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株主優待

2005/2/6
株主優待タダ取り(実践編)

前回の投資戦略にて、無期限信用売りを利用した、株主優待を品貸料(逆日歩)のリスク無しで取得する方法を紹介しました。しかしながら、その代償(リスクに対する保険)として、手数料が高くなることもわかりました。

そこで今回は実践編として、昨年の品貸料(逆日歩)の実績から、どの銘柄であれば、多少手数料が高くなっても、「リスク無しで取得する方法」を実行すべきかについて研究してみましょう。

また、品貸料(逆日歩)がつかないことを利用し、「通常の信用買い(制度信用)」と、この「無期限信用売り(一般信用)」を両建にすることで、「品貸料(逆日歩)だけを取得する」方法についても取り上げたいと思います。この手法についても栗林さんから教えて頂きました。ありがとうございます。

まずは、株主優待を品貸料(逆日歩)の「リスク無しで取得する方法」が、「リスク有り」の場合に比べ、どれくらい余分に手数料が必要なのか調べてみましょう。

前回ご紹介したグラフから、優待が多い3月について算出してみます。


株価 150万円分
リスク無 -> 3,150 + (54.8*1.5)*3 = 3,396.6円
リスク有 -> 577*2 + 52.1*1.5 + 31.5*1.5*3 = 1,373.9 円
リスク代償(保険分) -> 3,396.6 - 1,373.9 = 2,022.7円


株価 300万円分
リスク無 -> 577 + 52.1*3 + 3,150 + (54.8*3)*10 = 5,527.3円
リスク有 -> 577*2 + 52.1*3 + 31.5*3*3 = 1,593.8円

リスク代償(保険分) -> 5,527.3 - 1,593.8 = 3,933.5円

以上のことから、株価150万円分で2,023円以上、300万円分で3,934円以上の品貸料の場合、「リスク無しで取得する方法」を選択する方が良いことが分かります。

それでは、3月末株主優待の「無期限信用売り銘柄」について、今年も昨年と同じ品貸料となった場合に、株価150万分の場合と、株価300万分の場合の2通りの品貸料の額を計算してみます。昨年の3月末は、土日が重ならなかったため、2日分の品貸料でした。今年も2日分だけでOKです。

コード 銘柄 品貸料
(2日分)
株価
(2/4基準)
150万円分
品貸料
300万円分
品貸料
2810 ハウス食品 1.1 1471 \1,122 \2,243
9041 近畿日本鉄道 0.2 345 \870 \1,739
2875 東洋水産 0.8 1527 \786 \1,572
9007 小田急電鉄 0.3 612 \735 \1,471
2897 日清食品 1.1 2790 \591 \1,183
8238 伊勢丹 0.5 1307 \574 \1,148
4922 コーセー 1.6 4400 \545 \1,091
5332 TOTO 0.3 926 \486 \972
8253 クレディセゾン 1 3550 \423 \845
9043 阪神電気鉄道 0.1 381 \394 \787
2871 ニチレイ 0.1 407 \369 \737
9001 東武鉄道 0.1 415 \361 \723
9009 京成電鉄 0.1 456 \329 \658
2202 明治製菓 0.1 481 \312 \624
2001 日本製粉 0.1 509 \295 \589
9020 東日本旅客鉄道 100 550000 \273 \545
9605 東映 0.1 569 \264 \527
9005 東京急行電鉄 0.1 584 \257 \514
5929 三和シャッター工業 0.1 588 \255 \510
9008 京王電鉄 0.1 614 \244 \489
4661 オリエンタルランド 1.1 6980 \236 \473
4732 ユー・エス・エス 1.2 8780 \205 \410
8755 損害保険ジャパン 0.1 1024 \146 \293
2801 キッコーマン 0.1 1045 \144 \287
2914 JT 100 1060000 \142 \283
1878 大東建託 0.4 4610 \130 \260
2002 日清製粉グループ本社 0.1 1157 \130 \259
1925 大和ハウス工業 0.1 1167 \129 \257
3591 ワコール 0.1 1179 \127 \254
9831 ヤマダ電機 0.4 4870 \123 \246
6971 京セラ 0.3 7130 \63 \126
4511 藤沢薬品工業 0.1 2665 \56 \113
1379 ホクト 0 1913 \0 \0
2282 日本ハム 0 1393 \0 \0
2602 日清オイリオグループ 0 544 \0 \0
2802 味の素 0 1243 \0 \0
2873 加ト吉 0 2135 \0 \0
3105 日清紡 0 815 \0 \0
4540 ツムラ 0 1596 \0 \0
4631 大日本インキ 化学工業 0 271 \0 \0
4689 ヤフー 0 549000 \0 \0
4911 資生堂 0 1476 \0 \0
5331 ノリタケ カンパニーリミテド 0 460 \0 \0
5701 日本軽金属 0 260 \0 \0
7231 トピー工業 0 404 \0 \0
7267 本田技研工業 0 5480 \0 \0
7911 凸版印刷 0 1088 \0 \0
7967 バンダイ 0 2265 \0 \0
8113 ユニ・チャーム 0 4620 \0 \0
8601 大和証券グループ本社 0 685 \0 \0
8603 日興コーディアルグループ 0 482 \0 \0
8623 SMBCフレンド証券 0 689 \0 \0
8815 東急不動産 0 473 \0 \0
9021 西日本旅客鉄道 0 407000 \0 \0
9022 東海旅客鉄道 0 871000 \0 \0
9101 日本郵船 0 584 \0 \0
9752 ナムコ 0 1321 \0 \0
9875 マツモトキヨシ 0 3060 \0 \0
9984 ソフトバンク 0 4760 \0 \0
9987 スズケン 0 2770 \0 \0

