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売買単位引き下げ

2006/7/23
売買単位を引き下げると、何が起こる?

「売買単位が引き下げられた銘柄って、売られちゃうんだよね...」ふと先週、幸せな投資家さんとの雑談で出た話題です。そこまで聞いたからには調べずにはいられません。8月の売買単位引き下げが目の前に迫っていますし、実際にそうなのか、過去の傾向を確かめてみることにしました。

今回の調査対象は、今年2/1日以降に1/10以下の売買単位を引き下げ、かつ毎日約定し流動性が確保されている48銘柄です。サンプル数が少ない気もしますが、今年1月以前の激烈な上昇相場期間は、あえて外すことにしました。話題性があるとすぐに高騰していたからです。

まずは東証・大証1部上場の伝統市場銘柄と、新興市場銘柄を区分して傾向を見てみます。売買単位引き下げ、前日終値の株価を基準にしています。市場の影響を排除するため、伝統市場はTOPIX、新興市場はJASDAQ平均で差分調整しています。線色の説明の後ろのカッコは、該当銘柄数を示しています。



すぐに異変に気づくのは、新興市場の売買単位引き下げ初日の動きです。1.5%近くの下げに遭遇しています。一方で伝統市場は逆に上昇しています。

もうひとつ別の観点から見てみましょう。売買単位引き下げによって売買単価が低くなるため、特に個人投資家は「リスク分散」がやりやすくなります。今まで所有していた人は何株か「売り」、今まで所有していない人は何株か「買い」に動けます。

そこで、売買単価によっても動きが違うのか調べてみます。大体個人投資家が重荷に感じると思われるあたりの、売買単位引き下げ前の単位価格「130万円」を区分してみて見ます。



売買単位引き下げの翌日以降に、明らかに傾向が違っています。130万円より安かった銘柄は上昇に転じますが、それよりも高い銘柄は下落してきます

更に細かく見るために「伝統・新興」市場別と「130万円以上・130万円未満」の売買単価別の4種類のグラフを描いてみます。



すごく特徴が出ていますね。売買単位引き下げ初日は、市場別によって動きに違いが出て、それ以降は市場ではなく、売買単価別によって動きに違いが出ます。

事実:
売買単位引き下げ当日は、新興市場の下げに特徴が現れ、それ以降は、売買単価によって上昇か下降かの違いが現れる。

更にもう少し細かく、売買単位引き下げ当日近辺の値動きを追って見ます。売買単位引き下げ初日は市場別、それ以降は売買単価別によって動きに違いが出ていることがはっきり見て取れます(注: 下記のグラフのみ、値動きの傾向を見るだけのため、TOPIXやJASDAQ平均で差分調整していません)



新興市場銘柄の空売りができれば、嬉しい結果になりそうなのですが、そんなに多くはないと思いますので、新興市場銘柄の売買単位引き下げ当日の下げで買って、2日後あたりに売却すると、一番良い結果が生まれそうです。

結論:
新興市場銘柄で、売買単価130万円未満だった銘柄を売買単位引き下げ当日終値で買って、2-3日後に売ると効率が良い。

ところで、なぜこんな現象が起きるのでしょうか。ここからは全くの想像です。

まずは新興市場の翌日下げですが、新興市場の下落相場の影響が大きいような気がします。「今まで我慢して持ってたけれども、売買単位引き下げによって、リスク軽減が図れ、かつ上昇したとしても後悔しなくて大丈夫な分だけさっさと売りたい」と思うのではないでしょうか。また「売買単位引き下げによって買い手が集まると期待していたのに、上がらず下げたので売り逃げ」といった動きがより増幅させたのではないでしょうか。

そして売買単価130万円のラインですが、基本的に130万円未満であれば「さっさとリスク分散を図る必要はない」一方で、それでも「それまで買えなかった人が買いに出る」ために上昇しているのではないでしょうか。

うーん、もう少し「これだ」という理由が見つかれば良いのですが、ここまでにしておきます。

Special Thanks:
幸せな投資家さん

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編集後記(From the Editor)

実は以前にも、投資戦略「単位株引き下げで、利益を引き上げる!?」で取り上げたことがありました。あれから随分と市場環境も変化しましたので、再度確認を兼ねて調査することにしました。

今回の調査で設定した売買単価130万円のラインは微妙でして、例えば売買単位引き下げ前のヤマダ電機(9831)の単位株価は118万円程度だったのですが、売買単位引き下げ後は、130万円以上の伝統市場の動きに似て下落しました。市況や、個人株主の割合によって「リスク分散を図る額」は変動する可能性があります。

まあ実際に投資戦略として売買しなくても、「こんな傾向がある」ということを知っているだけでも、あわてずに済むのではないかと思います。

因みに、売買単位が引き下げは、株式分割と違って、カレンダー通りに実行されます。8/1日に売買単位が引き下げられる銘柄は、そのまま8/1日の取引から有効です。該当銘柄は楽天のサイトでチェックできます。

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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!

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