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立会外分売

2005/6/5
立会外分売に当選せずに得する方法

前回の投資戦略「立会外分売は貸借銘柄を狙え!」では、その題名の通りに、貸借銘柄を狙って立会外分売に応募し当選すれば、高確率で利益を得ることが分かりました。

しかしながらこの方法の最大の難関は「当選」です。仮に当選したとしても、大抵の場合、最低取引単位しか取得することができません。そこで今回は、「当選」しない場合でも、貸借銘柄の値動きによって、利益を上げる手段がないか、調査することにします。

では一体、当選しない場合でも利用できる方法とはどういうものが考えられるでしょうか。私は、2つの方法を思いつきました。第一に、分売を行うと発表した直後を狙う方法と、分売当日の値動きを狙う方法です。

分売を行うと発表した直後は、恐らく需給悪化を懸念した値下がりが発生するのではないでしょうか。また、分売当日は、当選者の売りを懸念した値下がりが発生するのではないでしょうか。これらの仮定に沿って調査を進めてみます。

まず最初に、分売発表日を中心とした前後の株価の推移を見てみましょう。市場の影響を排除するため、全ての銘柄をTOPIXで差分調整しています(アルプス技研(4641)は、場中の発表で、それ以外の銘柄は大引け後の発表です)。逆日歩分は算入していません。



発表日から5日目に底があります。これは、発表日から分売日当日まで、おおよそ5日程度であるためと思われます。

実は 18銘柄中、学情(2301)だけは特段のニュースがないまま、相当値上がりしました。その日も逆日歩が7円ついていて、踏まれた格好です。参考までに、学情を除いた場合のグラフも掲載しています。

今度は「分売予定範囲日の初日」を中心とした前後の株価の推移を見てみましょう。この理由は、大抵の分売の場合、いつ分売を行うのかについて、幅(予定範囲日)を持たせます。従って、分売初日までには、分売の影響を株価に織り込むのではないかと思ったからです。

市場の影響を排除するため、全ての銘柄をTOPIXで差分調整しています。逆日歩分は算入していません。



分売予定範囲日の初日に向けて株価が下がっていくのが、はっきりと分かります。参考までに、学情を除いた場合のグラフも掲載していますが、分売日初日の2日前からは、株価の推移がほぼ一致します。

事実:
立会外分売の発表直後から5日後まで、じわじわと株価が値下がりを起こす。その割合は -2%程度である。
分売予定範囲日の初日に向けて、じわじわと株価が値下がりを起こす。その割合は -2%程度である。

次に、分売日当日の「当選者の売りを懸念した値下がり」を狙う場合です。一番楽なパターンとしては、分売価格と同じ値段で買い入れることができれば、がっぽりと利益を得ることが出来ます。

では一体、分売当日はどのあたりの指値で待ち構えれば良いのでしょうか。当日の最安値の株価を調べてみます。

コード 銘柄名 分売前日終値 分売値段 分売日安値 分売価格比 前日終値比
9370 郵船航空サービス 3950 3871 3940 1.8% -0.3%
8515 アイフル 7910 7751 7710 -0.5% -2.5%
7944 ローランド 1,874 1,837 1852 0.8% -1.2%
8628 松井証券 1,280 1,241 1240 -0.1% -3.1%
4351 山田債権 1,532 1,486 1550 4.3% 1.2%
7968 田崎真珠 484 469 476 1.5% -1.7%
8131 ミツウロコ 730 708 725 2.4% -0.7%
6788 日本トリム 6,420 6,230 6360 2.1% -0.9%
7482 シモジマ 1,610 1,569 1600 2.0% -0.6%
4641 アルプス技研 1,309 1,270 1290 1.6% -1.5%
5121 藤倉ゴム工業 650 630 640 1.6% -1.5%
8592 住商リース 4,080 3,957 4030 1.8% -1.2%
4358 ティー・ワイ・オー 315 305 311 2.0% -1.3%
4547 キッセイ薬品工業 2,100 2,037 2060 1.1% -1.9%
2359 コア 2,350 2,279 2285 0.3% -2.8%
9052 山陽電気鉄道 246 237 238 0.4% -3.3%
6463 TPR 1,263 1,237 1242 0.4% -1.7%
6676 メルコホールディングス 2,285 2,216 2245 1.3% -1.8%
2301 学情 3,570 3,462 3460 -0.1% -3.1%
7245 大同メタル工業 629 611 634 3.8% 0.8%


分売価格を割ったのは、20銘柄中3銘柄(アイフル、松井証券、学情)と、かなり少ないことが分かります。この表のままでは、どこで指値をすれば良いのか分かりにくいですので、約定確率を別表にしてみます。

約定確率 分売価格比 前日終値比
100% 4.3% 1.2%
90% 2.5% -0.1%
80% 2.0% -0.7%
70% 1.9% -1.1%
60% 1.7% -1.3%
50% 1.5% -1.5%
40% 1.2% -1.7%
30% 0.7% -1.8%
20% 0.4% -2.6%
10% -0.1% -3.1%