なんと、一番負担が多いハウス食品であっても、「リスク無しで取得する方法」の方が余分に料金がかかることになります。従って、今年も昨年と同じ品貸料と仮定すれば、全ての銘柄で「リスク無しで取得する方法」は、実施する必要のない手法であることが分かります。

結論1:
今年も昨年と同じ品貸料と仮定すれば、「リスク無しで取得する方法」は、3月末の株主優待の場合、実施する必要のない手法である。

もちろん品貸料は、今年も一緒とは限りませんし、事前に算出することができませんので安心はできません。また、今年の3月末は2日分で大丈夫ですが、4月末や12月末といった、連休が重なる場合は、1週間分も品貸料を負担しなければならないような年もありますので、この戦略が有効になります。

因みに、無期限信用売り銘柄ではありませんが、昨年3月の優待権利日に品貸料が多かった銘柄を掲載します。これらの銘柄を、現物株と信用売りを組み合わせで株主優待だけ獲得しようとした場合、割りに合わない投資となったと思います。

コード 銘柄 品貸料
(2日分)
株価
(2/4基準)
150万円分
品貸料
300万円分
品貸料
9713 ロイヤルホテル 12 202 \89,109 \178,218
7014 名村造船 40 974 \61,602 \123,203
9045 京阪電鉄 12 323 \55,728 \111,455
9202 全日本空輸 12 388 \46,392 \92,784
9046 神戸電鉄 12 447 \40,268 \80,537
9919 関西スーパー 16 680 \35,294 \70,588
9885 シャルレ 16 840 \28,571 \57,143
9665 吉本興業 16 987 \24,316 \48,632
9828 元気寿司 16 1325 \18,113 \36,226
9936 王将フード 16 1370 \17,518 \35,036
8160 木曽路 16 1673 \14,345 \28,691

実は私、昨年の3月の優待権利日に、「ロイヤルホテル」を現物株を持たずに、信用売りだけをしていました。権利落ち日に株価は急落したので利益は十分出ましたが、ずいぶんと品貸料を取られたものだと記憶しています。

次に、「品貸料(逆日歩)だけを取得する」方法ですが、リスク無し方法よりやや高い手数料(「信用買い」の利子と、権利日をまたぐ場合は「名義書換料(1取引単位あたり52.5円)」)が必要となります。

つまり、「品貸料(逆日歩)だけを取得する」方法は、株価150万円分で 3,397円以上、株価300万円分で 5,528円以上の品貸料であることが必須です。先ほど紹介した「昨年3月の優待権利日に品貸料が多かった銘柄」については、もし無期限信用売り銘柄で、今年も同じ品貸料ならば、条件をクリアし、十分利益が出ます。

品貸料の多くは、優待権利日近辺で発生します。従って、4月末、12月末銘柄が狙い目となります。また、時にはスキャンダル的なニュースが引き金になる場合もあります。これが火曜日や、連休の4日前にタイミング良く発生すると、売り手の品貸料の負担日が増えるため、ここも狙い目になります。

とはいえ、手数料に見合うだけの品貸料が発生することは稀なことでしょうし、事前に発生するかどうかを知る手段もありません。なかなか狙えるものではありません。

従って、株価下落後のリバウンドを狙って、両建を行う場合に、「制度信用買い」と「一般信用売り」を組み合わせにして、ついでに品貸料を頂くのが賢い使い方のように思えます。

結論2:
「品貸料(逆日歩)だけを取得する方法は、手数料が多く必要とするため単独で行うのではなく、株価下落後のリバウンドを狙った両建ついでに、運がよければ品貸料を得る方法で使うのが良い。

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編集後記(From the Editor)

実際獲得した株主優待をチケット屋で売るとするならば、JOY青山のサイトの料金表を見る限り、航空会社とオリエンタルランドが良いですね。鉄道系の優待は意外と低いです。

航空会社の株は、無期限信用売り対象銘柄ではないので、株主優待獲得のリスクが高くなります。実際、昨年の全日空の品貸料が、株主優待分を軽く吹き飛ばす値段になりました。

一方で、オリエンタルランドは、無期限信用売り対象銘柄になっているため、その心配はありません。元手さえあれば確実に利益を生み出します。

もし 300万円分購入できるのであれば、今の株価ならば 4単位購入できるため、優待としてチケット4枚獲得できます。チケット屋には1枚 4,500円で売ることができますので、全部で 18,000円手に入ります。必要となる手数料は約 5,528円です。

今時珍しい、誰にでも確実に利益を生む手法ですね。すばらしい。
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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!

GOOD LUCK!

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