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dantotsu

2004/12/5
東証リート指数買いは狙える!?

上場から4年目を迎えたJ-REIT(不動産投資信託)の人気は衰えることを知りません。雑誌やテレビによく登場する方が、J-RIETへの投資を勧めている所もよく見かけます。

J-REITへの投資は、1単位で30-90万円程度必要となるため、もっと小口から投資できる J-REIT投資ファンドも活況です。このJ-REIT投資ファンドのほとんど全てが、ベンチマークとして「東証リート指数(配当込み)」を採用しています。

ということは、「東証リート指数(配当込み)」への新規銘柄の採用時期には、「TOPIX買い」や「日経平均買い」と同様に「東証リート指数買い(REIT買い)」が存在しても不思議ではありません。

この「東証リート指数(配当込み)」は、一般的にまだ良く知られていないため、「REIT買い」を狙った投資は、大きな利益を生む可能性があります。早速調べてみることにしましょう。

まずは、「REIT買い」の発生日を割り出すために「東証リート指数(配当込み)」への新規銘柄の採用時期と算入方式を調べることにしましょう。

東証のページにある算出要領によれば、「修正を要する事項と修正日、使用するREIT の価格は、「TOPIX(東証株価指数)及びサブインデックスの算出要領」に準じて行う。」とあります。つまり、TOPIXと同じ時価総額方式であり、新規銘柄の採用も、TOPIX同様に、一ヵ月後となります。

次に、J-REIT投資ファンドの買いのインパクトを予測するため、J-REIT投資ファンドの資産額と、「東証リート指数(配当込み)」対象銘柄の時価総額とを、比べてみることにしましょう。

2004/12/03現在の東証リート指数の銘柄と、その時価総額は、以下の通りです。

コード 銘柄名 上場口数 株価 時価総額 割合
8951 日本ビルファンド 280,700 899000 \252,349,300,000 19.61%
8952 ジャパンリアルエステイト 225,400 839000 \189,110,600,000 14.69%
8953 日本リテールファンド 152,502 836000 \127,491,672,000 9.91%
8954 オリックス不動産 123,372 654000 \80,685,288,000 6.27%
8955 日本プライムリアルティ 289,600 302000 \87,459,200,000 6.80%
8956 プレミア 59,400 668000 \39,679,200,000 3.08%
8957 東急リアル・エステート 98,000 701000 \68,698,000,000 5.34%
8958 グローバル・ワン不動産 48,400 846000 \40,946,400,000 3.18%
8959 野村不動産オフィスファンド 148,600 739000 \109,815,400,000 8.53%
8960 ユナイテッド・アーバン 79,750 683000 \54,469,250,000 4.23%
8961 森トラスト総合リート 160,000 829000 \132,640,000,000 10.31%
8962 日本レジデンシャル 49,400 658000 \32,505,200,000 2.53%
8964 フロンティア不動産 102,400 695000 \71,168,000,000 5.53%
時価総額 \1,287,017,510,000 100.00%

同様に、主なJ-REIT投資ファンドの資産額は以下の通りです。(出典: モーニングスター)

名称 資産規模(百万)
みずほJ-REITファンド 23,822
DKA J-REITインデックスF 21,371
新光 J-REITオープン 19,193
ダイワ J-REITオープン(毎月分配型) 11,362
ダイワ J-REITオープン 6,798
DIAM J-REITオープン(毎月決算コース) 4,651
DIAM J-REITオープン(2ヵ月決算コース) 2,878
J-REITアクティブオープン毎月決算コース 706
総計 90,781

J-REITの時価総額は、1兆2870億程度、一方でJ-REIT投資ファンドの総資産額は 908億円程度です。ということは、908/12870 = 7.05% つまり、J-REIT銘柄の 約7% が J-RIET投資ファンドによって購入されていることになります。

この7%は結構すごい割合です。 TOPIX買いのインパクトが約2-3%程度と考えると、その倍以上のインパクトがあります。そう考えると、「REIT買い」が期待できそうです。

(注意: 大阪証券取引所に上場している東京グロースリート(8963)は、東証リート指数に入りません。時価総額は、東証リート指数全体の 0.57% 程度であるため、無視することにします)

それでは早速、一番最近上場した「フロンティア不動産」の 「REIT買い」にあたる日の一日チャーをみてみましょう。とても期待できそうです。(出典: Yahoo Japan Corporation)



あ、あれ!? TOPIX買い日に発生するような、引け際の怒涛の出来高が全くありません。株価の推移も、比較的平和です。一応確認のため、もう2つほどみてみましょう。(出典: Yahoo Japan Corporation)





やっぱり一緒ですね。引け際の上昇というものはありません。では、出来高はどうなのでしょうか。この日に上場口数の7%ほどあるのでしょうか?

