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J-REIT

2008/5/3
REITの公募増資を狙ってみる

株式の公募増資の発表があると、需給懸念、株式の希釈化の心配により、株価が値下がりしてしまうのが一般的です。これを狙う手法について昨年のセミナーなどでご紹介しました。今回はREIT銘柄についても同じ現象が起きていて、同じように狙えるのではないかと思い、調査してみる事にしました。

調査対象は、東証に上場しているREIT銘柄で、2005年以降の公募増資です。市場の影響を排除するため、すべてのデータ、グラフについて、東証REIT指数(配当込み)で差分調整しています。つまり、どれだけ東証REIT指数をアウトパフォームしたかの数値です。

まずは公募増資の発表日以降の価格推移です。発表日の終値を100%としています。年別と信用・貸借銘柄別でグラフ化しました。年別の凡例のカッコの数値は、その年に何度あったかの機会数です。





2008年は公募増資による資金調達に対して、市場から相当厳しい洗礼を受けています(すべて貸借銘柄でした)。今年は極端であるにせよ、どの年も発表後は株価が下落する傾向があることがわかります。

信用・貸借銘柄別の価格推移について、貸借銘柄の場合は、大きく下げて、その後に上昇傾向に転じます。一方で信用銘柄の場合は、徐々に下げて、その後もあまり上昇することはありません。 2008年の価格推移を例外として除外しても、この傾向は変わりありません。

次に公募増資の値決め日をベースとした価格推移です。値決め日の終値を100%としています。





値決め日の価格が一旦の安値となり、その後上昇しているのがわかります。実際の公募価格はそれよりディスカウントされます(ほとんどが -2.04%)ので、REITの公募増資に応募しても、それほどひどい結果にならない事がわかります。IPOの裁量ゲットのポイント稼ぎに有効かも知れません。

また、貸借銘柄の公募増資は、発表後に適当なタイミングで空売りして、値決め日の終値で買い戻せば、それなりに利益が出る事がわかります。ただここで問題なのは「値決め日」を事前に知ることができるかです。公募増資の値決め日は、通常3日間程度の幅を設け、その中のいつの日が値決め日となるのかは事前には確定しません。

過去の事例を調査してみると、たった1例(2006年の日本リテールファンド投資法人)を除いて、すべて候補日初日に決定しています。つまり候補日初日を値決め日とみなしても構わず、ここで買い戻しするのがデータ上、ベストの選択です。

グラフをよくみると、値決め日から6営業日にぴょこんと株価が上昇しているのがわかると思います。最初はデータ取得ミスかと思っていたのですが、違いました。これはREIT買いの影響です。

公募増資の場合、多くは値決め日から7営業日目に株券の受け渡しを行います(7営業日以外の場合もあります)。株券の受け渡し前日(正式には変更上場日の前営業日)の終値基準で東証のREIT指数に加算されるルールになっています。従ってその日がREIT買い日に相当するのです。東証REIT指数に連動する運用しているファンドが多いことを表しています。

そして最後に、公募増資の受け渡し日をベースとした株価推移です。受け渡し日の終値を100%としています。よりはっきりとREIT買いの影響が見て取れます。また、貸借銘柄は上昇へ、信用銘柄は徐々に切り下がっていく様子が分かります。





結論:
REITの公募増資の価格推移は、株式の公募増資の株価推移(東証一部)と非常によく似ており、ほぼ同じ戦略を使うことができる。

REITの公募増資は、イベント投資として狙いやすい部類ですね。

Special Thaks:
・山下さん


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編集後記(From the Editor)

株式の公募増資を狙う手法については、昨年のエンジュクさんのセミナーで公開しています。マネー雑誌のZAIにてもご紹介していますので秘密と言える程のものがあるわけではないのですが、ご興味がありましたら、DVDでご覧になってくださいませ。

しかし、データ調査結果を見るまでは、こんなにREIT買いがはっきり出ているとは知りませんでした。株式でも多少は出るのですが、これ程ではありません。次回から狙ってみたいですね。といいつつ、ここで公表されてしまいましたので、先回りが殺到して、もう出ないかも?

最近はインデックス買い(コバンザメ投資)がめちゃ調子が出ています。一体何年ぶりでしょうかね、こんな事は。今回のREIT買いも含め、ヘッジファンドがおとなしい今のうちに大きく貯金を作っておきたいものです。

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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!
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