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噂の真実

2006/4/9
「年初来高値更新」銘柄を買ってみる

「年初来高値」と聞くと、(1)「ここで売り」「とても買えない」といった、これ以上株価が伸びないことを想像する人と、(2)「まだまだ伸ばす」「ここからが買い」と、これからも株価が伸びると想像する人に分かれます。では実際はどうなのかと、調べてみることにしました。

調査方法ですが、年初来高値をつけた銘柄を、その日の終値に買った場合、その後にどんな値動きをするのかをグラフにしてみます。何度も年初来高値を更新する銘柄についても、更新するたびにその日の終値で買います。

調査期間は、今年の2月9日から3月22日までの間です。この間に年初来高値を更新した銘柄のうち、出来高が毎日あり、年明けにIPOした銘柄ではないものを選択しました。REIT銘柄も外してあります。3月決算銘柄が多いため、3/27日(権利日)までの株価推移で調べています。

市場の影響を排除するため、新興市場銘柄はJASDAQ平均で、伝統市場銘柄はTOPIXで差分修正しています。横軸の「2」に該当する部分が、年初来高値をつけた日の終値です。全部でのべ1000銘柄近くあり、ほとんどが伝統市場銘柄でした。それでは見てみましょう。


予想外に株価は上昇していません。新興市場銘柄は伸びていますが、伝統市場銘柄はいま一歩です。

次に、「前日終値を基準として当日最高値までの上昇率」で違いが出るかを見てみます。「前日終値を基準として当日終値での上昇率」ではないことに気をつけて見てください。


面白い傾向です。前日比で地味な上昇率で最高値を更新した銘柄は、その後はほとんど株価が変わっていません。逆に8%-12%の上昇で高値をつけた銘柄は、その後も成績が良くなっています。14%-18% の銘柄は、さすがに一旦下落します。

もうちょっと別角度で、最高値を更新した回数別で見てみます。1回とあるのは、期間中、1度しか最高値を更新しなかった銘柄です。2回より大きな回数値は、期間中にその回数「以上」高値をつけた銘柄です。


ここから分かることは2つあります。ひとつめは、1度だけ最高値を更新した銘柄については、その後の上昇は期待できず、2度以上更新した銘柄はその後の上昇が期待できます。

この理由としては、1度だけしか更新できなかった銘柄は、年初来高値の位置が上値抵抗線となって、突き破ることができず、2度以上更新する銘柄は、上昇圧力で抵抗線を突き破るためだと思います。

ふたつめは、一方的に上昇するのではなく、何度か「ため(屈伸)」を作って上昇して行きます。この理由としては、高値による利益確定の売り手と、下げを待っていた買い手とのもみ合いが発生するためだと思います。何度かこなしているうちに上離れするようです。

結論:
年初来高値を更新する銘柄では、新興市場の銘柄、程よい勢いで高値を更新する銘柄、複数回更新する銘柄が狙い。いずれも一旦「ため(屈伸)」を作るので、そこで購入するのが良い。

しかしながら正直な所、上昇率が地味です。もっと効率を上げたいのが本音です。テクニカル指標を加えて「銘柄絞込み」を行いたい所ですが、今回はここまでの調査で時間切れでした。

昨年末のソフトバンク(9984)の上昇にもあるように、年初来高値の銘柄の上昇破壊力はすさまじいものがあります。今回の調査では、抜群な結果は出ませんでしたが、注目すべき投資法であると思っています。

また、サンプルも、ここ1ヶ月分だけでしたので、もう少し取り揃えたら、もっと傾向が浮き出るのかもしれません。今後も機会があれば、様々な角度から取り上げてみたいと思います。

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編集後記(From the Editor)

データの量があまりにもありすぎることと、出来高が少なかったり、IPO直後などの対象外銘柄をスクリーニングするのに時間がかかってしまい、ようやくなんとか形にできました。

今回の投資法の直接的な影響を受けたのは、はぐれ雲さんのブレイクアウトです。自分の過去の成績を眺めてみると、大きく成功した銘柄の多くが、年初来高値を更新しつつある銘柄で、かつ「ため(屈伸)」の部分で買っていた銘柄であることに気が付きました。

この時から「イベント投資」と「テクニカル」の両方が組み合わせられると、ものすごい投資効果が生み出せるのではないかと考えるようになりました。この両者の組み合わせを考慮したものを、今後の投資戦略の中で取り扱えたらと思っています。

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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!

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