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2011/9/11
フーリエ変換・解析で大儲け? 株価の周期性を探る!

株価の定期的な変動を捉えて大儲けしたい」。誰しも一度は思うことではないでしょうか。ただ問題はその定期的な変動をどうやって見つけことができるか? です。実はエクセルにあるフーリエ変換を利用すれば、誰でも簡単に見つけることが可能なのです。もちろん「もし存在するのであれば」ですけれども。

ところでフーリエ変換って何でしょうか? 詳しい意味についてはYahooなどの検索エンジンで調べてもらうとして、ざっくり言えば「波の成分分析」です。観察される波から、その中にどんな周期の波が、どのくらいの強さで含まれているのかへと変換するものです。株式でいえば、株価の上下動の波から、定期的に変動する波が、どれだけの強さで含まれているのかへと変換します。その変換結果を調べるのがフーリエ解析です。

ここではフーリエ変換・解析の仕組みについてはあまり深く考えないことにしましょう。単に「エクセルに便利な道具があり、それを使うと周期的な波の成分と強さを見つけることができる」。とだけ覚えておくだけでOKです。

次に問題となるのが「じゃあどうやってそれを使うのよ」ということです。これについて説明している良いサイトがあります。「エクセルによるフーリエ解析」のページです。このサイトはツチヤさんから教えてもらったものです。

では実際に株式に... という前に、もっと周期的な動きが明らかなものから確認して、どのように使うのかをみていきましょう。

周期的な動きで単純なものは気温でしょうか。ほぼ1年サイクルで寒暖の変位があります。夏は暑いし、冬は寒い。そこで東京都の月平均の気温の推移から、周期が解析できるか試してみます。

気象庁のページから、東京都の月平均の気温の変動を64ヶ月分抜き出します。それをグラフ化してみました。



明らかに周期的な変動が見てわかりますよね。これをフーリエ変換してみます。ちなみになぜ期間が「64ヶ月」かといえば、エクセルのフーリエ変換は、2,4,8,16.... といった 2のべき乗の個数単位でしか変換できないためです。従って64ヶ月以上であれば、128ヶ月、256ヶ月 といった単位で解析する必要があります。



このグラフをスペクトルと呼んでいます。値が「6」の所に山ができました。この成分が含まれているという印です。これはフーリエ変換対象範囲の中に6周期の成分が含まれているという意味です。

64ヶ月の中に6周期の成分ですので、1周期は何か月になるかといえば、64/6≒10.7 です。そして全周期の強さを月数に変換したのが次の散布図です。まあおおよそ12ヶ月の部分が山になったということで正しく解析できました!?ね。



この散布図であれれ? と思われた方もいらっしゃるでしょう。短い周期のものは細かく出せるのですが、長期のものは飛び飛びになっているからです。よくよく考えると、これはその通りで、1周期 は 64/1 = 64ヶ月、2周期は 64/2 = 32ヶ月... として計算していくと、細かい周期の値はたくさん出るのですが、大きな周期の値はあまり出せないのです。大きな周期を正確に出そうとすると、対象月数を増やす必要があります。エクセルのフーリエ変換はそういうものだと思ってください。

ずいぶんと前置きが長くなりました。お待たせしました。ここで株価をフーリエ変換を用いて周期性を探ってみましょう。

まずは日経平均からです。直近の2048日分(年間約245日程営業日がありますので、約8年ちょっと)です。日経平均の値動きとスペクトルです。スペクトルは2年以上の長い周期分はカットしています。




分かりにくいですが、値が小さい所(長めの周期)で何かがありそうな。これを日数に変換してみます。



186日と256日のあたりで強く出ています。おおよそ9ヶ月と12ヶ月といったあたりでしょうか。たしかに日本の相場は年の前半が強くて、後半が弱い傾向にあります。それが256日の成分で出ているとは思います。しかし186日というのは??

じゃあこれを投資戦略にできるかといえば、単独ではかなり難しいです。相場の動き(ベータ)に振り回されてしまいます。これがTOPIXと日経平均とのサヤで発生しているようでしたら相場の動きをかなり相殺できるので、いい投資法にはなると思います。

さて次にカゴメを分析してみます。なぜカゴメかといえば、株主優待投資の王者的な存在で(最近はそれ程でもないですが)、苦しいときのカゴメ頼みの投資を何度か成功させた経験があるからです。半年に1度の優待ですので、半期に1度の株価変動周期がみれたら成功です。

早速、株価、パワースペクトル、日数への変換のグラフを掲載します。





ばっちりですね。パワースペクトルも大きな山が2箇所あり、日数変換で113日の所(約半年)と、256日の所(約1年)にピークが出ました。株主優待対象としてベリーグットな銘柄ですね。

では次に年に1度の優待のスターバックスです。半年ではなく1年単位で動いているか確認します。早速、株価、パワースペクトル、日数への変換のグラフを掲載します。





なんともおとなしめのグラフで、あまりはっきりしないですが256日と321日の所で強く出ています。256日は一年でいいとして、321日ってなんだろ??

でもまあ株主優待の場合はチャートを見ればすぐに分かるので、フーリエ変換するまでもないのですが、一応確認できたということでちょっと安心。

このほかにも周期性があると言われている薬系(学会の発表のシーズンに左右)やビールなどの季節系の銘柄も調べてみると面白いかもしれません。

結論:
フーリエ変換を用いれば、株価の周期性とそのおおよその日数について見つけることが可能。

ただ本当にフーリエ変換が威力を発揮する部分は、期間が短く、あまり他の人がみても分からないような所でしょうね。一番いいのは銘柄間のサヤとか。

今回はフーリエ変換のご紹介でいっぱいいっぱいだった(笑)の で、また機会がある時にフーリエ変換を利用した戦略へと深化させようと考えています。

Special Thaks:
ツチヤさん


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編集後記(From the Editor)

フーリエ変換を使うと株価の周期性がわかるということは、ツチヤさんのブログで知るまでは全く思いもよらない事でした。検索エンジンで今探してみると、取り上げているサイトは以前からあったようですね。

フーリエ変換を習うのは、理系の大学の教育課程だと思うのですが、株式に使えるとわかっていたら、もっと勉強したのになぁ(笑)。そして重回帰分析や標準偏差といったものを、まさかこの年から勉強しだすとは...。因みにエクセルのマクロも株式研究を始めてから覚えました(汗)。

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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!

おまけ: マクドナルドの場合。半期も出ていますが1年間の方が強く出ています。


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