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投資手法-日経ヴェリタス

2009/2/22
日経ヴェリタスの逆を行け!

株価というもは、どうも天邪鬼(あまのじゃく)のような性質があるようで、みんなが上がると思えば下がるし、下がると思えば上がる摩訶不思議な生き物のようです。何度か往復ビンタを食らった人も多いかと思います。

それなら、みんなが上がると思った時に下落に賭け、下がると思った時に上昇に賭ける「みんなの逆張り」ができれば、利益を得られるのではないでしょうか。早速調査してみましょう。

ここでまず問題となるのは定期的に「みんな」の意見をどう集めるかです。私が注目したのは、毎週日経ヴェリタスのMARKET&DATAの欄に掲載される、プロの相場観による「ブルベア調査」です。

この調査では、向こう一週間の株式相場観について、市場関係者に弱気から強気までの7段階で評価してもらい、集計点数が示されています。0点が中立となります。毎回おおよそ40人から50人に回答をもらっているようです。

そこで、私が日経ヴェリタスの冊子の保管を始めた「昨年の6月第3週から先週まで」のブルベア調査の点数と、その翌日から始まる週の日経平均先物の上昇率の関係について図にしてみました。

日経平均先物は月曜日の始値でポジションを取り、木曜日の始値段階での上昇率(なぜこのタイミングなのかは最後に掲載)で、途中に祝日を挟んだ場合は、前日の終値を採用し、月曜日が祝日の場合は火曜日の始値でポジションを取ります。イブニングセッション分は含んでいません。また、年末年始の2週間は調査方法の前提が分からなかったので除外しています。



回帰直線が右肩下がりで見事な程に「みんなの逆張り」が効くことが分かります。こんな下落トレンド時においても、ブルベア調査の点数が-0.1以下になった超弱気時に買った場合は、6戦全勝の驚異的な成績です。天邪鬼ぶりをいかんなく発揮しています。

まだデータ数が十分に足りていない事もあるかとは思いますが、決定係数(R2)が0.1を超えているのも驚異です。以前、土屋賢三さんのセミナーでは、投資の世界で決定係数が0.01を超えたらなかなかの数字というお話でした。今回はその10倍もあります。

さて、この数値をどう投資法に利用すれば良いかですが、数式に沿って"y"の値がプラスになるブルベア調査の点数が-0.1以下であれば日経平均先物を月曜の始値で「買い」、それ以上なら「売り」ポジションを取り、木曜日の始値で決済すれば利益になります。



この投資方法で勝利数が34回中28回であり、高確率の勝率でもあります。利益総額が115%、1回あたり3.4%。いかにボラティリティが高かったのかと、それをうまくすり抜けたかが分かります。

結論:
日経ベリタスのブルベア調査において、点数が-0.1以下なら「買い」、それ以上なら「売り」のポジションを、日経平均先物で月曜日の始値で取り、木曜日の始値でポジション解消すると良い。

サンプル数が少ないのでオーバーフィッティング気味じゃないかと思っています。ご利用時にはお気を付け下さい。

ここで終了でも十分とは思うのですが、せっかくなのでもう少しシステムトレードチックな処理をします。-0.1という絶対的な数値ではなく、標準偏差(σ)を利用することにします(興味のない方は飛ばしてもらってかまいません)。

観察区間(標本)をどれだけにするかということも考える必要があるのですが、ここでは調査全区間を観察区間として、ブルベア指数の値を標準偏差(σ)の値に置き換えます。

そして最後に、σの値によって分位別分析を行います。つまりσの値でゾーンを区切って、それぞれの分位で特徴にあった投資法を当てはめます。

なんでこんなまどろっこしい事をするかといえば、σの値にしておけば、今回の結果が下降トレンド中であったので上手く行ったのかも知れないため、上昇トレンドになった場合にはσの値によって一部区間の戦略を変えたりすることもできるためです。マルチファクターの説明変数としても利用できます。

今回の投資法では、"<-1σ" で買いポジション、 ">-1σ "で売りポジションを取ります。結局はブルベア調査の点数 -0.1 で区切った場合とあまりかわらないんですけれどもね