約定を狙う場合、約定確率が50%となるポイントは、前日の終値の-1.5% または、分売価格の1.5%上乗せの所にあるのがわかります。分売日翌日始値の平均利回りが 3.37% であることと、手数料とリスク相談で、どのあたりで指値をするかの目安になると思います。

事実:
分売当日に、分売価格を安値で割ったのは3銘柄と少ない。50%の約定確率を目指すのであれば、前日の終値の-1.5% または、分売価格の1.5%上乗せの場所に指値を入れる必要がある。

その他にも、貸借銘柄について、いくつか詳しく調べてみました。その結果、値上がり率があまり良くない銘柄の特徴も見えてきました。

それは、分売発表日の翌日から、実際の分売日前日までの出来高が、分売予定量の 50%未満の場合、または分売発表日の翌日から、予定範囲日の初日の前日までの日数が、1日以下の場合です。

この現象が起きる理由として、どちらの場合も、分売分の値下がりを、株価に織り込む余裕がなかったためではないかと想定します。

これら2つの条件のどちらかに合致する銘柄は、分売日翌日始値の平均利回りが 1.11% である一方で、それ以外の銘柄は、分売日翌日始値の平均利回りが 4.42% と、なかなか素晴らしい値になりました。

銘柄コード 銘柄名 日数 分売数量 出来高 分売数量割合 分売翌始値上昇率
8515 アイフル 5 350000 1,530,650 4.37 3.34%
7944 ローランド 3 1,000,000 362,083 0.36 0.71%
8628 松井証券 1 2,000,000 3,959,000 1.98 1.53%
4351 山田債権 4 24,000 99,600 4.15 7.94%
7968 田崎真珠 4 500,000 530,000 1.06 3.62%
8131 ミツウロコ 3 300,000 199,000 0.66 3.11%
6788 日本トリム 3 40,000 67,200 1.68 2.73%
7482 シモジマ 4 450,000 134,100 0.30 2.10%
4641 アルプス技研 2 390,000 217,700 0.56 6.06%
5121 藤倉ゴム工業 4 200,000 150,000 0.75 2.38%
8592 住商リース 4 500,000 249,400 0.50 3.11%
4358 ティー・ワイ・オー 4 220,000 436,000 1.98 6.23%
4547 キッセイ薬品工業 2 430,000 505,000 1.17 3.09%
2359 コア 9 400,000 103,100 0.26 0.70%
9052 山陽電気鉄道 3 1,360,000 157,000 0.12 1.27%
6463 TPR 0 349,900 393,800 1.13 0.32%
6676 メルコホールディングス 6 330,000 1,211,300 3.67 4.02%
2301 学情 3 100,000 187,200 1.87 0.81%
7245 大同メタル工業 5 255,000 755,000 2.96 10.97%


ここの表には記載していませんが、分売発表日の翌日から、予定範囲日の初日の前日までの日数が1日以下だった、松井証券およびTPRの2銘柄のみ、分売翌々日の始値が、分売価格以下まで値下がりしました。

事実:
分売発表日の翌日から、実際の分売日前日までの出来高が、分売予定量の 50%未満の場合、または分売発表日の翌日から、予定範囲日の初日の前日までの日数が、1日以下の場合は値上がりしにくい。

以上の調査から、結論を導いてみましょう。

結論:
立会外分売発表直後から分売予定範囲日の初日に向け「信用売り」することにより、約2%の利益が見込める。但し、逆日歩は算入していないため、これを考慮に入れる必要がある。
分売日当日、市場にて分売価格で株を購入するのは難しい。約定確率を上げるのであれば、リスクを考慮の上で、多少分売価格より高い値段で指値をする必要がある。
貸借銘柄のうちでも、出来高が少ない銘柄または、発表日から予定範囲日の初日の前日までの日数が短い銘柄について、切り捨てることで、更に利益を上げることも可能である。

いろいろと調査してみましたが、一番利益があり、確実なのは、貸借銘柄の分売に当選することのようです。

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編集後記(From the Editor)

貸借銘柄の分売について、今年入ってからは、立会外分売に当選し、翌日の始値で売った場合、勝率は100%であることが分かりました(売買手数料除く)。こうなったら、様々な証券会社の口座を総動員して、買い出動するもの一つの手だと思います。

最近知らぬ間に、楽天証券およびE*Tradeの手数料が値下がりして、ますます分売はお買い得です。楽天証券がこれだけ値下げしてくれると、MarketSpeedからダイレクトに注文できる便利さから、こちらでも売買しても良いかなとも思ったりします。

前回同様、今回利用したデータを、公開します。毎回、どの程度の方がダウンロードされているのか分かりませんが、よろしければ、ご利用下さい。

貸借銘柄の立会外分売詳細データ

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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!


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