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2004/6/21
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市場で取引されているETFは、株式と投信の両方の性格を持った面白い銘柄です。実はこのETF、意外と知られていないのですが、年に一度のお買い得日が存在します。
それは7月8日〜7月10日に集中している、分配金の決算日です。 この分配金は、株式の配当金とほぼ同じ意味を持っています。分配金を受け取る権利は、株式の銘柄と同様に、5営業日前です。今年(2004年)は 7月8日決算日の銘柄は、7月2日、 7月10日決算日の銘柄は、7月5日が最終売買日となります。 ここで、まずは過去の分配金の推移を見てみましょう。
表にある分配金は、売買単位株あたりの金額です。従って、日経平均連動型で 0.6%程度、TOPIX連動型で 1.3% ほどの分配金が予想されます。結構多いと思いませんか? (因みに、2004年度の分配金予想がなぜ可能かと言えば、毎日発表されている、「上場受益証券の一口あたりの純資産総額と東証株価指数との乖離率」から求めることができます) ETFはその性格上、日経平均やTOPIXに連動します。このため、単純に「権利日で買って」、「権利落ち日で売る」ことで、分配金額分だけ優位な取引が可能となるはずです。これで実際に本当に上手く行くのか、過去の権利日近辺の株価の推移をチェックして、確かめてみましょう。 まずは日経平均の2002年と2003年のデータを見てみましょう。(銘柄名に記載されているカッコ内の日付は、権利日です) グラフから、日経平均とETFは、ほぼ同じ動きをしているのが分かります。しかしながら、このままでは権利日近辺の動きがあまり良くわかりません。そこで、日経平均と、各ETFとの株価の差分を取ってみることにします。 0より上であれば、日経平均よりETFが高値で売買され(プレミアムあり)、0より下であれば、日経平均より、ETFが低値で売買されていることを意味しています。 グラフを見る限り、残念ながら、売買している人は分配日の存在に気づいてるようです。各ETFについて、権利日までは日経平均よりも高値(プレミアムあり)で売買され、権利落ち日には、日経平均とほぼ同じ値段(プレミアムなし)で売買されていることがわかります。TOPIXもチェックしてみたのですが、同様の動きをしていました。 ここでもうちょっと粘ってみて、このプレミアム(権利日と権利落ち日の差分)と、分配金額との差額が大きければ、利益を出すチャンスがあります。一応チェックしてみましょう。 下のグラフ中、一番最後の欄の「単位株利益」は、日経平均が、権利日と権利落ち日が同額であった場合、「権利日で買って」、「権利落ち日で売る」ことで、一体いくら利益が出たのかを表しています。分配金の分を加味しています。
赤の部分を見て頂ければ分かると思うのですが、その差額は、随分と小さい額(100-200円程度)です。株価に対して、0.1-0.2%程度です。これでは手数料で消えてしまいます。 そして、差額についてマイナスが多く、「権利日で買って」、「権利落ち日で売る」と「損」していることが分かります。逆に信用売りした方が利益が出ます。(利益は、税金10%を引いた額で考慮しています) 結論: ・ETFのお買い得日である分配日を狙った売買で利益を出すのは無理。信用売りで多少儲かりそうだが、手数料を考えると現実的ではない。 残念ながら、投資戦略にはなりませんでした。 因みに今年のプレミアムはどうなっているのでしょうか。下のグラフは、2004年6月17日の株価から算出されたデータです。
もう既にプレミアムが存在しています。予想配当と比べて、多少お買い得ではあります。しかしながら、単位株(115,00円程度)あたり、250円以下と、ほとんど狙うに値しません。残念。 |