コード 銘柄 「REIT買い」日の出来高%
8964 フロンティア不動産 1.80%
8962 日本レジデンシャル 1.43%
8961 森トラスト総合リート 0.92%

7%にはるか及びません。「REIT買い」日の前後の日に比べると、この日の出来高は多めです。従って、多少の買いは入っているようですが、この日に集中して買うようなことはしていません。

結論1:
J-REIT投資ファンドの資産額は、J-REIT銘柄の約7%を占めている。従って、TOPIX以上の買いインパクトがある。
「REIT買い」となるような極端な現象は発生しない。J-REIT投資ファンドは、ゆっくりと各銘柄を組み入れているようである。

J-REIT投資ファンドは、いずれにせよ全銘柄の7%程を組み入れる必要があります。それでは、一体どのあたりで購入すれば、効率よく、J-REIT投資ファンドの先回り買いをすることができるのでしょうか。

ここ1年内にIPOを果たした、直近の5銘柄について、上場日から「REIT買い」日までの株価の推移を調べてみることにします。市場の影響を排除するため、「東証リート指数(配当込み)」で調整します。



グラフ中、各銘柄の線の長さが違うのは、上場日から「REIT買い」日までの長さが違うためです。いずれも、「REIT買い」日近辺で、緩やかですが、上昇がみられます。

特に、IPO時期が比較的遅かった、「森トラスト総合リート」、「日本レジデンシャル」、「フロンティア不動産」は上昇が目立っています。もう少し分かり易くするために、「REIT買い」日を、100としたグラフを見てみましょう。



結構バラバラですが、IPO時期が比較的遅かった3銘柄(「森トラスト総合リート」、「日本レジデンシャル」、「フロンティア不動産」)については、上昇が明らかです。約6営業日前に買うと、市場に対して3-4.5%ほどの利益を得ることができます。

ここで、「東証リート指数(配当込み)」で調整していない、実際の株価の推移をグラフにしてみます。



こっちの方がきれいに出ていますね。何はともあれ、上場後早めに購入すれば、4-7%の上昇が見込めます。これは、J-REIT投資ファンドが、徐々に組み入れているためではないかと想像します。

最終結論:
明らかな「REIT買い」現象は起きていない。REIT買い日は多少の出来高を伴っているものの、狙うまでには到達していない。
素直にIPO直後に買うが効果あり。「REIT買い」日まで、4-7%の上昇が見込める。これは、J-REIT投資ファンドが、J-REIT銘柄を7%ほど組み入れる必要があり、断続的に買いを入れているためと思われる。

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編集後記(From the Editor)

今日の関東地方は記録的に「暑い」日でした。風が強かったために外には出ませんでしたが、ほんのひと時、真夏に戻った気分で、気持ちよく、うたた寝をしていました。市場のことも忘れ、幸せな瞬間です。

今回は、ある方のメールから「リート指数」というものが存在するとお聞きしたため、調査してみました。情報ありがとうございます。

元々、REITについては興味があったため、いつかは取り上げようと思っていました。私は「関東大震災が起きたときに暴落するんじゃないか」と、怖くてREIT銘柄を買えていない小心者です(笑)。

最近、J-REIT投資ファンドが人気化し、どんどん資金を吸収しているように思えます。しかしながら、J-REIT銘柄数は増えていません。この吸収した資金の行き先は、その限られたJ-REIT銘柄しかありません。

ということは、今後も他のJ-REIT銘柄が東証に上場するまで、株価は上昇し続けるしかないような気がするのです。ボーナスの資金が入る直前のこのあたりで買っても面白いかもしれませんね...

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くれぐれも、自己責任の上で判断してくださいね!

GOOD LUCK!

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