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2006/4/30
5日線の順張り投資は成功するか

ライブドア以降、一方的な株価上昇と株価下落が交互にやってくることが多くなりました。特に終値ベースで、5日平均移動線の下から上に出た場合には、しばらく上昇し、逆に上から下へ沈んだ場合には、しばらく下落する傾向にあります。それならば、この5日平均移動線を基準にして、順張り売買すれば、かなりの成功を生むのではないでしょうか。

そこでまずは今年初めからの日経平均と5日平均移動線との関係を見て、順張り投資が成功する可能性があるか見てみます。(出典 MarketWatch, Inc.)


ここ最近は崩れ気味ですが、5日平均移動線をはさんで、結構見事に上昇と下落を繰り返しています。これなら成功の余地はありそうです。そこで実践として利用できる日経平均先物で売買した場合に、どうなるかを調べてみることにします。

期間として、2001年4月初めから2006年4月末までの約5年間のデータを取ってみました。その間の日経平均先物の推移は下記のグラフの通りです。下落時期、もみ合い時期、上昇時期をそれぞれ経過しています。


それでは具体的に、どんな投資方法を行えば良いのでしょうか。まず最初に思い浮かべるのは、5日平均移動線を横切った翌日の朝一番で売買を行うケースです。

終値で5日平均移動線の下から上に出た場合には、翌朝寄付きで「買い」を入れ、5日平均移動線の上から下に沈んだ場合には、翌日寄付きで「買い」を解消し同時に「売り」を入れます(ドテン売買)。そして再び5日平均移動線から下から上に出た場合には、翌日寄付きで「売り」を解消し「買い」を入れます。これを「翌日寄付き売買」と呼ぶことにします。


それでは結果を見てみます。売買手数料は考慮していません。

日経平均先物 買い成績 売り成績 買いトレード数 売りトレード数
2001 -20.27% -31.73% -8.97% 26 26
2002 -18.55% -8.71% 12.06% 26 26
2003 25.70% 14.68% -4.58% 29 29
2004 7.19% -3.15% -9.71% 28 28
2005 39.81% 13.35% -20.88% 29 29
2006 5.79% 11.72% 1.23% 9 9
全体 32.24% -3.83% -30.84% 147 147

ピンク色の欄を見て頂きたいのですが、今年の2006年だけは先物を上回る成績を出しているものの、全体を通してマイナスで、先物をはるかに下回っています。素直にがっちり先物を保持し続けた方がよほど成績が上です。

ではもう少し投資方法を変えてみます。当日終値で5日平均移動線を横切ると想定される場合に、その日の大引けで売買します。つまり、売買タイミングを、翌朝「寄付き」ではなく、当日「大引け」に変更します。これを「当日大引け売買」と呼ぶことにします。


それでは結果を見てみます。売買手数料は考慮していません。

日経平均先物 買い成績 売り成績 買いトレード数 売りトレード数
2001 -20.27% -29.01% -5.10% 26 26
2002 -18.55% 3.53% 24.31% 27 26
2003 25.70% 12.62% -6.66% 28 29
2004 7.19% 8.50% 2.65% 28 28
2005 39.81% 25.85% -13.01% 30 29
2006 5.79% 5.07% -0.79% 9 9
全体 32.24% 26.55% 1.39% 148 147

かなり結果は良くなりました。しかしながら先物の成績までには到達せず。更に売買手数料分だけ成績が低くなります。

もう少々投資方法を変えてみます。ちょっとしたはずみによって1日だけ5日平均移動線を横切って、すぐに戻っている可能性があります。

そこで、5日平均移動線を横切ってもすぐに売買をせず、もう一日同じ側にいた場合にだけ、その日の大引けで売買します。つまり、2日連続で5日平均移動線の上方または下方に移動した場合に初めて売買するのです。これを「2日連続大引け売買」と名付けます。


それでは結果を見てみます。売買手数料は考慮していません。

日経平均先物 買い成績 売り成績 買いトレード数 売りトレード数
2001 -20.27% -17.04% 7.54% 14 14
2002 -18.55% -4.59% 16.50% 16 16
2003 25.70% -0.26% -20.05% 21 21
2004 7.19% 3.56% -2.23% 18 18
2005 39.81% 24.46% -11.55% 17 17
2006 5.79% 10.04% 1.29% 5 4
全体 32.24% 16.18% -8.50% 91 90

今年の2006年だけは先物を上回る成績を出しているものの、今一歩です。一応今までの3種類の投資方法について、成績が良かった「買い」のみを実施した場合の推移を見ています。


この結果で終わるのは、くやしい気持ちでいっぱいです。もうちょっとなんとかならないものでしょうか。

ここではたと気が付きました。マイナスの成績は「売り」と「買い」を入れ替えれば、プラスになります。つまり、マイナスの結果が著しかった「翌朝寄付き売買」の「売り」を「買い」に変更し、逆張り戦略を取ると、-30.84% がプラスの 30.84% となります。

具体的には、5日平均移動線の上から下に沈んだ場合には、翌日寄付きで「買い」を入れます。そして再び5日平均移動線から下から上に出た場合に、翌日寄付きで「買い」を解消します。感覚的には、こんな投資方法が成立するとは思えないのですが、プラスになるのです。

そして「買い」の中では成績が良かった、当日大引けでの買いは、そのまま順張りを続けます。この2つの「買い」戦略を同時に取った場合の成績を見てみます。


ようやく市場平均を上回る素晴らしい結果.... なのですが、最初の3年間の成績は市場平均とほぼ一緒です。2004年以降のボックス相場になってようやく威力を発揮します。売買手数料を考えると、かなり苦しい投資戦略です。

結論:
5日平均移動線の終値を利用し順張り売買は、そのまま先物を保持した結果を下回る。当日順張り買いと、翌日逆張り買いを同時に行うことによって先物を上回ることができるが、売買手数料を考えるとかなり苦しい。

5日平均移動線の終値だけを頼りにした売買は、投資戦略として成立しないようです。

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編集後記(From the Editor)

今回の投資戦略は成功はしませんでしたが、5日平均移動線の存在そのものを否定するものではありません。5日平均移動線からの乖離を利用したり、長期の平均移動線とのゴールデンクロスに利用したりする投資戦略については、十分に成功する可能性があります。

今回のような、成功まで導けなかった投資戦略を公開すべきかどうか少々悩んだのですが、考え方を変えれば、「成功しない投資戦略が分かった」ことも一歩前進ですので、公開することにしました。

今後も次々と「成功しない投資戦略」をご紹介するかも知れません(笑)。それでは良いGWをお過ごし下さい!

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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!

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