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2004/2/29
株主優待銘柄を買っていい日、いけない日(2)
〜 2月の優待銘柄を振り返る〜

前回前々回と、株主優待銘柄の買い時、売り時を探ってみました。実際に2月の優待銘柄はどうだったのでしょうか。数字の上から振り返り、3月の優待銘柄の投資戦略に結び付けてみましょう。

では早速グラフを見てみましょう。権利日1ヵ月前(1/26)から、権利日当日(2/23)までの、信用売り・買いが可能な、2月末株主優待銘柄(34銘柄)について調べました。権利日に売却した場合の利益率です。

(注意: 前回までは終値で計算していたのですが、今回からはより実践的に、誰でも同じ値段で購入できる始値(朝一番の寄付)で計算しています)



グラフからは、1/26日から2/13日まで購入し、権利日に売却した場合、2%を超える利益があることを示しています。ただし、2/5日以降の購入では、日経平均を購入した場合の利益とさほど変わりがありません。

上記のグラフのままでは、相場全体の影響を受けた上昇分も含んでいます。そこで相場の影響を取り除くことにしましょう。取り除く方法は、日経平均の変動を相場全体の影響と考え、日経平均との差分をグラフにします。これによって、優待銘柄への投資は、相場全体と比べて、どのくらい有利なのかがわかります。



グラフから、かなりはっきりとした傾向か現れています。残り1ヶ月の最初の1週間で購入した場合には3-4%近い利益、それから購入が遅くなれば遅くなるほど利益が減り、ついにはマイナスに突入します。そして権利日直前には、マイナスも、プラスもない所に落ち着きます。

これを投資戦略に結びつけるとすれば、残り1ヶ月の最初の1週間で購入し、権利日1週間前あたりで売却する。そうすれば、6%近い利益、年間では 72% の利益を生むことになります。

実際に権利日前1ヵ月の間で、各銘柄の最高値日と最安値日はどのあたりだったのでしょうか。グラフにしてみました。


見事に傾向が現れていますね。最安値が多い日は前半に、最高値が多い日は後半に集中しています。つまり、権利日残り1ヶ月の最初の1週間で購入すれば、ほぼ最安値で買うことができ、最後の1週間で売ることができれば、ほぼ最高値で売却できることを示しています。

この現象はなぜ起こるのでしょうか。恐らく「優待購入予定者は、直前に安く買える時期を探しているが、優待日が近づくにつれ株の上昇に耐え切れず、1週間前程度で購入する」。優待直前売却予定者は、「直前まで上昇を待っているが、最後の1週間で株の下降が始まると、あわてて売りに走る」。ことから来ているように思えます。

結論:
・株主優待銘柄は、残り1ヶ月の最初の1週間(月が変わる前)で購入すべし。売却時期は、権利日1週間前くらいがベストである。この場合、年間で72%近い利益を得ることができる。
・権利日1週間前が最も購入してはいけない時期である。権利日直前でどうしても購入する必要がある場合は、権利日で買うべし。


結論から、3月銘柄については、先週(2/23-2/27)が購入のベストタイミングだったということになります。まだ購入していない場合、今週(3/1-3/5)のできるだけ早めに購入するのが良いようです。私は既に購入を済ませました。

そして最後に重要なお知らせをひとつ。
くれぐれも投資はご自分の判断で行ってくださいね。

参考: 調査対象34銘柄
米久、キューサイ、ソフマップ 、三越、シーアンドエス、コーナン商事、ポプラ、オンワード樫山、キャビン、タカキュー、丸久、ケーヨー、ベスト電器、デニーズジャパン、東急ストア、リンガーハット、相鉄ローゼン 、フォルクス、高島屋、大丸、松坂屋、松屋、丸栄、大和、パルコ、井筒屋、イズミヤ、イズミ、東武ストア、フジ、松竹、東宝、吉野家ディー・アンド・シー、ミニストップ


ライン

2004/3/7
株主優待銘柄は、直前の「信用売り」がお得です(2)
〜 2月の優待銘柄を振り返る〜

以前の回にて、株主優待銘柄を権利日に「信用売り」し、権利落ち日以降に買い戻す作戦を公表しました。では実際に、2月の優待銘柄はどうだったのでしょうか。前回同様、数字の上から振り返り、3月の優待銘柄の投資戦略に結び付けてみましょう。

