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dantotsu

2004/7/20
新規上場株は2度おいしい?

最近、株式市場は静かですが、その一方で、新規上場(IPO)株は、公募価格より初値で2-4倍の価格で取引され、今も熱い動きがあります。運良く新規上場株を公募で買うことができた場合、利益は保証されたも同然です。

2004年8月5日にテレビ東京が新規上場を果たします。新規発行と売り出しを合わせて100億円程度あり、もしかしたら公募に当たるチャンスもあるのではないでしょうか。もし公募に外れたとしても、上場後、購入して2匹目のドジョウを捕まえたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、公募に当たった人は、新規上場後、いったいどのタイミングで売るのが良いのか? 公募に外れた人は、いったいどのタイミングで買えば良いのか、調べて見ることにしましょう。

まずは公募に当たった場合について、公募価格から一体何倍で初値がつくのか、最近の事例から見てみます。2004年5月の連休明けから、6月末までに新規公開した全銘柄について、初値倍率と、初値から、どのように株価が日々推移したのか、寄り付き(始値)の値段で見てみます。

コード 銘柄 市場 初値
倍率
1 2 3 4 5
3739 コムシード N 4.00 100.00% 126.00% 117.00% 112.50% 102.50%
3323 レカム HC 3.80 100.00% 82.11% 76.84% 78.84% 74.21%
2379 ディップ M 2.00 100.00% 96.00% 90.50% 94.00% 90.50%
3607 クラウディア O2 1.66 100.00% 81.20% 89.26% 85.54% 84.30%
3324 エイペックス N 1.76 100.00% 118.03% 128.96% 115.85% 125.68%
6670 MCJ M 2.00 100.00% 112.22% 143.33% 145.56% 183.89%
3740 フレームワークス M 2.80 100.00% 98.57% 108.14% 107.00% 99.71%
6669 シーシーエス JQ 4.06 100.00% 110.00% 117.69% 108.46% 115.38%
8927 明豊エンタープライズ JQ 3.10 100.00% 100.00% 78.49% 73.12% 74.19%
1716 第一カッター JQ 2.01 100.00% 84.31% 81.05% 83.66% 79.74%
3741 セック JQ 6.15 100.00% 86.67% 82.50% 84.17% 84.17%
6433 ヒーハイスト JQ 1.51 100.00% 99.09% 122.73% 127.27% 122.73%
3325 ケンコーコム M 2.42 100.00% 125.00% 140.00% 152.50% 185.00%
8928 穴吹興産 O2 1.93 100.00% 127.59% 155.17% 160.69% 131.03%
3326 ランシステム JQ 2.77 100.00% 116.67% 138.89% 148.33% 161.11%
2226 フレンテ JQ 1.59 100.00% 99.84% 97.33% 91.05% 91.21%
1715 ウエスト JQ 1.85 100.00% 100.40% 79.20% 76.00% 78.00%
4237 フジプレアム JQ 3.03 100.00% 99.45% 91.54% 94.18% 92.31%
3742 デュオシステムズ M 5.80 100.00% 133.00% 108.37% 132.02% 129.56%
7747 朝日インテック JQ 3.13 100.00% 97.00% 96.00% 94.00% 80.60%
2402 アマナ M 2.72 100.00% 115.97% 117.57% 92.01% 96.17%
2403 リンク・ワン M 7.03 100.00% 83.63% 100.36% 95.37% 93.24%
7839 SHOEI JQ 1.57 100.00% 86.67% 90.00% 88.33% 88.89%
3328 ネットプライス M 5.42 100.00% 95.44% 89.37% 83.73% 81.34%
2404 鉄人化計画 M 4.58 100.00% 112.73% 130.91% 114.55% 100.91%
IPO 25銘柄平均 3.15 100.00% 103.50% 106.85% 105.55% 105.85%

一番最後の行を見て頂くと、初値は公募価格より平均で3.15倍の値段がついていることが分かります。投資効率として素晴らしいものがあります。誰しもが公募価格で買いたい理由がここにあります。

また、2日目以降、全体平均で初値から 5%程度、株価が上昇しているため、初値で買う戦略も良さそうです。そこで、もう少し全容がわかるように、更に長い期間での株価の推移を見てみます。



グラフから、当初から10営業日(約2週間)までは、横ばいの株価となり、その後、急上昇しています。公募に当たらなかった人でも、単純に 8-10営業日に買って、その後の上昇を期待するのが良さそうです。

しかし、全体の銘柄の推移を見ると、そんな単純な話ではないことが分かります。下図の全銘柄の株価推移をご覧ください。



7-10営業日からの上昇は、全体の傾向ではなく、ほんの一部の銘柄だけであることが分かります。その他の大多数の銘柄は、初値をなかなか超えられずに、浮上できていません。ちなみに、一番上昇している紫色の銘柄は、MJC(6670) です。

結論1:
・公募に当たった人は、確実な利益を確保したいのであれば、初値で売るべし。大多数は初値割れを起こし、その後初値まで復活する銘柄は数少ない。
・公募に外れた人は、初値より上昇している銘柄で、8-10営業日あたりに狙いを定めるべし。


ここでもう少し粘って、初値から値上がりする銘柄、値下がりする銘柄の特徴について追いかけて見ましょう。

まずは、初値倍率から見てみます。素直に考えると、初値倍率が高ければ高いほど、過熱感から、値下がりを起こし易く、逆に、初値倍率が低ければ低いほど、割安感が出て、値上がりが期待できそうな気がします。

そこで、ほぼ平均値の初値倍率 3.0を境にして、3.0倍未満の銘柄と3.0倍以上の銘柄の平均推移をグラフにしてみます。



見事に傾向が出ていますね。初値 3.0倍以上の銘柄は、その後の伸びがありません。一方で、初値3.0倍未満の銘柄は、その後も順調に推移しています。

次に、市場の違いによる株価の推移を見てみます。対象銘柄は、JASDAQ銘柄とマザーズ銘柄です。それぞれの市場で、初値の決定過程が全く異なっています。

JASDAQは「ダッチ方式」、マザーズは「板寄せ方式」を初値の決定方式として採用しています。JASDAQは初値が決まるまで、情報が一切公開されません。マザーズでは、値段が決まるので、板情報を見せ続けます。但し初日で値段が決まらなかった場合、「買付代金即日徴収及び成行き買い禁止」の措置によって、過熱の歯止めが設けられます。

一体どちらの方式の方が過熱感が出るのかは、判断が難しい所です。とにかく、両市場の銘柄の平均推移を見てみましょう。



これまたはっきりと差が出ましたね。明らかにマザーズ銘柄の方が伸びが良いです。

結論2:
・公募に当たった人は、初値倍率3.0以下の場合や、マザーズ銘柄の場合は、多少売る期間を待っても良い。
・公募に外れた人は、初値倍率3.0以下の場合や、マザーズ銘柄であれば、初値や8-10営業日あたりで買うに値する。但し、結論1で述べたように、初値を下回る場合は、購入を見送るべし。


いずれにせよ、新規株式の公募に当たるのが一番です。私も毎回応募しているのですが、なかなか当たりませんねぇ...

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