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騰落レシオの研究

2012/4/1
四半期+10%上昇は買いサイン!

「今朝のテレビで『10%以上、今四半期に上がると次の四半期も上がりやすい』と言っていたので、検証してみたのですが、どうですか?」。

いつも投資ネタを豊富に提供して頂いている山下さんからメールがありました。

頂いたファイルの中身を拝見すると、確かにその傾向がありそうです。ならばと、本当に「10%以上、今四半期に上がると次の四半期も上がりやすい」のかどうか、統計的に調べてみることにしました。

調査対象期間は、1991年1月〜2012年3月までの、約21年間(Yahooファイナンスから取れる最大期間)です。

まずは四半期(3,6,9,12月)の3ヶ月間ではなく、もう少し短い期間の1ヶ月間で調べてみます。今1ヵ月間の上昇率と、翌1ヶ月間の上昇率との間に関係があるのか、エクセルで散布図にしました。横軸が今1ヶ月の上昇率、縦軸が翌1ヶ月間の上昇率です。



まずはグラフ中の右上カコミ"R2"の値を見て頂きたいのですが、これが0.0243(=2.43%)です。つまり、今1ヶ月の上昇率は、翌1ヶ月間の上昇率に対して、2.43%の説明力(影響力)をもっているということです。

(※ グラフはエクセルが自動的に作って、自動的に直線を引いて、自動的にR2の値を出してくれるので、自分で計算する必要はありません)


この数値は株式投資の中では悪いものではありません。投資法に結びつくくらいの高い数値です。

またグラフ中の直線(一次回帰)は右肩上がりです。これが意味するのは「順張りせよ」という意味です。つまり、今1ヶ月が上昇したら、翌1ヶ月も上昇に賭ける。逆に下落したら、次も下落に賭ける。そんな単純な投資法でも勝てる可能性があります(今回はここを深く突っ込みません)。

次に3ヶ月間単位で調べてみます。今3ヶ月の上昇率と、翌3ヶ月の上昇率との間に関係があるのか、同様に散布図にしました。



グラフの中のR2の値は2.63%で、1ヶ月の場合よりも更に説明力が向上しています。そしてグラフ中の直線が右肩上がりです。「順張りせよ」というのは変わりません。


そしていよいよ本題「今四半期(3,6,9,12末ベース)に株価が上がると次の四半期も上がりやすい」のか、を同様に散布図にしました。



グラフの中のR2の値は3.87%で、更に説明力が向上しています。そしてグラフ中の直線が右肩上がりで、その傾きがきつくなっていて、「順張り」の威力も増しているということが分かります。

以上のことから「結論」を導いても構わないのですが、散布図の点のバラバラ具合が気になります。実際にチャレンジしても勝てるでしょうけれど、ドローダウンがかなりきつくなることが予想できます。

そこでもう一歩だけ工夫して「今四半期に上がると次の1ヶ月も上がりやすい」かどうか調べてみます。実際の投資期間を3ヶ月間から1ヶ月に短縮するのです。



見事にばらけ具合が小さくなりました(期間を短縮したので、当たり前といえば当たり前)。更に注目してほしいのはグラフの右下のエリアです。点が存在しません

つまり、「今四半期に株価が大きく上昇すれば、翌1ヶ月は上昇することが多く、もし下落しても大したことがない」のです。ここは大いに攻める価値がありそうです。

グラフから、今四半期で10%を超えるところを狙っていけば、痛手が少なそうです。

そこで今四半期で10%を超えた上昇の場合の、1ヶ月後のリターンについて、ヒストグラムと基本統計量を作成しました。

ヒストグラムは見事にプラスの右側に寄っていますね。そして、基本統計量から平均で2.2%の上昇率であることがわかります。



基本統計量
平均 0.022370107
標準誤差 0.007062926
中央値 (メジアン) 0.023541911
最頻値 (モード) #N/A
標準偏差 0.024466694
分散 0.000598619
尖度 -1.113430856
歪度 -0.373458042
範囲 0.07394801
最小 -0.018787896
最大 0.055160114
合計 0.268441287
標本数 12

次に、今四半期に10%を超えた場合のみで平均した、営業日ベースでの株価推移をご覧ください。



このグラフの平均通りに今後株価が推移するとすれば、4月の1週で1%の上昇。そこからは横ばいで、4月の月末から5月頭にかけて更に1.5%程度の上昇。その後に株価が崩れ、押し目をつけた後、再び上昇に転じる。

結論:
10%以上、今四半期に上がると次の四半期も上がりやすいというのは事実である。特に最初の1ヶ月目は勝率も高く、ねらい目である。

ところでなぜこのような現象が発生するのでしょうか。思い当る所では「3つの要素」が考えられます。

1. 海外投資家のクセ

海外投資家は一旦買い越しを始めると、そのまま継続して買い越しを進めるクセがあります。上昇相場は大抵、海外投資家が買い始めると起こるので、そのトレンドが継続するのではないでしょうか。

2. 個人投資家の押し目買い

四半期で10%を超えるような急激な上昇が起こると、その勢いに乗り遅れた個人投資家が、押し目買い待ちとなり、下落してもすぐに買いが入るため、大幅な下落が起きにくいのではないでしょうか。

3. 機関投資家のリバランス

機関投資家は世界の株式や債券にも投資しています。株価が上昇し始めるとそれに乗りたいがため、日本株式への配分を多くし、最初の1ヶ月に買いが集中するためではないでしょうか。四半期というタイミングを考えるとこれが一番の要素のように思えます。

Special Thaks:
・山下さん
・フェアトレード 西村さん


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編集後記(From the Editor)

「今四半期の上昇率は、翌四半期に影響を及ぼす」。こんな単純な日本市場のクセを今まで全く認知していませんでした。

現状、私のポジションは100%買いだけです ^^;。このまま1ヶ月間は続けることにしましょうかね。統計上は優位ですから。

P.S.
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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!

おまけ:

もうすこし統計に突っ込んだ話をします。

10%という値はバリバリの固定値なのでちょっと気持ち悪いですよね。相場が荒れ模様のときの+10%と、安定している時の+10%では、その意味が違ってくると思います。

そこで、10%という固定値の代わりに、過去2年間の四半期を観察区間として+1σの上昇が起きた時という条件でリターンを取って見ると、若干成績が良くなります。

さらに「過去2年間の四半期を観察区間として+1σの時」かつ「過去4年間の四半期を観察区間として+1σの時」とすると、投資機会は減りますが、ほとんど負けはなくなります。1999年以来負けなしの8連勝中です。今四半期はその条件を満たしています。

また、+1σは連発しやすいのが特徴です。よってこれから3ヶ月間、おおいに期待したい所ですね。


おまけ2:

「機関投資家のリバランス」原因説は、私のアイデアではなく、フェアトレードの西村さんから直接お聞きしました。そのことを話している動画もありますので、ご覧くださいませ。

これらの情報はフェアトレードさんのメルマガを読んでいると、リアルタイムで公開されます。元ファンドマネージャーを経験しているからこそ話せる相場の動向は、とてもためになります。

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