では早速グラフを見てみましょう。権利日当日(2/23)から、4日後(2/27)までの、信用売り・買いが可能な、2月末株主優待銘柄(34銘柄)の株価変動について調べました。

グラフは、権利日当日の株価から、どのくらい上昇(下降)したのかを表しています。グラフ上の数値は、信用売買することを前提としているため、配当と逆日歩(品貸料)の調整を行っています。



グラフから、2月銘柄についても値段が下がっているのがわかります。昨年12月銘柄、今年の1月銘柄に続いています。このことから、相変わらず、確定日に「信用売り」を行い、権利落ち日以降に「買戻し」することによる、「信用売り」で利益を得ることが可能であることがわかりました。

わずか数日間で、確実に利益が出ることは分かったのですが、しかしながら、1.0〜1.5% 程度の利益で満足するのは、ちょっと寂しい気がします。もっと利益の効率を良くするため、銘柄をうまく絞り込むことはできないのでしょうか。

以前に提案した投資戦略では、「優待確定日前の3週間において「トレンドが下降」のサインを多く出していた銘柄は投資対象から除外する」ことを掲げましたが、2月優待銘柄では、「トレンドが上昇」にも関わらず、さらに伸びていった銘柄(東宝)がありました。

よってここでは、以前の投資戦略を捨てて、もう一度練り直すことにします。ちょっと長いですが、2月の全34銘柄の権利落ち後の上昇率を見てみましょう。配当率の数値を注意して見て下さい。(配当率は、[1年の配当金の半分]/[権利日の株価] で計算しています)

2月の優待銘柄
2月24日 2月25日 2月26日 2月27日 配当率
米久 0.65% -2.46% -0.49% -0.38% 0.93%
キューサイ -0.01% 0.66% -0.68% -1.76% 1.04%
ソフマップ -1.19% 1.98% 0.87% 1.98% 0.79%
三越     1.23% 0.12% 1.89% 6.54% 0.33%
シーアンドエス 0.71% 0.49% 1.16% 0.71% 0.71%
コーナン商事 1.29% 1.23% 0.52% 0.99% 0.53%
ポプラ -1.15% -1.24% -1.83% -1.83% 0.97%
オンワード樫山 -3.66% -4.01% -3.94% -0.83% 0.71%
キャビン -4.38% -3.81% -5.51% -5.51% 1.41%
タカキュー -8.05% -9.40% -12.08% -12.08% 0.00%
丸久     0.22% 0.22% 0.22% 0.22% 0.21%
ケーヨー -1.57% 1.41% -2.00% -2.21% 1.33%
ベスト電器 -4.30% -4.70% -6.34% -7.15% 1.53%
デニーズジャパン 1.52% 0.89% 0.73% 0.89% 0.81%
東急ストア 0.11% -1.03% -1.26% 0.34% 1.15%
リンガーハット -0.13% 1.78% 0.91% 0.39% 0.43%
相鉄ローゼン 0.51% -2.29% -0.23% -0.08% 0.37%
フォルクス  -7.47% -6.44% -6.19% -6.19% 0.00%
高島屋    -1.42% -2.45% 1.32% 4.75% 0.43%
大丸     -1.63% -3.09% -1.92% -0.32% 0.58%
松坂屋 1.08% -0.62% 0.59% -0.13% 0.61%
松屋 0.09% -1.53% -0.92% -1.33% 0.51%
丸栄 -5.52% -6.63% -5.52% -4.42% 0.00%
大和     -3.17% -6.18% -10.70% -8.69% 1.51%
パルコ -0.55% 0.65% 0.82% 1.33% 0.68%
井筒屋 -1.47% -1.47% -3.43% -2.45% 0.00%
イズミヤ   0.31% -1.69% -0.78% -0.97% 0.91%
イズミ    0.96% -0.70% -0.45% 0.34% 0.37%
東武ストア -0.52% 0.00% -2.07% -3.11% 0.00%
フジ     2.03% 0.56% 0.32% 0.81% 0.37%
松竹 -0.79% -1.61% -2.11% -1.94% 0.00%
東宝 1.10% 1.91% 3.21% 3.48% 0.34%
吉野家ディー・アンド・シー 0.40% 2.25% 2.86% 4.72% 0.99%
ミニストップ 0.65% 1.48% 1.19% 1.36% 1.07%

