2005/4/10
「業績の下方修正」を切り抜けろ!
株式投資の経験が長くなると、様々な出来事に遭遇します。その中でも突然の
「業績の下方修正」
ほどキツイ発表は他にありません。特に買ったばかりであれば、更にショックが大きいものです。
しかしながら、株式投資を行う限り、これを避けて通ることができません。
ある程度の確率で、どうしても出会ってしまうものです。また、3月末決算が本格化する前に、多くの銘柄が「業績の下方修正」発表を行うこともあるでしょう。
そこで今回は、過去の「業績の下方修正」銘柄の株価の推移を把握することで、
所持している銘柄が「業績の下方修正」した場合でも、上手に切り抜ける術をあらかじめ身につけることにしましょう。
では早速、過去の「業績の下方修正」銘柄の株価推移をグラフにしてみます。ここで調査して銘柄は、今年の3/11日から3/25日までに、取引終了後、「経常利益の下方修正」を発表した、東証1部・大証1部の伝統市場の32銘柄、それ以外の新興市場の32銘柄の計64銘柄です。
場中の発表銘柄は除いています。また、本業以外の修正である「純利益の下方修正」や「税引き前利益の下方修正」銘柄も除いています。
グラフは「業績の下方修正」当日の終値を1とした場合の株価終値の推移です。市場の影響を排除するため、伝統市場の銘柄は、TOPIXで差分調整しています。それ以外の新興市場は、JASDAQ平均で差分調整しています。
下方修正発表で大きく株価を下げ、その後もしばらく下落傾向が続くことが分かります。5-7営業日が経過し、ようやく下げ止まります。新興市場の場合、上昇に転じているように思えますが、10銘柄中1銘柄の割合で、大幅上昇に転じる銘柄が出てきます。それを除くと「下げ止まった」(黄色の線)と表現するのが適切です。
参考までに、大幅上昇に転じた3銘柄の株価推移を見てみましょう。伝統市場の銘柄には、このような大幅上昇に転じた銘柄は存在しません。
ヤマックスの上昇は驚異です。下落も激しいものでしたが、その反発も激しいですね。一方でヒューマネジメントジャパンとヒマラヤは、どちらも下方修正発表の翌日も株価が下落せず、前日比でプラスで終了した銘柄です。
それならば、前日比プラスで終了した銘柄は大丈夫かと言えば、そうでもありません。前日比プラスで終了した9銘柄の「水色の線(ヒューマネジメントジャパンとヒマラヤは除く)」を見てお分かりのように、必ずしも上昇するわけではありません。
事実1
:
業績の下方修正銘柄は、終値ベースで前日の3%超の下落が待っている。この率は、伝統市場銘柄、新興市場銘柄でも変わらない。
業績の下方修正銘柄の下落はしばらく止まらない。伝統市場銘柄で約7日、新興市場で約5日間は下落傾向である。
新興市場の中には、10銘柄中1銘柄の割合で、勢い良く上昇する銘柄が存在する。
以上の傾向から、もし売り逃げるのであれば、できるだけ早めの方が良さそうであることは分かりました。では
一体どのタイミングで売るのが良いのでしょうか
。更に詳しく見ることにしましょう。
以下のグラフは、下方修正銘柄の、発表日翌日以降、3日間の株価の平均推移をケイ線で表したものです。市場の影響は排除していません。高値や安値を市場平均で調整するのは、あまり意味がないと思ったからです。
伝統市場の銘柄も、新興市場の銘柄も、3日間陰線で終わっています。徐々に株価が切り下がることが分かります。
事実2
:
下方修正発表翌日は、前日比-3%程度を中心に、上下に株価が大きく振れる。
2日目は、前日より株価の上下幅は小さくなるが、大きな陰線になる。
3日目は、下落傾向がはっきりし、下方修正発表翌日の下値を更に割ってくる。
以上の事実から、結論を導くことにしましょう。
結論
:
下方修正発表があった場合、超長期に持つ目的以外は、翌日に手放す方が良い。後になればなるほど苦しくなる。
翌日に手放す場合の売りタイミングは、伝統市場の場合は前日比98%程度、新興市場は99%程度が目安である。確実に売りたいのであれば、終値よりも始値で売るが良い。
