「松井証券」または「イートレード証券」に口座を持っていると、立会外分売の告知を毎週のように目にします。即日に売却可能で、購入手数料は不要であり、前日の終値から3%程度の割引率で買うことができます。
立会外分売は、投資家にとって有利な条件が揃っていますが、本当に購入すべきなのでしょうか。数字の上から早速追ってみましょう。
昨年の10月から12月にイートレード証券で行われた立会外分売23銘柄について、立会外分売価格を100%として、60営業日間(約3ヶ月間)の株価の推移をグラフにしてみました(始値の推移グラフです)。
グラフ中、100% であれば、通常の取引で、立会外分売価格の値段で買えることになります。100%を下回ると、通常の取引で、立会外分売価格の値段より安く買えることになります。
このグラフから分かるのは、
1. 分売後すぐに、分売価格近辺(100%)へと株価が下落し、3%程度のディスカウント率は消え去ってしまう。
2. 分売後から26営業日(1ヵ月超)までは、株価が上昇も下降もせずに、分売価格近辺で落ち着いている。
3. 分売後から26営業日過ぎたあたりから上昇を開始し、60営業日(3ヶ月後)あたりまで15%の上昇を続けている。
なぜ26営業日あたりから上昇するのかは定かではありませんが、想像するに、分売銘柄を短期目的で持っている人が売り切る頃なのかもしれません。
そうして、どうやら分売銘柄は、慌てて申し込みを行わなくても、分売価格より安い値段で買えるようです。実際に、分売銘柄の最安値を表にしてみます。
分売日 |
銘柄 |
最安値 |
分売日から最安値日までの日数 |
2004/12/24 |
田中商事(2回目) |
100.37% |
4 |
2004/12/22 |
西川ゴム工業 |
100.00% |
1 |
2004/12/17 |
リオチェーン |
91.95% |
7 |
2004/12/17 |
ジャパン |
93.42% |
26 |
2004/12/11 |
マックスバリュ西日本 |
100.00% |
1 |
2004/12/10 |
広島ガス |
97.74% |
10 |
2004/12/9 |
JALUX |
90.91% |
3 |
2004/12/8 |
田中商事 |
100.20% |
1 |
2004/12/5 |
ネクシィーズ |
52.88% |
7 |
2004/12/4 |
CRCソリューションズ |
95.97% |
11 |
2004/12/2 |
コア |
79.53% |
16 |
2004/11/21 |
イチネン |
96.26% |
24 |
2004/11/19 |
ダン |
73.81% |
17 |
2004/11/18 |
ザ・パック |
94.47% |
11 |
2004/11/12 |
住友電装 |
86.64% |
4 |
2004/11/5 |
いちよし証券 |
87.21% |
10 |
2004/10/24 |
飯田産業 |
99.38% |
1 |
2004/10/23 |
エフ・ディ・シィ・プロダクツ |
93.37% |
23 |
2004/10/22 |
ツルハ |
92.30% |
19 |
2004/10/21 |
日置電機 |
90.22% |
45 |
2004/10/16 |
シークス |
65.60% |
39 |
2004/10/14 |
昭栄 |
97.21% |
25 |
2004/10/14 |
ユークス |
85.48% |
33 |
|
平均 |
89.78% |
唯一、分売価格まで値下がりせずに済んだ銘柄は「田中商事」のみです。あとの銘柄は分売後、結構早い時期に値下がりしています。平均では、分売価格の
90% 程度で購入できます。この事実を投資家が知ったら、分売で買う人がいなくなるかも知れませんね。
結論(その1):
・立会外分売は、慌てて買う必要は全くない。26営業日近辺まであれば、分売価格より低い値段で買うことも可能である。
・立会外分売銘柄は、26営業日あたりで買うべし。そこから徐々に上昇し、1ヶ月半後には、15%ほど、年率換算120%の上昇率が見込める。
この結論で終わらせることも可能なのですが、立会外分売には、別の顔があります。それは、「東証一部に昇格する条件を満たすために行う」企業があるということです。実際に、「日置電機」、「コア」、「JALUX」、「田中商事」が、分売後に昇格を果たしています。
昇格を狙っている企業か、そうではない企業かは、事前に調べることができます。ここでは調べ方について詳しくは述べません。J Coffee さんのサイトや本が詳しいので、そちらを参考にしてみてください。
ここで、立会外分売を行い、その後東証1部昇格した銘柄と、それ以外の銘柄について、もう一度、60営業日間(約3ヶ月間)の株価の推移をグラフにしてみましょう。
その上昇率には歴然たる差が出ています。昇格銘柄は150%近い上昇率ですが、それ以外の銘柄では105%
程です。昇格銘柄を狙うのが一番良さそうです。
結論(その2):
・立会外分売は、慌てて買う必要は全くない。26営業日近辺まであれば、分売価格より低い値段で買うことも可能である。
・立会外分売銘柄は、1部昇格候補を狙うべし。
・立会外分売銘柄は、26営業日あたりで買うべし。そこから徐々に上昇し、昇格銘柄は50%、年率換算400%ほど、昇格外銘柄は5%、年率換算40%ほどの上昇率が見込める。
立会外分売銘柄は、やや遅れて買うのがコツのようです。
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