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dantotsu

2004/11/21
単位株引き下げで、利益を引き上げる!?

株式分割は、ライブドアやゼクーのような乱高下を見ても分かるように、ニュースになった途端に、市場からの注目を浴びます。しかしながら、同様の効果をもつ単位株引き下げについては、ほとんど話題にもなりません。

もちろんこれには理由があって、株式分割の場合は一定期間、株の流通量が減るため、需給バランスが崩れ、株価が乱高下しやすくなります。一方で、単位株引き下げの場合は全くそのような期間がないので、乱高下しにくいのです。

そうとはいえ、投資家が買いやすくなったことによる影響はないのでしょうか。単純に考えると、今まで高くて買えなかった銘柄が買えるようになるため、人気を集め、上昇しやすいように思えるのですが、どうなのでしょうか。早速調べてみることにしましょう。

まずは直近の、11/1日に単位株引き下げを行った銘柄の株価について調査してみます。単位株変更直前日(10/29日-黒縦直線)を、100%とした場合の、前後3週間程度の推移をグラフにしてみます。

市場の影響を排除するため、新興市場銘柄(ジャスダック(JQ)、ヘラクレス(HC)、マザーズ(東M))は、ジャスダック平均で差分調整しています。伝統市場銘柄(東証、大証、名証の一部、二部銘柄)は、TOPIXで差分調整しています。



サンプルとなる銘柄数が少ないせいか、かなり不安定な動きをしています。それでも、なんとなく、単位株引き下げ日に向けて、株価が上昇しているような感じがします。

これだけで結論を出すのは厳しいので、さらに、それ以前の、10月、9月、8月の最初の営業日に単位株を引き下げした銘柄の平均推移を同様に追って見ます(注: 単位株引き下げと同時に、株式分割や株式統合した銘柄は除いています)。





なんとなく傾向が見えてきましたが、更にはっきりさせるため、上記グラフをひっくるめて、この4ヶ月間に行われた単位株引き下げ銘柄の平均推移を見てみましょう。横軸の0の値が、単位株引き下げ日の前日です。



見事に傾向が現れました。新興市場銘柄の場合、単位株引き下げ日近辺を境に、前と後では、全く違う動きをしています。

結論1:
新興市場銘柄は、市場平均に比べ、単位株引き下げ日2週間前から急激に上昇し、引き下げ日翌日にピークを迎える。その差は7.5%ほどである。その後は市場平均と連動する。
伝統市場銘柄は、単位株引き下げの影響をほとんど受けない。

実際に、この 7.5%の利益を手に入れるには、「単位株引き下げ銘柄を買い」、同額分だけ「ジャスダック平均を売る」ことによって達成できます。しかしながら、TOPIXには売りが可能な「ETF」がありますが、ジャスダック平均「ETF」は存在しません。従ってジャスダック平均を簡単に売る手段がありません。

こればかりは解決手段がありませんので、「ジャスダック平均がこから先、しばらく下がらない」と確信が持てる場合だけに、買い出動するのが良いと思います(その判断が難しいのですけどね)。

最終結論:
単位株引き下げ銘柄は新興市場の銘柄を狙うべし。引き下げ日の約2週間前に買い、引き下げ日翌日に売るべし。さすれば、市場平均から約7.5%の利益を手に入れることができる。
伝統市場銘柄は、単位株引き下げによる利益を得ることはできない。

ところで、なぜこんな現象が起こるのでしょうか? ここからは想像ですが、

「新興市場銘柄は、元々機関投資家は参加していない。個人投資家は、単位株引き下げ日まで買いたくても買う余裕がない。先回り投資家は、単位株引き下げ日以降に、個人投資家の買い需要が発生することを見込んだ先回り買いを行うため、急激に株価が上昇する。単位株引き下げ日以降、先回り投資家が売り、個人投資家が買うことによって、株価が安定する」

「伝統市場の銘柄は、機関投資家が参加している。単位株引き下げがなくても、買っている。個人投資家は、伝統市場に興味がなく、欲しい銘柄があっても、ミニ株によって購入が可能である。従って単位株引き下げはほとんど影響しない」

この理論はちょっと怪しい所がありますが、新興市場の銘柄が上昇していることは確かです。

参考までに、ジャスダック平均、およびTOPIXによる調整前の、実際の株価によるグラフも見てみましょう。



実際の取引でも、新興市場銘柄の場合、約2週間前に買って、引き下げ日翌日に売れば、約4%の利益を手にすることができます。

ところで、12月まで残り2週間を切りました。ということは、新興市場銘柄で、12/1日の単位株引き下げ銘柄は、旬を迎えています(ちょっとだけ遅いですが)。

それらの銘柄は、南部化成(7880)、フォトロン(6879)、 サムコ研究所(6387)、クリップ(4705)、明豊ファシリティ(1717) です。いずれもJQ銘柄です。

(11/23補足: 上記銘柄中に、NECマシナリー(6344)をあげていたのですが、大証二部銘柄とのご指摘があり、まったくその通りでした。NECマシナリーは、除外し、訂正させていただきます)

まだまだこれからも同じチャンスが毎月やってくるので、今月は様子見でも良いと思います。私はそうするつもりです。

くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!

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編集後記(From the Editor)

実は調査前、単位株引き下げでは「何も投資戦略が出てこない」だろうと想像していました。ところが意外な結果が出て、自分でもびっくりしています。

ちょっと地味な投資方法ですが、誰も注目していないために、長く使える手法かもしれません。このページもそんなに有名じゃないでしょうから、実際に使えるとなっても、広まりも遅いでしょうしね(笑)。
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GOOD LUCK!

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