「落下中のナイフを掴むな」的な表現は、業績下方修正銘柄に関しては、正しい表現である。
とにかく早く手放した方が、精神安定上にも良さそうですね。少々気をつけて欲しいのは、これは、ごく最近2週間の下方修正銘柄の平均推移です。時期によって、この推移は変わるかも知れません。今後も機会があれば、調査したいと思います。
最後に調査対象となった、下方修正 全64銘柄を紹介します。
コード
銘柄
市場
1782
常磐開発
JQ
3732
イーウェーヴ
HC
5952
アマテイ
大証2部
6429
タイヨーエレック
JQ
7611
ハイデイ日高
JQ
7631
マクニカ
東証1部
8552
びわこ銀行
大証1部
9648
ウエスコ
大証2部
9719
住商情報システム
東証1部
1844
大盛工業
東証2部
1990
東邦建
JQ
2224
コモ
JQ
2907
あじかん
東証2部
9675
常磐興産
東証1部
9905
コージツ
JQ
4778
ヒューマネジメントジャパン
JQ
6135
牧野フライス
東証1部
8217
オークワ
東証1部
2373
ケア21
HC
7756
日本電産コパル
東証1部
8114
デサント
東証1部
8146
小杉産業
東証2部
8276
平和堂
東証1部
1711
省電舎
マザーズ
4902
コニカミノルタHLDGS
東証1部
9477
角川ホールディングス
東証1部
1817
勝村建設
東証1部
1919
エス・バイ・エル
東証1部
2597
ユニカフェ
東証1部
4552
日本ケミカルリサーチ
大証2部
5285
ヤマックス
JQ
6968
グラフテツク
東証1部
7260
富士機工
東証1部
7279
日本ケーブルシステム
大証2部
8178
マルエツ
東証1部
9748
エヌジエーケー
東証2部
9834
リオチェーン
名古屋2部
1858
井上工業
東証2部
1877
川田建設
東証2部
2356
トーメンサイバービジネス
マザーズ
2592
ポツカコーポレーシヨン
東証1部
3107
大和紡績
東証1部
5931
川田工業
東証1部
6361
荏原製作所
東証1部
7514
ヒマラヤ
東証2部
7649
スギ薬局
東証1部
9794
カラカミ観光
JQ
2355
シーフォーテクノロジー
マザーズ
4662
フォーカスシステムズ
JQ
6724
セイコーエプソン
東証1部
1898
世紀東急
東証1部
6344
NECマシナリー
大証2部
6444
サンデン
東証1部
1777
川崎設備工業
名古屋2部
1822
大豊建設
東証1部
2662
ダイユーエイト
JQ
4524
森下仁丹
東証2部
4920
日本色材
JQ
5804
三菱電線工業
東証1部
6315
TOWA
東証1部
8207
テンアライド
東証1部
8238
伊勢丹
東証1部
8278
フジ
東証1部
9777
日本電子計算
東証1部
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編集後記(From the Editor)
この調査を開始した理由は、私の所持銘柄の中にも「業績の下方修正(四半期業績発表の中での下方修正)」銘柄が存在しているためです。調査結果がちょっとショックです。発表後まだ日が経っていないため、調査結果に従い、月曜日にでも売りに出す確率が高しです。
調査を始める前は、下方修正日発表直後が一番下げると思っていたのですが、平均を取る限り、そうではありませんでした。最悪なのが、「戻り売り」を狙って、数日間の下げに耐え切れず、底値で売ってしまうパターンのようです。
下方修正が出たら、さっさと売り出すか、ハラを決めて所持し続けるか、どちらかに決めることが肝心のようですね。
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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!
GOOD LUCK!