配当率から、何か見えてきませんか? そうです、配当率が0%(配当なし)か、1.2%(年率2.4%)を超える銘柄の下落が激しいことがわかります。

もっと分かりやすくするため、[配当なし」の銘柄, 「配当率1.2%以下」の銘柄、「配当率1.2%超」の銘柄に分け、上昇率をグラフにしてみました。

(2004/3/17追補: タカキュー、ベスト電器、フォルクス は制度信用売り停止期間中で、実際には信用売りすることはできません)



見事に、権利日以降、「配当なし」と、「配当1.2%超」の下落が激しいことがわかります。その下落率は 3.0 〜 6.0% と、数日のうちに「信用売り」の利益を出すには十分なものです。

では、昨年の12月の優待銘柄、今年の1月の優待銘柄も同じ傾向だったのでしょうか。「配当なし」および「配当1.2%超」の銘柄について調べてみました。

12月の優待銘柄
社名 1日目 2日目 3日目 4日目 配当率
西友 0.90% 4.50% 7.51% 9.01% 0.00%
日本研紙   -15.09% -12.26% -14.15% -12.26% 1.18%
東京都競馬 -2.36% -2.36% -1.57% -3.15% 1.18%
三国コカ・コーラボトリング -1.84% -1.22% -1.47% -0.86% 1.22%
コカ・コーラ セントラル ジャパン -4.07% -4.82% -5.12% -5.27% 1.36%

1月の優待銘柄
社名 1日目 2日目 3日目 4日目 配当率
レナウン -4.65% -6.20% -7.75% -2.33% 0.00%
東急百貨店 -0.93% -3.70% -5.56% -5.56% 0.00%

「西友」以外の銘柄については、激しく値下がりし、同じ傾向を示しています。この戦略はいけそうです。

結論:
1. 優待銘柄の確定日「信用売り」は、「配当なし」、または「1.2%超(年率2.4%)」の銘柄を選ぶべし。さすれば、3%-6% の利益が数日のうちに手に入る。
2. 「西友」のようなパターンを警戒すべし。2日目以降にも値上がり傾向示したら、損失覚悟で「買戻し」すべし。


ところで、なぜこのような「配当なし」と「配当1.2%超」銘柄の下落現象が起こるのでしょうか?

勝手な想像ですが、「配当なし」の銘柄については、”株主優待は魅力的だけど、配当が出せないほど業績は良くない”、「配当1.2%超」の銘柄については、”配当および優待の利率が良いので、単に利率目当てで購入したい” といった、権利日確定後にできるだけ早く逃げたい心境なのかも知れません。

では、3月優待銘柄について、「信用売り」候補はどれでしょうか? 「配当1.2%超」については、権利日近辺にならないと銘柄が確定できません。よってここでは、「配当なし」の銘柄を探してみます。

調べた限り(Market Speed を利用)においては、「長谷工コーポレーション」「三井住友建設」「不二家 」「カネボウ」「ゴールドウィン」「中川無線電機」「もみじホールディングス」「阪急電鉄 」「インプレス」「ロイヤルホテル」の10銘柄です。

私もこのうちのいくつかを狙う予定です。 因みに3月末優待銘柄の権利日は3/25(木)、権利落ち日は3/26(金)です。

ライン

2004/3/21
JAL、ANAの株主優待買いを狙う

株主優待のうちで、航空会社2社(JAL, ANA)の株主優待券は、最も換金性があることで有名です。どこのチケット店に持ち込んでも、喜んで購入してもらえます。

この結果、株主優待の権利日に向け買いが集中し、権利落ち日には売りが集中する現象が起きます。特に 2003年からは、少数株主にも配慮した内容に変更したため、この現象が顕著です。

