかしながら、「投資家は儲けが少しでも出ると、すぐに利益確定するが、損が出ると我慢して持ち続ける」というのは本当なのでしょうか?

私は信用取引は、長くても2-3ヶ月程度の保持です。いろいろな本で「6ヶ月後の信用期日」を狙えと、記載があるのを見かけます。しかし、私だったら、信用のままで保持し続けると、毎日の利子が負担になるし、信用取引可能額は減りますが、現引きします(その前に損切りしますが)。そんな理由で、本当かな? と思っていたのですが、こんな指標があると、考えてしまいます。

もしかして、私の考え方が変なのでしょうかね。でも、信用損益率がプラスであり続ける方が、精神衛生上、よろしいと思うのです。
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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!

GOOD LUCK!

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