以下の表は「標準偏差 -1σ」で区切った場合のサインとその結果です。1月30日調査後の週だけ、-0.1で区切った場合と結果が逆になります。

調査日付 ブルベア点数 標準偏差(σ) サイン 上昇率 利益
6月13日 0.09 -0.26σ 売り 101% ▲ 1.13%
6月20日 0.14 -0.11σ 売り 101% ▲ 1.09%
6月27日 ▲ 0.09 -0.82σ 売り 97% 3.09%
7月4日 0.31 0.42σ 売り 98% 1.97%
7月11日 0.34 0.50σ 売り 99% 0.69%
7月18日 0.98 2.45σ 売り 103% ▲ 3.22%
7月25日 0.56 1.16σ 売り 100% 0.07%
8月1日 0.00 -0.54σ 売り 101% ▲ 1.38%
8月8日 0.33 0.46σ 売り 97% 3.08%
8月15日 0.50 0.99σ 売り 100% 0.31%
8月22日 0.09 -0.28σ 売り 100% 0.08%
8月29日 0.26 0.26σ 売り 98% 2.33%
9月5日 ▲ 0.07 -0.74σ 売り 98% 2.40%
9月12日 0.73 1.68σ 売り 98% 2.42%
9月19日 0.85 2.05σ 売り 97% 2.53%
9月26日 0.17 -0.03σ 売り 96% 3.69%
10月3日 0.11 -0.19σ 売り 86% 14.50%
10月10日 0.63 1.38σ 売り 89% 11.04%
10月17日 0.30 0.39σ 売り 93% 6.91%
10月24日 ▲ 0.21 -1.18σ 買い 114% 14.09%
10月31日 0.05 -0.40σ 売り 100% ▲ 0.22%
11月7日 ▲ 0.07 -0.75σ 売り 91% 9.09%
11月14日 0.04 -0.40σ 売り 96% 4.45%
11月21日 ▲ 0.27 -1.37σ 買い 100% 0.36%
11月28日 0.26 0.24σ 売り 95% 4.85%
12月5日 ▲ 0.41 -1.80σ 買い 108% 7.78%
12月12日 ▲ 0.31 -1.48σ 買い 100% 0.47%
12月19日 0.07 -0.32σ 売り 100% 0.23%
1月9日 0.11 -0.19σ 売り 94% 5.97%
1月16日 0.48 0.92σ 売り 96% 4.08%
1月23日 ▲ 0.30 -1.46σ 買い 108% 7.55%
1月30日 ▲ 0.14 -0.96σ 売り 102% ▲ 1.53%
2月6日 0.38 0.63σ 売り 95% 5.45%
2月13日 0.10 -0.25σ 売り 99% 1.17%
合計 112.08%

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編集後記(From the Editor)

今週の日経ヴェリタスにおけるブルベア調査の点数(19Page)は▲0.17でした。かなりの弱気で、数値からも、標準偏差からも「買いサイン」が点灯しました。

(2/28 追記)
日経平均先物 月曜日の始値 7,200円、木曜日の始値 7,460円 と、3.6%強の上昇で、無事成功しましたぁ!!


実は少し前から、ブルベア調査の点数と相場は逆側によく動くことを知っていましたがここまで関連が深いとは予想外のことでした。自分のポジションの逆側の点数なら喜べますが、順側の点数なら気の引き締めが必要ですね。

しかし、市場関係者の予想は、ほんのわずかではあるのですが常に強気側に出る事がよく分かりますね。ほとんどプラスに出ます。職業的バイアスというやつでしょうかね。暗い話より明るい話の方がいいので、分からなくはないのですけれど。

ブルベア調査の点数の調査について、過去のデータがどこかに電子的に残っていたらいいのですが、日経ヴェリタスのサイトでも数週経過すると記事が消えてしまうので、手元にあった新聞をひっくり返しながらデータを打ち込みました。

こういった手間がかかる作業ほど、投資手法の寿命が長くなり、意外とおいしかったりするので気合いが入ります。でも日経QUICKあたりで簡単にデータが取れたりして...。

(3/2 追記)
日経ヴェリタスオンラインにずいぶんと長い期間のデータが掲載されている事が判明しました。そちらから簡単に取れます。あああ、脱力。bwさん、ご指摘、ありがとうございます!


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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!
木曜日の始値にした理由:

ブルベア調査の点数と日経平均先物の上昇率で一番相関が深かったのは、決定係数(R2)が0.1を超えた木曜日の始値でした。そこでブルベア調査の点数と木曜日の始値時点での上昇率を採用しました(実は木曜日の終値時点とした方が利益率が上がります)。金曜日は2回分のBIGSQの調整を行っていないため参考値としています。



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