まずは、JAL および ANA の株主優待内容をチェックしてみましょう。ホテル割引等もあるのですが、航空割引にだけに絞ってみます。

優待月 JAL(日本航空システム) ANA(全日空)
2004年 3月 *国内線片道割引 (1枚25%, 2枚50%)
1,000〜: 2枚
2,000〜: 2枚+2千株超過分1,000株毎に1枚
10,000〜 :10枚+1万株超過分2,000株毎に1枚
*新JAL記念優待(1枚国内50%、国際10%)
1,000〜:2枚
10,000〜:3枚プラス1万株超過分10,000株毎に1枚
100,000〜 :12枚プラス10万株超過分20,000株毎に1枚
*国内線片道50%割引
1,000〜: 1,000株につき1枚
4,001〜: 4枚+超過分2,000株毎に1枚
10,001〜: 7枚+超過分4,000株毎に1枚
1,000,001〜: 254枚+超過分8,000株毎に1枚
2003年 3月〜 *国内線片道割引 (1枚25%, 2枚50%)
1,000〜: 2枚 (3末株主のみ)
2,000〜: 2枚+2千株超過分1,000株ごとに1枚
10,000〜:10枚+1万株超過分2,000株ごとに1枚
2000年 3月〜 (不明) *通常優待(区間により必要枚数が異なる)
1,000〜: 2枚 (3月のみ)
2,000〜: 1,000株毎に1枚
100,001〜: 100枚+超過分3,000株毎に2枚
*株主特別優待券(1枚 50%)
1,000〜: 1枚
11,000〜: 2枚
21,000〜: 3枚、以降、1万株毎に1枚

チケット店には、50%割引券を約5,000円で引き取ってもらうことができます。この結果、この 2004年3月には、1000株を持っていれば、JAL は 15,000円, ANAは 5,000円、4000株を持っていれば、JALは 20,000円、ANAも 20,000円 を実質的に受け取ることになります。(JAL は今年の3月だけ、新JAL記念優待を発行します)

ここで考えられる戦略は2つあります。

1つめは、株主優待権だけを取得し、チケット店で換金する方法です。

最も効率的なのは、
1. 権利日当日(3/25日)に、朝の寄り付き前に「信用買い」と「信用売り」を同数、「成り行き」で注文する
2. 約定後、当日取引時間中すぐに「信用買い」に対して「現引」する。
3. 権利落ち日に「信用売り」に対して「現渡」する。


これで 株価の上昇、下降に関係なく、株主優待権が手に入ります。必要経費として、「信用買い」「信用売り」のそれぞれ1回分の手数料と、売り信用利息を3日分、買い信用利息を1日分、品貸料を2日分(あれば)、名義更新手数料(50円x最低売買単位分)があります。

もしこれをイートレード証券で行うのであれば、1,500円あれば十分です(品貸料が適当な額で収まることが条件です)。優待券が到着後、チケット店に持ち込めば 15,000-20,000円が手に入ります。

優待券をそのまま自分で利用することも可能ですが、格安航空券の方が安上がりです。優待券はチケット店に売って、ビジネスマンに利用させましょう。

この方法は、節約家がびっくりするほどの効率ですが、誰も声高に言う人がいませんね。航空会社に限らず、信用売りできる銘柄であれば可能です。額はあまり大きくありませんが、ほぼノーリスクですから、どんどん行いましょう。

2つめは、権利日に「信用売り」をし、権利日落ち以降に「買戻し」を行う方法です。

これは権利落ち日に株価が下がることを利用するものです。実際に過去 2003年3月と9月について、権利日近辺の、JAL および ANA の始値の株価推移をみてみましょう。





2003年9月の権利日は9月24日、2003年3月の権利日は3月25日でした。グラフを見る限り、どちらも権利日を境に株価が下降しているのがわかります。その下降率は5-7%にもなります。

この結果から、今年も同じ傾向になるのではと予想できます。特にJALは、今年限りの特別優待があるので、下降も激しくなるかも知れません。

結論:
・JAL, ANA 共に権利日「信用売り」を行い、権利落ち日以降の「買戻し」するべし。わずか数日で5-7%の効果が得られる。特に今年のJALはねらい目である。
・現引きできるほど資金に余裕がある人は、優待株主を取得できる方法も併用すべし。その場合、ほぼノーリスクで株主優待券が受け取れる。


私は、JALで両方をチャレンジしようかと思っています。

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